第162話

「それ、大丈夫なんですか?」


「本当にやばい時はちゃんと働いてくれるから大丈夫だよ」


あっそう。


「まぁ、それで良いなら良いんですけどね」


万が一聖杯が盗まれるような事があればマーリンに責任取らせるだけだし。


ってマーリンもう居なくなってるし。

最低限あの悪魔が敵じゃないってことを伝えに来ただけってことか。

マーリンの存在は極秘だから他の人に見つかる前にトットと姿を消したわけか。


「今のは……」


「アーサー王伝説の登場人物のマーリンです。マーリンの存在は超極秘事項で、E国王室とほんの一部しか知らない情報なので喋らないでくださいね?」


「そんな極秘事項を映司様が伝えられてると言うのが驚きなのですが。まぁ、映司様ですからね 」


実際はマーリンが勝手に俺にばらしたってのが正解だと思うけどね。


「私は何も聞かなかったそういう事にしておきます。報告はそこら辺の事情を隠す必要が無い、エリック殿下だけにしておきます」


「そうしてください」


エリックさんならマーリンについて知ってるし、誰がマーリンについて知っているかも把握しているだろうし。

エリックさんに報告すれば問題無いだろう。


これでようやく、ドタバタした一日が終わったな。

2時間もすれば日の出の時間だけどね。

結局徹夜で働くことになってしまった。

1時間だけでも良いから寝よう。

どうせ明日も忙しいだろうし。

……明日じゃなくて、もう今日の話か。


最低限シャワーを浴びて歯磨きをして急いでベットの中に入った。

1秒でも早く寝ないと、また厄介事を持ってこられそうだし。


幸い意識を手放すまでにドアをノックされることは無かった。


ーーーーーーー


「1時間寝るだけでも。やっぱり大分違うな」


目を覚まして伸びをしながらベットから出る。


スマホで時間を確認する。


次いでにネットニュースを確認してみると、日本でもトレントの異常種やテロの事が報道されているようだ。


と言っても。NK国が日本海にミサイルを発射する威嚇行為を始めたと言うニュースの方が話題になっていて、そこまで話題になっている訳では無さそうだ。


「それにしてもNK国か威嚇行為程度で終わってくれれば良いんだけど」


こんな世の中になる前からミサイル発射を繰り返して来た国だからな。

今回は威嚇程度じゃ済まないかもしれない。

家にいる戦力で殲滅できるだろうけど。

こういう場合、矢面に経つのは自衛隊だろうからな。


闘技場で手に入れた武器を渡してあるから、強くはなってるだろうけど。


俺がいなくなってから挑発行為を始めた訳だし。俺が日本に帰るだけで戦争は回避できると思うけど。


C国に現れた悪魔のサタンを倒しちゃったのは早計だったかも知れない。

放置しておけば、NK国も滅ぼしてくれたかも知れない。


流石に発想がブラック過ぎるか。


まぁ、万が一戦争が起きたとしてもNK国に日本が負けることは有り得ないから、そこまで心配する必要は無いだろう。


「取り敢えず。俺はE国の問題を解決する事に集中しよう。それにしてもテロリストが樹立した国アルカディアだっけ?何処に有るんだろうね?」


幾つかの国を滅茶苦茶にしているけど。

どうやらそのめちゃくちゃにした国を乗っ取って新しい国を名乗っている訳では無いらしい。

国というより本拠地って言った方が良いかな。


アルカディアの連中はヨーロッパ中に居るんだけど。

本拠地が一向に見つからない。


建国を宣言しても、その場所については一切言及されてないからね。


「やっぱりダンジョンの中にアルカディアの本拠地があるって事なんだろうね」


迷路みたいなダンジョンじゃなくて、平原みたいなフィールド型のダンジョンなら生活することも出来るだろうし。


昨日無力化したテロリストの男、レベルがある程度上がってたしな。

自分たちが自由に使えるダンジョンを保有してるのは確実だと思う。


取り敢えず。朝ごはん食べたいな。

鳴らせばメイドさんが来ると説明されたベルを鳴らす。


ベルを鳴らして数十秒で来たメイドさんに朝食の用意をお願いする。


朝食が運ばれてくるまでの間、ネットニュースの続きを確認する。


南米の独裁国家でクーデターが起きたとか物騒なニュースばかりだ。


「アレ、放送されたんだ」


男アイドルがダンジョンに入って実際に魔物を倒す姿を撮影したアレ。

昨日放送されていたらしい。


勿論俺が男アイドルを庇ったせいで串刺しになったシーンはカットされてたけど。

無かった事にされた訳じゃなくて、しっかり説明されて、男アイドルも凄い反省している姿勢を取っていたので、抗議をしたりはしなくていいや。


まぁ、反省しているフリかもしれないから、

少しの間、出てるテレビとか見させて貰おうかな。

後は河村さんにも注意しといてもらおう。


流石に自分のせいで人が死ぬところだったんだし。流石に本気で反省してると思うけど。

人が死ぬと言うよりか俺が助けなきゃ自分が死んでた訳だし。


「映司様。朝食をお持ちいたしました」


メイドさんが朝食を持ってきてくれたので、スマホを置いて朝食を食べ始めた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただき有難うございます。

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