第164話

「って訳で、俺は少しE国から離れるから」


「映司にぃ。訳をちゃんと説明してくれないと訳が分からないよ」


アトランティスに出発する前に彩夏にE国を少し離れる事を伝えに来た。

今回に関してはわざと訳をしっかり説明してないので諦めて欲しい。


マーリンとアトランティスの存在に関しては話す訳には行かないからな。


「今回に関してはわざとボカしてるから諦めて。早めに日本に帰るために、ちょっと遠出する必要が出来たんだよね」


「それなら無理に聞かないけど。今日の夕食は将来のお義父さんお義母さんと一緒にって話だったのに帰って来れるの?すっぽかしたら印象最悪だよ?下手したらソフィアねぇとの結婚を認めて貰えなくなっちゃうかも?」


「俺だってそう思ったけど、E国の為だからね、これから出かけるの。そこら辺理解はしてくれてる筈だよ」


今日中に帰って来れるか怪しい所では有るけど。

マーリンが責任を持って、E国王室の人達には伝えてくれると約束してくれたからそれに関しては大丈夫なはず。


今日中に帰って来れる様に努力はするけど。

アトランティスに到着して三ツ目族と直ぐに接触出来れば今日中に帰って来れると思うけど。

結構進まないと遭遇出来ないなら今日中に帰って来るのは難しいだろう。


「そう、ならいいけど……映司にぃの事だから、危ないところに行くんだろうけど。無茶しちゃダメだからね」


「死ぬつもりはないけど。気をつけて行ってくるよ。あ〜そうだ、クラリスさんとか風魔さんに俺がE国の外に出かけてるってこっそり説明しといて。周りにバレないようにこっそりね?」


俺がE国の外に出てるってあまり多くの人に知られたくないからな。


「了解!」


これで出発しても問題ないな。

アトランティスの場所を指し示すコンパスを片手に宮殿から飛び立った。


「ここの真下を指してるな」


飛んでいる間に特に何も起きず、平和にコンパスの針の赤い方が真下を指し示すポイントまで到着した。

ここから真っ直ぐ海底に向かって潜水すればダンジョン〈アトランティス〉の入口が見つかる筈。


息を大きく吸い込み潜水を始めた。

俺の目は暗視効果標準装備だし、異常種がダンジョンから出てきてると言う事も起きず。

順調に海底に到着した。


しかし、ダンジョンの入口が見つからない。

まっすぐ下に向かって潜水したつもりがズレてたか?

と思ってコンパスを確認して見ると、コンパスの針の赤い部分が、まだ下を向いている。



もしかしなくても、ダンジョンの入口が砂で埋まっちゃってるって事か……


軽く爆発を起こして砂をどけるか。

海底から少し離れて、海底に向かって火球を飛ばそうと思ったけど。

そんな事しなくても、翼を大きく羽ばたかせれば、それだけで砂を退かす事は出来る事に気づいたので、翼を思いっきり羽ばたかせる。

当然だけど。砂が舞い上がり視界が悪くなった。


視界が悪くなっちゃったけど、コンパスを頼りに移動すると、今度こそダンジョンの入口を見つける事が出来た。


特に海底に留まる必要ないし早くダンジョンに入ってしまおう。


ーーー

「目視出来る範囲に三ツ目族はいないな」


ダンジョンに入ると、周辺は木が1本も生えてない平原だった。

と言ってもフロア全体が平原という事は無さそうだ。

大きい山も見えるし、森も見えるからね。


付近に三ツ目族は見当たらないので、上空から三ツ目族っぽい人を探す事にした。

今回はダンジョンを探索すことが目的じゃないから、空を飛んでダンジョンのギミックは全無視しよう。


アトランティスに出現する魔物とか採集物とか凄い気になるけど、今回は我慢だ。


そう思ってダンジョンを飛び回っているけど。三ツ目族っぽい人はまだ見つからない。

たてがみが炎のライオンとか観光バスサイズのイノシシ、地竜etc.....良い素材をドロップしそうな魔物が沢山いて、戦闘なんて秒で終わるんだし。ちょっとぐらい地上に降りて素材集めしても……って思ったけど。

一度、素材集めを始めると目的を忘れて素材集めに没頭しそうなので、やっぱり我慢。


後、このダンジョンは魔物だけでなく普通の動物もポップするように設定されているらしい。

三ツ目族がダンジョン内で生活していける様にだろうか?


魔物から肉がドロップする確率は基本低いからな。


ダンジョンの野生動物って外の野生動物より美味しかったりするのかな?

地上に降りて、素材集めしたい欲が更に高まってしまった……


また後日、素材を集めに来よう、絶対。


今日はまだ探索していない山がある方面に向かう。


「ワイバーンの癖に生意気だ」


山の方に向かって飛んでいると、全身メタリックカラーのワイバーンが飛んできた。

鑑定モノクルLv2で確認して見ると、メタリックカラーの皮はミスリルと同じ性質強度を持っているらしい。

あの皮を舐めして革防具を作ったら良さそう。

ワイバーンの名前はそのままミスリルワイバーンと言う様だ。


向こうから襲いかかって来た場合は仕方ないよね?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただき有難うございます。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る