第157話
先ずは慌てず、風魔さんの報告を聞こう。
動くのはそれからだ。
「因みに何処で何をするかまで把握できましたか?」
「旧C国の連中はこの宮殿を襲撃するようです。問題なのが、宮殿への襲撃を旧C国の連中に命令している存在がいた事です。恐らく、その存在は他の場所でもテロを起こすつもりかと」
旧C国の連中の俺に対する恨みを利用して、自分たちが直接襲撃するにはリスクの高いこの場所を襲撃させて。
自分たちは戦力が、ここの防衛に集中してる間に別の場所でテロを起こすつもりか。
「トレントの異常種のせいで、既にE国の戦力は大打撃をうけてるのに、今からテロ鎮圧なんてかなり厳しいだろうに」
E国は最初から異常種の討伐を俺に依頼してきた訳では無い。
最初は自国の軍隊だけで、倒そうと戦力を集結させて異常種に決戦を仕掛けた。
当然、大した戦果は出せず。敗北してしまった。動員した兵士の半分以上が犠牲になってしまったとクラリスさんから聞いている。
勿論、戦車や戦闘機などといった兵器もかなりの数破壊されている。
エリックんさんや王族を守護する為に設立されたロイヤルナイツを動員すれば勝てなかったとしても、もう少し被害を抑えられてたと思うんだけどな。
手柄を独り占めしたい軍部の上層部の妨害のせいで参戦出来なかったようだ。
それに、避難所の警備や被害が出た場所の後片付けで、無事な兵士は大忙しだ。
そう考えると。今、E国にテロに対処出来る戦力はない。
俺だって何ヶ所も同時に対処するのは難しい
竜牙兵を使って何とかすることは出来るだろうけど。その場合は周りへの被害度外視でテロリストと戦うことになる。
宮殿を含めてもう一箇所ぐらいなら、
トライヘッドアイスワイバーンのまん中の頭の人格を持った竜牙兵のロスに竜牙兵の指揮を任せて対処する事は出来るけど。
それ以上はスマートにテロリストだけを排除すると言うのは難しいだろう。
「とにかく俺たちが勝手に動くのは、後々人の足を引っ張るのが大好きな連中にネチネチ言われる可能性が高いので、先ずはクラリスさんを通じて、テロリストが動き出そうとしているって情報を伝えて貰いますか」
それ以前に他国で要請前に勝手に動くのは問題だろう。
風魔さんの旧C国の連中の尾行だって、しっかり報告してからやってるんだから。
どうやるのか方法までは教えてないけど。
「そうですね。私はこの事をエリック様と政府の人間に伝えに行ってきます」
クラリスさんも大変だな。
「そう言えば、風魔さんって知り合いに短刀の鞘とか柄を作れる人いませんか?」
理外をちゃんと完成させてやらないとな、とは思っているけど。
柄や鞘を作れる知り合いはいないし。
そもそも短刀って刀身の他に柄と鞘しかパーツって無いの?ってレベルの知識しかない。
もしかしたら他にも必要なパーツがあるかも知れない。
そこら辺リアル忍者の風魔さんなら詳しそうだなと思ったので、聞いてみた。
「短刀の鞘と柄を作れる職人の知り合いですか?私は、スキルが使えるようになる前は忍者の末裔として忍者道場を経営していたので、何人かいますよ」
流石風魔さん。と言うか忍者道場か。
スキルが存在しなかった時は外国人に人気だってテレビでやってたけど。
今もそれなりに需要が有りそうだな。
「正確に言えば短刀では無いんですけど。短刀に似せて作ったので、柄や鞘を用意してあげたいなと思って」
理外をマジックバッグから取り出して風魔さんに見せる。
「自作したんですか?これを……なんか凄い力を感じるんですけど」
まぁ、絶炎を結晶化したものだからね。
なんかとんでもない武器ですよって感じのオーラが出ているのかも知れない。
俺は全然感じないけど。
「そうですね。新しく作るのは無理ですけど」
「そうですか。因みにお聞きしますけど、研いで刃をつける必要はないんですよね?」
見れば刀身の形をしているだけで、刃も付いていないと分かるわけだけど。
俺が研ぎはお願いしなかったことで、刃をつける必要はないんだなと察したようだ。
「この状態でも、問題なく敵を斬ることが出来るので」
「そうしたら。私から依頼させてもらって必要なものを用意しておいて貰いましょう。それでなんですが、この刀身の寸法を測ったり写真を撮らせて頂いても宜しいでしょうか?実物がなければ仕上げは出来ませんが、寸法や見た目が分かる写真があれば、ある程度作業を進めることが出来ると思うので」
「そういう事でしたら問題ないですよ。そう言えば、今回倒したトレントの異常種を材料に使えないかなって思ってたんですけど。それだと俺が素材を持って帰るまで制作に入れなくなっちゃいますかね?」
世界中殺伐としすぎて、飛行機や船で移動するのも危険だしな。
異常種の素材を運んでいるなんてバレたら100%襲撃されるだろう。
俺が飛行機でも船でも同乗してれば襲撃されようが、返り討ちにするけど。
今、E国から出国することも出来ないしな。
「そうですね。魔物なので、分かりませんが。普通の木と同じなら。先ずは、素材として使えるように乾燥させたりとか色々な作業が有りますからね。取り敢えず。普通の木を材料に使って。トレント製のものが出来たら取り替えるみたいな感じにするのはどうですか?」
2回分お金を払うことになってしまうけど。
そのぐらい気にする必要ないか。困ったらダンジョンで稼げば良いんだし。
「じゃあ、それでお願いします」
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読んでいただき有難うございます。
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