第149話
「さっきから、引き運が悪い」
しっぽが5本ある人間形態の妖狐と戦闘を終えて、少し休憩してからもう一度闘技場に挑戦すると真っ黒なキューブが現れたかと思うと、俺そっくりに姿を変えて炎を使って攻撃してきた。
当然だけど。姿を真似ただけでなく能力も1部使えるようになっているらしい。
〈憤怒〉やルールを無視した炎は使って来ないからね。
さっきから竜牙兵を召喚したり、本人は上空からブレス吐いたりと俺の能力を使ってもうやりたい放題だ。
〈憤怒〉のBP上昇を使われてたら手がつけられなかったろうから、そう考えると運が良かった。
竜牙兵も俺にダメージ与えられるぐらい強いし。俺に変身している本体も普通に強い。
このまま戦闘を続けたら普通に負けると思うんだけど。
ゴリ押しあんまり好きじゃないんだけど仕方ないか…
ダンジョンにもダメージが入っちゃうのは後で雷太に謝ろう。
大江山ダンジョンの時とは違って闘技場内だけって範囲指定はするし。被害は最小限で済むんじゃない?
〈憤怒〉で体温だけじゃなくて、闘技場内の温度を上昇させる。
滅茶苦茶熱い火球を作り出すだけで、同じことできない?って俺も思ったけど。
魔力で作り出した炎は周囲の温度を上昇させたりしない。
無意識で炎を作り出せば、炎から数十cmぐらいの場所は温度が上昇するけど。
逆に意識すれば、完全に周囲の温度を上昇させないようにできる。
なんだったら燃やさないってことも出来るしね。
魔法はどうか知らないけど、俺が周囲の温度を上昇させるなら〈憤怒〉を使うのが1番燃費が良くて効率が良い。
闘技場全体を火の海にしちゃえば、闘技場内全体の温度を上昇させることも出来るけど。
それだと〈憤怒〉と違って炎を作り出すってワンクッション必要になるし。
魔力もこっちの方が消費する。
というわけで、闘技場は一瞬にして溶岩湖に早変わり。
竜牙兵は全て溶岩湖に沈み、残りは俺に変身したキューブだけだ。
と言ってもBPに関しては、俺がBP上昇系のスキルを使っている状態をコピーしているらしく。
思うように攻撃を当てられない。
相手が回避に専念してるからってのも有るんだろうけど。
と言うかBP上昇系のスキルもコピーされた場合。
擬似的にBP上昇系スキルが2回発動するってことか…
〈憤怒〉コピーされなくてほんとに良かったな。
このタイプの敵は時間をかけると何をしでかすか分からないので、早くケリをつけちゃいたい。
と言っても防御力とか耐性も俺を完全コピーしているなら、倒すにはかなりの火力が必要になる。
地球の定めたルールから逸脱すればするほど魔力の消費が凄いことになるから、あんまりデタラメな炎を作り出して来なかったけどアレを倒すには触れただけで即死するぐらいデタラメな炎を作り出さないと、倒せない気がする。
そのレベルになると数秒維持しただけで魔力切れになる可能性が有るので、敵に接近してから炎を作り出し、手に纏わせて殴る。
あれぐらいなら防御でも問題ないと思ったのか腕をクロスしてガードしたけど。
炎が触れた時点でこっちの勝ちだ。
「全てを否定し拒絶する炎って想像したけど。想像以上だったな」
厨二病っぽいけど、そのままだと長いし
〈絶炎〉とでも呼ぶことにしよう。
〈絶炎〉に触れた敵は最初のキューブ状の姿に戻り最終的に灰になってしまった。
〈絶炎〉で触れられたものは何であれ存在を否定されて消滅する。
敵も瞬殺出来るし。
体に纏わせれば、どんな攻撃でも防げる最強の防御手段にもなる。
と言ってもリーリンさんレベルなら〈絶炎〉をどうにかする手段持ってるんだろうなって言う予感はしてる。
まぁ、予想通り魔力の消費が多すぎて。
ほんの数秒手に纏わせただけで魔力がスッカラカンになってしまったので、全身に纏わせるなんて無理だけど。
レベルを上げるか進化するか。
今のところ魔力を大きく増やすには、そのどちらかしかない。
俺が知らないだけで、魔力を増やしてくれる装備とかスキルが有るかもしれないけど。
どちらにせよ、どの方法でも1日2日で魔力をガッツリ増やすのは難しい。
当分〈絶炎〉はさっきみたいな使い方をするしかない。
まぁ、一撃必殺になるんだから、充分すぎるけど。
万が一攻撃を外すと魔力がスッカラカンになるから、使うタイミングは慎重に決める必要がある。
「まぁ、今はそんなことより宝箱だ宝箱」
今回の報酬宝箱を開けて中を確認する。
中身は1つ1kgぐらいのミスリルインゴット数本だった。
確かにレアだけど、あのキューブの討伐報酬と考えると、もっとレアなもので良いんじゃない?と思ってしまう。
「時間的にまだ、戦えるけど…明日朝早いし今日はやめておくか魔力を回復するのにポーションがぶ飲みするのも嫌だし」
魔導具を使ってお手軽量産出来る。3級魔力回復ポーションでは何本も飲まないと魔力を全快させることができない。
量にしたらリットル単位だし。
お腹がタポタポになってしまう。
そこまでして戦う気にはならないし。
今日はもうやめにしよう。
転移結晶を使い桃源郷経由で家に帰った。
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