第138話
「その鏡は?」
俺が突然、全身を余裕を持って映せるサイズの鏡を出したので、河村さんは一体、鏡にどんな効果があるのか不思議そうに聞いてくる。
まぁ、渡し忘れてたものがあると言ってから出したので、何か効果のある特殊な鏡ってのはわかってるだろうからね。
「それは浄玻璃鏡 レプリカって言う死体の記憶を覗き見る事が出来るようなスキルを持っている人専用のアイテムですね。覗き見た記憶をその鏡に映して本人以外にも死者の記憶を見せることが出来ます。俺には今のところ使い道がないですけど、SCSFは違うでしょ?」
「確かにそうだね、 ソレがあれば一々八咫鏡の真偽判定を使う必要が無くなる。めんどくさい手続きの必要が無くなるし。時間の短縮になる」
今までは死体の記憶を読み取った人が口頭でその情報を伝える必要があったから。
信用している部下であっても真偽判定機能を持った八咫鏡の前で情報の報告を行っていると言っていた。
とは言え八咫鏡は三種の神器の1つだし、情報を抜き取りたい死体があるので、八咫鏡使わせてくださいって言って簡単に使えるものじゃない。
相当めんどくさい手続きを幾つもして、早くても使えるまで数日かかるだろう。
いや、案外その日のうちに使えるのかもな。
もう既に複数回使っている感じだし。
と言っても、この浄玻璃鏡を信用できるのかって問題にもなってくるけど。
複数の鑑定スキル持ちに調べさせたり、最初の数回は八咫鏡の前で使用すれば、ある程度信用できるようになるんじゃない?
「でしょ?だから、手に入れた時にSCSFに渡そうって思ってたんですけど。忘れてて」
忘れてたじゃ済まされないポンではあるけど、ドンマイってことで。
「取り敢えず。一度こちらで預かって、迷宮省職員の鑑定職に調べてもらうことにしよう」
「ちなみにこれのお金は要らないですからね?お金よりこれを使って手に入れた情報を俺にも伝えるってカタチで代金を払ってもらうこと希望です」
金より情報の方が嬉しい。
「まぁ、変則的ではあるけど。SCSFの隊員だし。情報を伝えるのも問題ないと思う」
浄玻璃鏡の代金としてはこれで充分だろう。
「話を遮ってしまい申し訳ございませんでした。本題のオークションの方に戻りましょう」
いつ開催するのか、どのぐらい出品すればいいのか、仲介料や費用としてどのぐらい政府に取られるのか色々知りたいと思ってたし。
「それじゃ、オークションの話に戻ろう。
まず開催日時に関しては八月の中旬を予定している」
「ダンジョンの一般開放後、という訳ですか。自分も出品したいと言う人も出てくるんじゃないですか?」
ダンジョンの一般開放は七月の中旬を予定している。
今が六月の終わりだと考えると相当時間が無いなって思うけど。
ダンジョンに対する様々な感情が日々膨れ上がっているであろう状態で、いつまでもダンジョンを封鎖していると、どこかで民衆が爆発するだろう。
と言うか、そうなるようにマスコミやダンジョンを使って儲けたい大企業が民衆を誘導するだろう。
後、野党も。
そうなると、ダンジョン関係なしに国が大騒ぎになる可能性がある。
一般人が銃より恐ろしい武器を持っている時代なんだから。
そうならない為にも頑張ってる政治家も一部いるみたいだけど。
幾ら、八咫鏡の予知能力でこの未来を知って事前に準備できてたとしても、かなりきついスケジュールで働いてるはずだ。
妨害したり、自分の欲に負けて暴走する政治家もいるから余計にね。
後、どっかの誰かさんが仕事を増やすからね。
他国からめっちゃ強いダンジョンマスターを連れてきたり。
財源確保のためにオークションやろうって言い出したり、他国の王族と恋仲になったり。
多分いちばん仕事を増やしてるんじゃないかな?
まぁ、お手伝いもしてるし、そこは目を瞑ってもらおう、別に犯罪を起こしてる訳じゃないし。
でも、頑張ってる政治家さんように、エナドリの代わりになる3級回復ポーションを差し入れするか。
体力回復ポーションは傷を治すだけじゃなくてエナドリみたいな効果もある。
3級回復ポーションを飲めば、リアルで24時間働くことが可能になる。
でも、もっと働けって脅迫してるみたいでなんか嫌だな。
ブルーネックの肉ぐらいにしておくか。
料理スキル持ちを呼ぶぐらいなら自分たちでできそうだし。
でも、これ賄賂にならないかな?
ガッツリ賄賂になる気がする。
ここら辺は一度、河村さんに相談してから実行した方が良さそう。
かなり話が逸れてしまったけど、問題なのは、ダンジョンに潜ってアイテムを手に入れた一般人が俺もオークションに出品したいって言い出してこんらんしないかってことだ。
「それに関しては、第一回は出品者は映司くんオンリーとさせて貰った。その代わり2回以降も定期的に開催するから、そっちに出品者として参加して欲しいという流れにする」
まぁ、それが一番妥当なのかな?
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読んで頂きありがとうございました。
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