第145話


男性アイドルが使うセイントスラッシュという攻撃はアンデッドドールの右前脚を切り落とした。


ダメージはあってもまだ倒せないかな?と思ったら。アンデッドドールがすごい勢いで苦しみ出す。


セイントって言うぐらいだし、アンデッドには特攻があってもおかしくないよな。


あの程度のアンデッドなら掠っただけでも倒せるのかもね。


そう考えるとこのダンジョンを選んだ理由にも納得できる。

せっかくの特攻生かさないのはもったいない。


痛みに苦しみのたうち回っていた、アンデッドドールが黒いモヤになって消える。

いつも通りアンデッドドールがいた場所には魔石だけが残っていた。


ドロップした魔石を見て午前中のヴァンパイアっ娘のことを思い出す。


初めて見た魔石に興奮して、トラップ発動させて串刺しになったんだよな…


やな予感は的中して男性アイドルは既に歩い始めていた。

ご丁寧にトラップを踏み抜くまさに一秒前という状況。

河村さんは撮影班の方を確認中で男性アイドルを止めるのに一歩遅れてしまったようだ。


地面を本気で蹴って男性アイドルの方に突っ込む。

そもままタックルで、飛ばしたら男性アイドルはミンチより酷いことになってしまうので、プロテクターを掴んで、適当に投げる。


「ウォータークッション!」


男性アイドルを投げた方向に人がすっぽり入るサイズの水球が現れて男性アイドルその水球に突っ込んだ。


咄嗟にウィーに水のクッションを作って貰えるようにそれっぽい技名を叫んだけど。

上手くいってよかった。

失敗したら壁に激突して壁のシミになってただろうけど。

かと言ってああしないとトラップで死んでただろうし、文句は言わせない。

もっと安全に助ける方法もあったと思うけど、そんな一瞬で方法考えて実行するなんて無理だし。


男性アイドルが水球の中で息苦しそうにもがき出したと思ったら水球が消えて男性アイドルが地面に着地する。


「ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...ちくしょう!なん━━━━━」


男性アイドルが文句を言おうとして固まる。


まぁ、庇ったせいで俺が串刺しになってるからね。

かなりショッキングな映像だしそうなるか…


この槍どうしようか。炎を使ったら今まで使わなかったのが台無しだし。


根元を握力で折って引き抜くぐらいしかないかな?とか考えていると、槍が凍りついて粉々に砕け散った。


流石ウィー俺がなにかする必要が無くなった。

穴だらけの体は再生の炎じゃなくて、ポーションンを飲んで治療する。


やっぱポーションってチートアイテムだよな。

飲んだだけでこんな傷が治るんだから。


「おさがわせしました。こんな感じでダンジョンでは少しの油断が命取りになります。このダンジョンは特に罠の数が異常ですからね。勝手に動いたら死んじゃいますよ?今回は何とか間に合ったから良かったですけど」


河村さん以外は真っ青を通り越して顔色が真っ白だ。

大丈夫?ショッキングな出来事すぎてショック死してない?


河村さんは何も無い空間を見てガタガタ震えている。


何も無いはずなのにそこから凄い殺気がたれ流されてるからね。

とりあえず。ソフィアを落ち着かせたいんだけど何も無いはずの空間を突然撫で始めたりしたら。狂人扱いされちゃうだろうし。


それもできない。逆の立場だったら俺もキレてるし


ソフィアの存在をばらさないならここで宥めることは出来ない。

結局。まぁまぁ、みなさん落ち着いてくださいって感じで全体を宥める感じで声をかける感じで落ち着いた。


全員が心を落ち着かせている間は襲いかかってくるアンデッドドールを蹴散らす必要もあったのでチョットだるかった。

危うく炎を使っちゃうところだったし。


「そろそろ大丈夫すですかね?大丈夫そうなら、移動を始めたいんですけど。皆さんもいつ魔物が出てくるか分からない場所より音で休みたいでしょう?」


ナチュラルに帰るってことにしてるけど、この人たちに先に進む気なんてないだろう。


やはりダンジョンから出るということに反対する人は存在せず、大人しくダンジョンから出ることになった。


帰り道にアンデッドドールと遭遇した場合はしっかり撮影してたけどね。

プロ魂ってやつ?

頑張るね〜と少しだけ感心した。


そんなこんなで、ようやく地上に戻ってこれた。


ダンジョンでのけが人は俺以外ゼロ。

ちゃんと仕事を達成出来たと言えるはずだ。

ダンジョンの外に出たし仕事はもう終わりでいいはずだ。


「じゃあ、おつかれさまでしたー」


そう言ってそそくさと シャワー室のある建物に向かった。


シャワー室に入って遮音結界を発動させる魔導具を発動させる。

監視カメラは…さすがにシャワー室にはないだろう。


「おつかれソフィア」


幻覚を見せる炎を纏うのをやめて、ついてきているであろうソフィアに声をかける。


「ほんとめんどくさかっったわね。それより映司、傷が残っちゃったりしてない?」


そう言って俺の服を脱がして、体をペタペタ触ってくる。


そういえばさ、ダンジョンのトラップだからなんだろうけど、俺の防御力を突破できる槍ってかなり強力な槍だよね。



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読んで頂きありがとうございます。

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