第166話
「そんなに怖がらなくても……」
三ツ目族に早く占いをして貰うために、龍の姿で手に乗せて移動しようと思ったんだけど、上空に浮かんだだけで三ツ目族の男が滅茶苦茶ビビって、そのまま移動を始めると落ちそう。
「こんなの誰だってこうなりますよ!落ちたら死ぬんですよ?」
仕方ない。
「動いちゃダメだよ?」
動かないように軽く握って移動を始めた。
魔物じゃない野生動物を探して数匹倒して、手に持って血抜きをしながら三ツ目族の村があるって言う方向に向かって飛んでいく。
「あれか」
数分程でレンガ造りの家が見えて来たので、ここからは地上に降りて歩きで移動する。
三ツ目族がみんな、この男見たいな性格をしていたら龍の姿のまま行ったら大混乱だろうし、人の姿に戻ってゆっくり歩いて行く方が良いだろう。
狩ってきた動物に関しては、紐で縛って引きづって行くか。
さっき迄は通常サイズの龍の姿だから片手で持ててたけど。人間の姿じゃ、狩ってきた動物を片手で全部持つのは無理だからな。
「あの流れはしょうが無いなって歩いて移動する流れだったじゃないですか!?まさか軽くですけど、動けないように握られる事になるとは思いませんでしたよ……」
今日中にE国に帰りたいし、わざわざ時間をかけたくないからね。
「まぁ、その分早く着いたんだからいいじゃないですか。何時までもここに居ても意味が無いですし。村に向かって歩き始めましょう」
地面に座り込んでいた三ツ目族の男を立ち上がらせて村に向かって歩き始めた。
ーーー
「おさがわせしました」
「まぁ、こちら側の勘違いもあったから。お互い様という事で……」
狩った動物を血抜きはもう終わってるからとずた袋に入れて入口を縄で縛って引きづって来たら放心状態の三ツ目族の手を引いて歩いていたのもあって、ずた袋の中身が三ツ目族だと勘違いされてしまい、かなり大事になってしまった。
そのまま引きづって来たら土で汚れちゃうよねって気を使ったつもりが大変なことになってしまって、かなり反省している。
村長っぽい人が「ルシファー様が現れないということはこの者は敵では無いと言う事だ」と言って騒ぎをおさめてくれなければ戦闘になっていても可笑しくなかった。
もしそうなってたら、三ツ目族にはアルカディアの本拠地の場所を占って貰わなきゃいけないので、こっちから攻撃できないし。
三ツ目族達が話を聞いてくれるようになるまで、攻撃を避け続けると言う面倒なことになっていた。
それにしても、ルシファー様か……
恐らくダンジョンマスターの事だろうけど。
ルシファーとサタンって同一人物じゃ無かった?
この間、倒しちゃったんだけど……
俺が倒しちゃったから、此処に現れないって事ないよね?
アトランティスだから、ダンジョンマスターがガタノゾーアの可能性も考えてたから。
その点では予想が外れて良かったなって思うんだけど。
俺がこの間倒した悪魔と同一人物だった場合。
その事が三ツ目族にバレた場合。
占いどころの話じゃ無いだろう。
確実に敵対することになる。
あ〜でも、冷静になって考えてみればそれはないか。
本当にこの間倒した悪魔がダンジョンマスターだった場合、絶炎を使ったからって一撃で倒せるはずないし。
一番の理由としては、あの悪魔が本当にアトランティスのダンジョンマスターだった場合。
マーリンが俺にこのお使いを頼むことは無かっただろう。
マーリンからしても三ツ目族の占いは重要だろうし。三ツ目族を怒らせるようなことはしないだろう。
「それで、お越しいただいたご要件はマーリン殿のお使いでしたな?」
「そうです。アルカディアって言う組織の本拠地の場所を占って欲しいんです」
「代価もしっかりご用意されているようですし。マーリン殿のお願いなので、占うのは良いのですが。夜までお待ち頂くことになります。時間になるまで村に居られると言うことでしたら歓待させて頂きますが。どういたしますか?」
準備に時間がかかるのかな?それとも夜にしか占いをする事が出来ないとか。
どちらにせよ、今日中にE国に帰るのは無理か……
仕方がないとはいえ、将来のお義父さん、お義母さんとの夕食をすっぽかすのは避けたかったな。
時間まで村でのんびりするのも良いけど。
ダンジョンを探索して、何かお詫びの品になりそうなものでも探そうか。
「折角なので、少し辺りを探索してこようと思います。魔物に関しては自由に狩っていいんですよね?」
「ダンジョンだから、自由に採集や狩りをしていただいて構いませんよ」
生態系が崩れたりとか考えなくて良いって楽でいいよね。
地形とか滅茶苦茶にしても修復されるし。
地形を修復するにはダンジョンのリソースをそれなりに消費するみたいだし、ダンジョンマスターが知り合いのダンジョンでは地形破壊はなるべく自重してるけど。
「それでは、夜まで周辺を散歩してきます」
「分かりました。それではお気をつけて」
村長に見送られ村から飛び立った。
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