第172話

「なるほどね。購入は普通にお金でできるの?」


見るからに怪しい薬とか気になるものが色々置いてある。

効果によっては買っていきたいなって思うけど。普通にお金で買い物できるのこのお店?


「そりゃ、普通に人間の社会で暮らしてるんだから。お金で買い物できるよ。お金がないと生活できないし」


そりゃそうか。普通に人間としてE国で暮らしているんだし。お金が必要だろう。


「もちろん。素材を払ってくれるんでも大歓迎だけどね」


「いや、お金が使えるなら、お金で買い物させて貰うよ」


ダンジョンが一般開放されてないのに、ダンジョンで手に入ったものを考え無しに売りさばくとのは良くないだろうから。

ダンジョンの一般開放がされるまでは、ダンジョンで手に入れたものを売る時は気をつけないと。


「それは残念。因みに複雑な洋服は無理でも。魔物の素材を使ったローブぐらいなら作れたりしちゃうのよ?私」


こっちが悩んでいることをピンポイントでついてくるとは……


「へぇー。それって、龍の抜け殻でも作れるの?」


「少し時間はかかるけどね。しっかり作れるよ」


想像以上に優秀だなこの魔女。


「そしたら龍の抜け殻をつかったローブを幾つか作って欲しい。報酬に切れ端と龍酒もつける」


この仕事に関しては、現金じゃ受けてくれないだろうからな。


お金じゃなくて素材が欲しいから、ランクの高い素材の加工できる知り合いいないでしょ?私ならできるよ?って交渉してきた訳だろうし。


「話が早くて助かるよ♪龍の素材を使える日が来るなんて夢にも思わなかった。じゃあ仕事の話をしようか。と言っても現状2つ問題がある訳なんだけど……」


「何を手伝って欲しいの?」


「単純にローブのサイズが分からないと言うのが1つ目。ローブを作るには龍の抜け殻だけじゃ作れないってのが2つ目」


そりゃ、作るサイズが分からなければ作れないし。龍の抜け殻だけじゃ素材が足りないよな。



サイズに関してはソフィアに直接聞くか。

ローブなら、大体このぐらいの身長の人が着るならこのサイズって決め方もできる気はするけど。

折角オーダーメードなんだし、しっかり作ってもらった方が良いだろう。


他の素材に関しては今持ってきてるもので何とかなるかな?


「素材に関してどんなのが必要?」


「うーん……最低限、縫うための糸とボタンに使う素材が必要かしら」


「それって、市販品の普通のものを使っちゃダメなの?」


「出来ないことはないけど。ローブの効果ガタ落ちだし。勿体ないってレベルじゃいわよ?」


魔女の言い方からして、かなり防具としての性能が落ちそうだな。

ボタンは俺の牙を加工して作れるんじゃないかな?


ダメならトレントの異常種を加工しても作れそうだ。


糸に関しては……俺は使えそうな素材の候補がないな。

ダンジョンに行って手に入れてくる必要があるか。


「ボタンに関しては、龍の牙とかトレントの異常種とかなら用意出来る。糸に関しては、今から探す必要があるかな」


「やっぱりこの間、ダンジョンから出てきたトレントを倒した龍王本人だったのね」


……?あぁ、龍ってことは何となく分かるけど。俺が幻影を使っているから日本から来ている龍王だと断定出来てなかったのか。


そんなポンポン龍なんて居るわけないし、龍ってだけで俺と断定しても良いと思うけどね。


「幻影を使って姿を変えたままでしたね。申し訳御座いません。龍王と呼ばれてる日本人です」


「外に出るならそうするのも当然よ。私も外に出る時は姿を何時も変えてるし」


「ご理解いただき感謝します。で、さっき言った素材はボタンに使えますか?後、糸に関しては候補が無いんですけど。オススメの素材とか有りますか?」


「ボタンに関しては問題ないわ。糸に加工できるオススメの素材となると……

羊とかヤギとかの毛とか蜘蛛系の糸ですかね。蜘蛛の糸は凄い強度を持っているので特にオススメ」


蜘蛛か……蜘蛛の糸ってかなりの強度を持っているって話を聞いたことがある気がする。


蜘蛛の魔物の糸なら更に強度の高い物が手に入るだろう。


「どちらにせよ。ダンジョンに入る必要があるか……魔女さんの存在は王室の人達にバラしても良いの?それによって難易度が変わるんだけど」


ここが日本だったら自由にダンジョンに入れるけど。ここはE国だからな、俺がダンジョンに入る為には、なぜ入りたいのかしっかり説明して、ダンジョンに入る許可を貰う必要がある。

マーリンのアヴァロンならマーリンに相談するだけで入れるだろうけど。

一面花畑で蜘蛛系の魔物は出てこないだろうし。


「まぁ、龍王と王室の関係を考えれば既にバレてるようなものだし。別に構わないけど。無理やり働かせたりするようなら、私はすぐに逃げると伝えておいて」


王室の人間が魔女さんを無理やり働かせたりすることはないだろう。

協力者にマーリンもいるし。


「取り敢えずは俺がダンジョンに入れるように交渉するところからですね。今回は普通にお店に売っている物を買わせてもらう事にします」


「わかったわ。効果が気になる物があったら質問してくれれば答えるわ」


パッと見じゃ効果が分からないものだらけだからな。

鑑定モノクルLv2を使って自分で効果を確かめながら商品は見させてもらうけど、作った本人から説明してもらえるのも重要だろう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る