第132話

「リソースが沢山あるからって、スタンピードを誘発させることは出来ないんでしょ?」


確かゴミをダンジョンに吸収させる危険性を説明した時にそう言ってたはずだ。


「確かにその通りっすけど。リソースがあればあるだけ魔物をポップさせることはできるっすから、異常種が発生する可能性は上がるっす」


確かにスタンピードは起こせなくても、魔物をポップさせればさせるだけ、異常種が生まれる可能性は上がってしまう。


異常種に関しては完全ランダムみたいだし。

地球は異常種が発生する確率もいじれるみたいだけど。

逆に言えば地球以外に異常種関係をいじれる存在はいないと思う。


「取り敢えず、このダンジョンしかこごみ捨て場として使われてないし。雷太がダンジョンマスターになれば問題ないでしょ?」


あとは政府がどう判断するかだな。


とは言えいくらリソースに変換できるとは言え自分のダンジョンにゴミを捨てられるのは嫌だ!ってダンジョンマスターもいるだろうし、注意しなきゃいけないことはいっぱいある。


ダンジョンマスターは最奥で待ち構えてるものだけど。そこから移動できない訳じゃないからな。テイムされたり眷族にならないとダンジョンから出ることは出来ないけど。

ダンジョン内だったら自由に移動することができるみたいだし。


ゴミを捨ててるところを攻撃される可能性もある。


雷太だって降伏するために最奥から出てきたし。


でも、それはそれで楽なのか?


再奥まで行かなくてもダンジョンマスターが倒されに来てくれるってことだよね?


俺らの時にダンジョンマスターが出てくるなら確かにカモだけど、他の人の被害が凄いことになりそうだし、ダンジョンマスターを怒らせる行為はやっぱり控えた方が良さそう。


まぁ、そういう可能性も考えて何が起きても対処出来そうな俺の家に一番近いダンジョンが選ばれたんだろうけどね。


正直、うちの近くで危ない実験しないでくれって話なんだけど。

どこで実験しようが失敗したら俺が対処しに行かないといけないし、文句は言わなかった。


「それにしても、SCSFの隊員が最低1パーティー潜ってるはずだけど、中身が改装されたって報告は聞いてないよね?」


知ってたら入る前に教えてくれるはずだけど、何も言われなかったし。


「映司様。ここ数日はゴミ捨て場の方しか人が入ってないって言ってたっす。その数日で改装が行なわれたってことだと思うっす」


そんなこと言ってた?

このダンジョン入りたくなさすぎて話ちゃんと聞いてなかったや。


「そういえば、ヴァンパイアっ娘は?」


ダンジョンに入ってからヴァンパイアっ娘が一言も喋らないな?と思ってヴァンパイアっ娘の方を見てみると、鼻をツマミながら涙目になっていた。


「やっぱりそうなったか。大丈夫?」


「らいじょうぶじゃないれす」


ヴァンパイアも人間より嗅覚優れてそうだもんな。

匂いで大ダメージを貰ったようだ。


「とりあえず、芳香剤を染み込ませた布が入ってるマスクがあるから、それをつければちょっとはマシになると思うよ」


臭いをシャットアウトしてくれる魔導具が手に入らなかったからと言って何も用意せずにこのダンジョン来たわけじゃない。


芳香剤を染み込ませた布を挟んだ使い捨てのマスクを用意してもらっていた。


芳香剤の匂いがキツすぎると逆に気持ち悪くなりそうって思ったから、匂いが控えめでしっかり消臭してくれる芳香剤を探すのが以外に大変だった。


「そんらのがあるなら、入る前にくらさい」


確かにヴァンパイアっ娘の言う通りだったな。

と言っても俺の知ってるアンデッドダンジョンの序盤はスケルトンしか出てこなかったから、腐臭はしなかったんだよ。


だから、ゾンビが出てくる階層の手前になったら渡そうと思ってたんだよ。


そんな言い訳をするくらいなら今すぐに渡した方がいいかと思ったので、マスクをヴァンパイアっ娘に渡す。


「ふぅー、だいぶマシになったよ。まだ臭いけど」



マスクをつけて少しはマシになったようで、ヴァンパイアっ娘が普通に喋れるようになった。


俺もマスクをしてみると思ったよりマシになってる。

それでも臭いけど。


「それじゃ、魔物は勿論トラップも注意しながら先に進もうか」


このダンジョンはトラップも多かったしな。


魔力視を使ってダンジョンのトラップを見逃さないようにダンジョンを進み始める。


ダンジョンの構造的には高さ、幅が2m四方の通路を進む感じだ。


改装前も通路を進む感じだったけど、もう少し広かった気がする。

この狭さは身長とか武器の種類によっては戦いずらいだろう。


それに狭いとそれだけトラップをうっかり踏んじゃう事故が起きる確率が上がる。


戦闘中少し動いただけでトラップを踏んじゃいそうだし。


これはトラップを感知できるスキル持ちがいないと進めないレベルのトラップを避けながら進んでいると体の様々なところに縫ったあとが見えるオオカミ系ゾンビの魔物だった。


確かに通路が狭くても狼とかなら動きに支障はないか…


それに比べて、こっちはパーティーで入っても一度に戦える人数は限られるし。


ほんといやらしいダンジョンだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んで頂きありがとうございます。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る