第160話

「これでよしっと」


無力化したテロリストの男にポーションをかけて止血する。


それにしても、この城が無人で助かった。

丁度、耐震工事の最中らしく。工事がない日は警備もゼロで完全に無人になっているようだ。


工事が休みの日に異常種がダンジョンから出てくるという事態が重なった結果。テロリスト共はチャンスと思って大きく動いたわけだな。


「と言っても、テロリスト共はE国王室にまんまと騙されて、誘き出されたってわけだ」


テロリストの男がロンゴミニアドと言っていた騎槍を手に持つ。


「一振で城を崩壊させられる、確かに凄い性能の武器なんだろうけど。ロンゴミニアドではないな。大方、テロリストを誘き寄せるためのエサとして用意した、ちょっと強い騎槍ってところか」


この程度の武器で、リーリンさんや須佐之男がダメージを受けるとは思わないしね。

耐震工事や警備の人員すらいないと言う所も含めて罠なんだろうな。


「それに、無人なだけで何も居ないわけじゃ無いみたいだしな。なぁ悪魔さん?」


一見、誰もいない空間に向かって声を掛けると、空間が歪み執事服を身に纏った、男が現れる。

角が生えてたりコウモリみたいな翼が生えてるわけじゃないけど、魔力の質からして悪魔で間違いない。


恐らく、マーリンの部下でロンゴミニアドを盗むためにノコノコやってきたテロリストを殺すか無力化するのが、この悪魔の役目ってところかな。

何十人も人間の警備をつけるより。

確実な方法だしな。


「それにしても、なんでロンゴミニアドモドキ盗まれちゃってるの?お前なら余裕で排除できただろう?」


「憤怒の王が起こしになると聞いていたので、私は手を出さずに傍観させて頂きました。態々テロリストたちに私の存在を教える必要が有りませんから」


ロンゴミニアドを奪おうと襲撃を仕掛けてくるのは、今回で終わりとは限らない。

その時にテロリストが、悪魔の存在を知っているかいないかってのは重要になってくるか。

対策とかされてたら面倒だろうし。


正直対策されてところで、どうにかなる実力じゃないと思うんだけどね。

目の前の悪魔。


ぶっちゃけ、憤怒の王だったサタンより強いと思う。

サタンも強いんだけどね。絶炎を使っちゃったからあれだけど。


「あっそう。俺の仕事を残しといてくれてありがとさん。で、コレはあんたに渡せば良い?」


「まぁ、サボれるところはサボるが私のモットーですので。騎槍については私が責任を持って元の場所に戻させていただきます」


騎槍を悪魔が手に取ろうとした瞬間、騎槍を引っ込める。

結果。悪魔の手は空をきった。


「どう言うおつもりですか?」


「いや、ちょっとした好奇心だよ。この城の地下にロンゴミニアドでは無いけど。それに匹敵する何かが安置されてるでしょ?」


その騎槍からは特に何も感じないけど、地下から、凄いオーラを感じる。


「やはり気づいてましたか……申し訳ありませんが、それにお答えできる権限を持ち合わせていませんので……」


無理に聞く必要ないか。

今度、マーリンにあったら聞いてみよう。

マーリンは確実に知ってるだろうし。


「そっか無理に聞こうとは思わないから、それならこれ以上聞かないようにする。知らない方がいい情報もあるし。はい、今度こそ返す」


マジモンのロンゴミニアドなのかエクスカリバーなのか円卓の騎士達が使ってたとされる武器や防具なのか……

その情報を知ったところで、意味はないしな。


何と無く、武器や防具じゃない気がしてるから。

何と無く、この城に安置されてるのは聖杯なんじゃないか?ってちょっと思ってるけど。


どんな性能してるのか分からないけど。

聖杯の存在が明るみに出たら絶対、世界が今以上に荒れる。


超常的な力を持った杯と言われていて、具体的な効果については分からないけど。

アニメとかゲームとかでは持ち主の願いを叶えるとか割ととんでもない効果を持っていることが殆どだし。


誰にも知られずに安置されてる方が世界の安全的にも良いだろう。

なので、この城の地下に安置されてるものが聖杯だなんて確証を得る必要は無い。


「賢明です。それに、そこまで便利なものでは有りませんよ。願いを叶える代償が必要ですからね」


うん、この悪魔。ナチュナルに思考読んできたんだけど……。


それに 地下に安置されてるのは聖杯ですって言ってるようなものじゃん。


しかも、願いを叶えられる系の効果だって言っちゃってるし。


代償は必要だって言ってるけど。


聖杯のイメージが完全にFa〇eの物だ。


ろくなものじゃ無い感が確実に上がった。


絶対関わらない。


多分だけど。地球上最強の生物になりたいって願ったら、願った本人以外の生物が死滅。

一人しかいないなら最強だよね見たいな願いの叶え方をする系のやばい聖杯だきっと。


「それにしても、一人で襲撃するなんて。そんなに自信があったのかな?」


こう言うのって複数人で来るものだと思ってたけど。


「一般人がダンジョンに入ることができない状況と考えると。まぁ、それなりの実力と言う評価になりますから。下手に人数を用意するより。1人でコレを奪取して速攻で撤退する作戦だったのでは?」


まぁ、そんな感じか。


取り敢えず。態々生け捕りにしたんだし。

エリックさんに引き渡すか。


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読んでいただき有難うございます。

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