第161話
「アンタが此処にいるなら俺がいる必要も無いだろうから、俺はコレ持って帰りますね」
仕事は終わったし。
「そうですか。憤怒の王がいるなら私が戦う必要が無くなるので、私としてはまだまだ此処にいて欲しいのですが」
いや、サボる気満々じゃん。
後、1回目はスルーしたけど。俺の事、憤怒の王ってナチュナルに呼ぶんだね?
悪魔に関するスキルだから?
「各大罪の王と言うのは悪魔からしたら特別な存在ですからね」
「まぁ、そう呼ぶのは良いんだけど。他に人がいる所では憤怒の王って呼ばないでよ?」
厄介ごとの火種になりかねないし。
「では。人のいるところでは龍王と呼ばせて頂きます」
龍王なら別にいいかもう手遅れだし。
四肢を欠損してる人間を持ちながら空を飛んでる所を目撃されると騒ぎになるので、透明になって宮殿に戻る。
「テロリスト生け捕りにしてきました。スキルとかレベルシステムが使えないようにしてあるので、逃げられる心配も無いと思いますよ」
情報を抜かれないように処分しようとテロリストが襲撃を仕掛けてくる可能性はあると思うけど。
「お疲れ様です映司様。重要な情報源として活用させて頂きます」
クラリスさんが警備員に指示を出して。
テロリストの男は警備員達が何処かに連れていった。
「俺以外のところはどんな感じだった?」
「彩夏様は、テロリストに魅了の魔眼を使って。情報を洗いざらい喋らせてるところです。エリック殿下とロイヤルナイツは現在もテロの鎮圧中です」
一般人のいる所だと後処理とかも有るし。
複数箇所でテロが起きてるだろうから、終息させるのも大変そうだ。
「俺も応援に行った方が良い?」
「現場付近にいた兵士と協力して動いているようなので、応援は必要ないかと」
なら、応援は行かなくて良いや。もうそろそろホントに眠い。
「それなら、この宮殿で大人しくしてる事にします。そうだ、俺が着いた時点でロンゴミニアドが奪われていて城が崩壊していたんで城の原型が残ってないですって事を報告しておきます」
報告しておかないと後から何言われるか分かんないからな。
「奪われたロンゴミニアドはどうなったのですか?」
城よりロンゴミニアドの方が重要か。
どう報告しよう?ロンゴミニアドの方を重要だと思っているって事はクラリスさんもあの城に存在するロンゴミニアドは偽物って事は知らない感じか。
一振で城が崩壊したって事実が有るから本物って信じる人が更に増えるかもな。
……もしかして、それも計算通りだったりする?
偽物なんだから、一振で城を崩壊させられる性能なんて必要無いんじゃないか?と思っていたけど。
実際の神を見た事ない連中なら、あのレベルの武器でも充分神に通用しそうって思いそうだしな。
一振で城を崩壊させられる武器なんて充分ファンタジーな武器だしな。
今回の件でアレを本物だと勘違いしたテロリストが本気で奪おうとあの城を目標に設定する。
あそこは人里から少し離れているから、戦闘する時に周りを気にする必要が無い。
市街地とかで暴れられると。こっちは周りに被害が出ないように色々気にしながら戦わなきゃいけないし。
と言うか、あの城にはやべぇ悪魔が居るし。
あの悪魔を出し抜いて、ロンゴミニアドを盗むのは不可能だろうし。
悪魔を倒すなんてもっと無理だろう。
テロリストがロンゴミニアドを求めて自滅していくテロリストホイホイ的な感じ。
「ロンゴミニアドに関しては管理人に返した」
そう言えば、特に警戒せずに悪魔を信用しちゃったけど。
なんで警戒1つせずに信用しちゃったんだろう。
しかも悪魔って分かっているのに。
いくら味方だったとしても、少しは警戒しなきゃダメだよな。
もしかして俺、なんかスキル使って思考を誘導されてた?
「管理人ですか?」
「そうだと思ってたんだけど。ちょっと不安になってきた。一回確認しに行ってこようかな……」
悪魔の方もロンゴミニアドモドキを盗みに来てた可能性もあるよね。
いや、それは無いか。
あの悪魔には偽物を態々盗む意味が無いし。
あ〜。聖杯があるか……
悪意を持った悪魔に聖杯が奪われたって結構やばくないか?
「一応、アレは敵じゃないから安心して良いよ。面倒くさがりやだからね。態々、敵じゃないことを説明するのが面倒臭いから。思考を誘導したんだと思うよ。怠惰の王を押し付けてくるような悪魔だからね。『本物の怠惰は王なんて名乗らない』とか言って」
サタンより強そうだなとは思ってたけど。
その予想は当たってたってことだな。
思考を誘導する方が面倒臭いと思うんですが……
それと、当然のように会話に入ってくるなマーリン。
「クラリスさんもいるのに会話に入ってきて良かったの?」
今の内容、E国の人間だろうが、両手の指で数えられるレベルの人数しか知らない情報だと思うんだけど。
「まぁ、問題ないでしょ。態々、言いふらすような性格してなさそうだし」
マーリンが良いなら良いけどさ。
「とりあえず。あの城にいる悪魔はマーリンの仲間ってことでいいのね?」
「そう思ってくれて大丈夫。このまま襲撃が続くと『働きたくないでござる』って仕事を放棄するかもしれないけど」
ダメじゃん。あそこの地下やべぇものが安置されてるのに。
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