第165話
「敢えて理外を使うまでもないか……」
ミスリルワイバーンを倒すために理外を構えたけど。理外ばかりに頼ってると強くなれないし、使わなくたって一撃で倒せるかと思い、理外をマジックバッグに収納して、手に普通の炎を纏わせる。
翼を大きく羽ばたかせて加速。
ミスリルワイバーンに接近して手刀で首を両断した。
「首に魔力を集めてたけど。余裕で両断出来ちゃったな」
ミスリルワイバーンの皮はミスリルと同じ性質を持っているので、魔力を流すことで防御力や攻撃力を上昇させることが出来る。
ミスリルワイバーンは俺が攻撃を防ぐ為に首の皮に重点的に魔力を流して、部分的に防御力を上げた見たいだけど、特に意味は無かったようだな。
「ドロップは魔石だけか。皮が欲しかったな」
ミスリルワイバーンの皮は防具に加工したら凄い良い防具が出来ると思ったんだけどな。
ミスリルワイバーンは俺が向かっている山の方から飛んで来たし、飛んでればまた遭遇出来るだろう。
ドロップするかは確率だから絶対手に入るか、運要素が大きいけど。
出来ればソフィアの防具用に欲しい。
ソフィアは魔力で服を作ったり出来ないからな。
「ん?服を着ている人間?」
このまま、ミスリルワイバーンが他にもいそうな山に向かって飛んで行こうと思った瞬間
服を着ている人間らしき存在が目に入った。
見つけちゃったからには追いかけるしかないよな、多分三ツ目族だし。
「あっ!逃げた!」
一瞬、目があったと思ったら直ぐに逃げていった。
ここで逃がすと探すのに時間がかかってしまうので、急いで追いかける。
「ひ〜。どうして追っかけて来るんですか!?アトランティスの魔物は攻撃しない限り中立の筈なのに!!」
どうやら魔物と勘違いされてるらしい。
こいつ三ツ目族じゃないのか?
三ツ目族って予知レベルの占いが出来るってマーリンから聞いてるし、てっきり俺が来ることを占いで知ってると思ってたんだけど。
かと言って、三ツ目族以外に選択肢が無いと思うんだよな……
「ちょっとちょっと。別に襲うために追いかけてる訳じゃないんだよ。マーリンの代わりに占いをして貰う為にここまで来たんだよ。ちゃんと代価も持ってきてるぞ」
そう声をかけてみるけど、全く止まる様子がない。
あっ転んだ。
「大丈夫か?」
「ひっ」
怖がられちゃってダメみたいだな。
あれか龍の姿をしてるからダメなのか?
人間の姿に戻ってから近づく。
まだ、ビビってるけど。さっき迄よりはマシになってるかな?
「さっきも言ったけど。君たちに占って欲しい事があってマーリンの代わりにここまで来たんだ。だから、こちらに食べるどころか傷つけるつもりは無い」
ようやく正面から見る事が出来たけど。
人間と全く変わらない姿をしているんだけど、おでこに瞼が閉じられた3つ目の瞳が存在するので彼は三ツ目族で間違いない筈だ。
「ほ、本当に?」
「わざわざ嘘をつく必要が無い。それにほら。マーリンから代価として、これを渡せば良いって渡された携帯ゲーム機」
マーリンから代価代わりにこれを渡すと良いよと渡されたゲーム機の内の1つをマジックバッグから取り出して見せる。
地味に電気じゃなくて魔力で動くように改造されている。
ダンジョンで充電なんて出来ないし、必要な改造なのかも知れないけど。
その改造、ほかの機械にも施せるんならエネルギー革命が起きるぐらい凄い事だと思うんだよね。
ダンジョンの宝箱で魔石から魔力を吸収して動く家電とか魔石を燃料に電気を発電する発電機とか手に入るけど。
宝箱って普通、簡単に手に入るものじゃないからな。
人の手で、そういう改造が出来るなら、魔力で動く家電を普及させることが出来そうなんだけど。
簡単では無いよな多分。
と言うか。本当にゲーム機が占いの代価で良いのか?カセットも大量に持たされたけど。
未来予知レベルの代価になるかと考えると難しい気がする。
ダンジョンから出ないから、そう言った娯楽に飢えているとかなのかな?
「どうやら本当にマーリンの使いみたいだな。ゲーム機の改造のされ方が、今までマーリンから貰ったものと同じだ」
そこで判断出来るんだ?って思ったけど。
これで、信用して貰えたわけだし気にする必要はないか。
「信用して貰えたんなら、占いをお願いしたいんだけど」
「しっかり代価も用意している見たいだし。マーリンの使いなら占うのは問題ないけど。村に帰らないと占いは出来ない」
なら、すぐに村に向かわないと。
「村って遠いの?」
「こっから6kmぐらい離れた場所にある。それと自分は肉を手に入れる為にここまで来てるから、せめて一頭は仕留めてからじゃないと帰れない。そうじゃなきゃ今日の晩御飯は肉抜きになってしまう」
歩きだとだいぶ時間がかかるけど飛んでいけば直ぐに到着する距離だな。
肉の調達も上空から探せば一匹ぐらい直ぐに見つかるだろう。
「それなら俺が手伝うからさっさと動物捕まえて村に向かおう」
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読んでいただき有難うございます。
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