第158話
「有難うございます。こちらはお返しさせていただきます」
理外の寸法を測って写真を一通り撮り終わったので返してもらう。
「やはり未知の素材と言うのは魅力的ですね。私もファンタジーな素材を使った忍具が欲しくなってしまいます」
成程……風魔さんは有能忍者だからな。
素材の融通ぐらいはしてもいいかなと思う。
有能諜報員は、ただの戦闘員より貴重だし。
「荷物になるので、持ってきていないですけど。魔鉄、魔鋼、ミスリルのインゴットが自宅にありますよ。流石にタダでは無理ですけど。良心的な価格でお譲りしますよ」
「ホントですか!是非買わせてください!本当はミスリルと言いたいところですが、流石にミスリルを買うお金を用意するのは難しいので、先ずは魔鉄でお願いします」
ミスリルがバカ高いのは分かるけど。実際いくらになるか分からないんだよな。
今まで存在しなかった金属だし。
「それじゃ、日本に帰ったら魔鉄を販売させてもらいますよ。と言ってもE国のダンジョンで手に入れることも出来るかも知れないですよ」
どこまでダンジョンの攻略が進んでいるのか知らないけど、宝箱が残ってたりとかするかもしれない。
まだ一度も討伐されてない中ボス狩りをしたら貴重な金属が手に入るかもしれない。
初討伐報酬は豪華なことがほとんどだからね。
逆に言うと、豪華だからこそ、他国の人間に討伐させるのは嫌がるかもしれないけど。
実際、日本もソフィアもダンジョンに連れてって良い?って聞いたとき。
既に探索がされてるエリアのみで、一度も討伐されてない中ボス以上の魔物の討伐禁止ってルールを守るならって事になったからね。
E国でダンジョンに入るとしたら、色々制限が設けられて、凄い窮屈なダンジョン探索することになるかもしれない。
「国同士の関係を悪くする訳には行かないので、大人しく映司さんから買い取らせてください」
それもそうか。ダンジョンに行かなくても俺から買い取れるんだし。
国同士の関係が悪くなるリスクを背負う必要はないか。
「映司にぃ、また厄介事?」
「異常種がダンジョンから出てきた混乱に乗じて、テロリスト共が動き出した」
伝えるつもりは無かったから、部屋に呼ばなかったんだけど。黙ってても自分で調べるだろうし。
大人しく今の状況を伝える。
「それじゃあ、ここを襲撃を計画してる連中は私が排除するよ。そうしたら映司にぃは別の場所の対処が出来るでしょ?」
中学生に人殺しをさせるつもりは無かったんだけど。
俺が何を言おうと、戦うって顔をしている。
「人を殺すことになるんだよ?」
「今更だよ。魔物だって生きてるんだし。
人だろうが魔物だろうが、殺すことに変わりは無いと思うよ」
「無理だと思ったら直ぐに逃げる事。それを約束出来るなら。彩夏にも戦ってもらう事にする」
正直、年齢云々の話は俺が言えた話じゃないし。
彩夏がヴァンパイアとして生きていくことを受け入れてから、覚悟決まりすぎな気がするんだよな。
だって、再生するし死なないからって、体が欠損する事を全く恐れてないんだよね。
俺だって、戦闘中腕を斬り落とされたからって動きが止まったら、大きな隙になるからと。
リーリンさんに模擬戦で何度も手脚を斬り落とされて、そこまで欠損することを気にならなくなったけど。
彩夏に関しては最初から欠損することに対して恐れてなかった。
寧ろわざと腕を斬らせて攻撃する見たいな戦い方をしてるし。
なんだったら死んだら死んだでしょうが無い見たいな雰囲気を感じる。
種族がヴァンパイアに変わってしまって、それを受け入れた事で、精神的にもヴァンパイアに近づいたと言う事なんだろうか?
ソフィアも若干エルフっぽい感じに性格が変化してるみたいだし。
俺も龍っぽくなってるらしいから。そういうことなんだろうね。
龍っぽくってなんだよって思ったけど。
一度敵認定すると容赦ないところとか、もろ龍っぽい性格って言われたな。
「お待たせしました。軍の上層部が軍だけで対処出来ると煩かったので少し時間がかかってしまいました。最終的には、貴方も前線にたって直接指揮を取っていただけるなら軍にお願いする。という流れになったら、速攻で黙りました」
まじでろくでもない奴だな。
そんなやつの命令のせいで、多くの兵士が犠牲になったと思うと本当に気分が悪くなる。
「お疲れ様ですクラリスさん。それでテロリストの対処はどう言った形で実施されることになりましたか?」
「今回はエリック様が指揮するロイアルナイツと日本勢で対処する事になりました」
成程。エリックさんを含め日本に来ていたロイアルナイツはリーリンさんの暇つぶしに扱かれたから、スキルの使い方や体さばき等、技術的なものがかなり向上している。
テロリストぐらい軽く無力化してくれるだろう。
スキルも珍しい物を最低でも1つ所持してることだし。
「成程。後、彩夏も戦うと言うので、戦力として計算することにしました」
「分かりました。彩夏様、無理はしないでくださいね?」
「皆、心配しすぎだよ。これでもヴァンパイアなんだよ?」
そうなんだろうけどさ……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただき有難うございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます