第155話
「あ〜緊張した。もう今日は何もやる気が起きない」
E国に来た以上ソフィアのご両親に、ご挨拶させてもらう事になると覚悟はしていたけど。
もうちょっと、心の準備をする時間が欲しかった。
しかも、俺が到着するのを護衛がしっかりついてたとは言え。外で待ってるとかもう完全に想定外だよ。
自己紹介とソフィアを頼んだよって言われて勿論ですって答えただけですぐに終わったんだけど。
人生で1番疲れたかも知れない。
短い時間で会話を切り上げたのは、こちらが移動で疲れているだろうと言う配慮で、明日の夕食の時間にゆっくり色々話をする予定になっている。
今は案内された客室で、ダラダラしている
「もっと、絶炎が気軽に使えるようになると良いんだけどな……」
現時点じゃ魔力消費が多すぎて使いにくい。
レベルは50超えてから一気に上がりづらくなったし。進化もいつできるか検討もつかないので、魔力量を急激に増やすってのは難しい。
闘技場で手に入った魔力を貯めておける指輪も貯めておける魔力量が俺からしたら少なすぎて使う意味が無い。
絶炎の消費魔力を少なくするってのも、少なくとも現時点では出来そうにない。
絶炎がもっと気軽に使えるようになれば、戦いがかなり楽になる。
「……これなら行けるか?」
これなら、少なくとも今よりは楽に絶炎が使えるようになるんじゃないか?という方法を思いついたので、試してみる事にした。
魔力回復ポーションを大量に用意して絶炎を作り出して結晶化させる。
触れたものを逆に凍おらせる青い炎も結晶化出来たんだから絶炎だって結晶化する事が出来るはず。
魔力回復ポーションをガブ飲みしながらドンドン絶炎を生み出していく。
「良し!出来た!」
かなり大変だったけど。長さ15cmぐらいの刀身の形をした絶炎の結晶が完成した。
見た目は刀身の形をした色ガラスだけど、神器って言えるレベルの武器が出来てしまった。
俺の思い通りの性能ならだけど。
柄や鞘は帰ったら作ってもらわないとな。
研いでないから刃はついてないし、見た目は刀だけど。刀と言うよりは杖みたいな武器だから柄や鞘が無くても武器として使えるし。焦って用意する必要はないだろう。
ちょっと不格好だけど。
「武器を使ったからには銘が必要だよね」
なんかかっこいい銘をつけてあげたいなと思ったけど俺には無理ったので、そのままの銘をつけることにした。
「この短刀の銘は【
地球の理を拒絶し否定する絶炎から作られた武器なので、理の外にいる武器と言う意味でそのまま理外だ。
理外を短刀に分類した理由は見た目で分類するとしたら短刀だったからだ。
変にかっこよくしようとするよりはマシな銘かなと個人的には思っている。
大量に部屋に散らばっているポーションを入れてあった瓶を回収しなきゃいけないんだけど。
そんなこと面倒臭いってレベルで疲れた。
一度寝て起きてから片付けしよう。
理外をマジックバッグに仕舞って今日は寝てしまおうと思った瞬間ドアがノックされる。
「映司様、クラリスです。緊急事態です」
緊急事態?もう今日寝たいんだけど……
仕方ないか。
「入って大丈夫ですよ」
「失礼しま━━ってなんですか!このポーションの空き瓶」
「クラリスさんには後で説明するから。今は緊急事態の内容について教えてください」
「そうですね。分かりやすく言えばE国で異常種が発生しました。既に戦力を動員して戦闘が開始していますが、殆どダメージを与えることが出来ず。映司様に救援要請が来ています」
成程。ダンジョンから異常種が出てきちゃったか。
流石に、異常種を見逃すつもりはないし倒しに行くか。
理外を使ってみるいい機会だし。
「直ぐに向かいましょう。場所を教えてください」
首都からはかなり離れた場所だな。
地図を使って教えてもらった場所に向かって飛んで急行する。
龍の姿にならなくても飛べるので。今回は、そのまま人の姿だ。
「でっかい木だな。トレントの異常種か……クラリスさん。今からトレントを伐採するけど。トレントの周辺から避難は終わった?」
電話でCクラリスさんに確認をとる。
生存者が倒れてきたトレントの下敷きになるなんて事になったら最悪だからな。
「トレント周辺に生存者はいません。思いっきりやっちゃって下さい」
生存者は、か……
せめてこれ以上、死者がでないように一撃で終わらせよう。
「まだ、1km以上離れているけど。直接目視できるなら理外の間合いだ」
刀身だけの理外を無造作に横に薙ぐと。
1km以上離れているはずのトレントの異常種の幹が両断されて、地面に倒れる。
「魔力の消費は全魔力量の3分の1程度か。基本、攻撃を外すことは無いだろうし普通に絶炎を使うよりかなり魔力の消費が減ってる大成功だな」
「トレントの異常種の動きが止まりました。恐らく、討伐完了です」
ダンジョンの中だと魔物は死ぬとダンジョンが吸収しちゃうから消えるけど。
外でだと死体吸収する存在がいないから、丸ごと素材として利用できるのか?
まだ、トレントは死んでないだけかもしれないけど。
今までダンジョンの外で魔物と戦った事はこれを入れて3回だけだし。
うち2回は、素材として残すつもりなんてない攻撃方法で倒したからな。
トレントの異常種が死んでいるのか俺が直接確認しに行くのが確実か。
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