第129話
「何からなにまでありがとうございます」
一週間以上、何も食べてないヴァンパイアっ娘が初っ端からブルーネックのもも肉を使ったカルパッチョなんて食べて大丈夫なんだろうか?って思ったけど、人間じゃなくてヴァンパイアなので問題ないだろう多分。
もも肉のカルパッチョをバクバク食べてるし。
それにしても、もちもちした食感で生で食べるのも以外に美味しい。
と言っても個人的には少し食べればいいかなって感じ。
薄く切ったもも肉と野菜の味噌炒めの方が俺は好みだ。
ヴァンパイアっ娘にご飯を持っていくと、1人だと寂しいので一緒に食べたたいですと言われたので、一緒に持ってきたご飯を食べている。
自分の言ってくれた、ということはコチラのことを少しは信用してくれてるのかな。
嫌われないように、自分の意見は一切言わずにいつもこちらのご機嫌伺いをするようだと。
こっちのことを信用してくれてるとは言えないし。
「中学生なんだから、好きなだけ周りに頼っていいんだよ。ちなみにどの料理が一番美味しかった?」
俺が中学生の時は親に迷惑かけまくってたからな。
今でもそうだけどね。
「レバニラ炒めが一番美味しいです」
中学生にしては中々渋いなって思ったけど。
あれか?もしかしてヴァンパイアになって鉄分が沢山含まれてるものが好みになったとか?
俺はレバーがあまり好きじゃないので、丁度いい。残りのレバニラ炒めを食べてもらおう。
「ありがとうございます」
「そう言えばヴァンパイアっ娘の肌の色が随分人間に近づいてるね」
今更だけど、最初にあった時はもっと青白い肌の色をしていたけど、今の肌色は白粉ををつけたような真っ白だ。
「私にもよく分からないんですけど、起きたら変わってました」
ヴァンパイアっ娘が寝てる間に変化があったと言うことか。
理由を知っていそうなリーリンさんの方を見る。
「龍の血を飲んだことで、ヴァンパイアとしての爵位が上がったからだな。ヴァンパイアは爵位が上がれば上がるほど、弱点が消え、姿が人間と見分けがつかなくなる」
爵位が上がれば上がるほど、強くなるだけじゃなくて、人間かヴァンパイアか見た目で判断することが不可能になるのか。
見た目が違うってのは迫害の理由になるだろうし、人間そっくりになるのは有難いかも。
簡単に爵位を上げられるか?って問題もあるけど。
そういえば、爵位の上昇ってのは進化するってことで良いのだろうか?
それはそれで、違う気がする。
進化だったら、ハイヴァンパイアとかエンシェントヴァンパイアとかヴァンパイアって種族自体が変わる気がするんだけど。
ヴァンパイアデュークってな感じで、爵位が種族名にはいるなら進化なんだろうけど。
種族はヴァンパイアのままみたいだしな。
「結局、爵位の上昇ってヴァンパイア専用の種族進化みたいなイメージでいいの?」
自分で考えても分からないし、リーリンさんに答えを聞くことにしよう。
「種族進化とは別のシステムだ。ヴァンパイアは種族進化と爵位の上昇。両方の方法で強くなることが出来る。魔物だと悪魔が爵位によって強くなるシステムが適応されているな。後は魔物でも人種でもないが天使にも階級によって強化されるシステムがあったはずだ」
ドラゴニアンもヴァンパイアも人種ではあるらしい。
人間とおなじ霊長類人科ではあるらしい。
ホモサピエンスでは無いけど。
霊長類人科ドラゴニアン的な?
いやまぁ、そのままドラゴニアンってことは無いかもしれないけど。
何となくニュアンスは伝わってくれたかな?
それにしても天使もいるのね。
天使って言うと神の部下ってイメージだな。
天使の階級となると熾天使とかのあれか。
全部で九つに分かれてるんだっけ?
「それにしても天使かぁ、ちょっと会ってみたい気もする」
海外の神様と遭遇することがあれば会えるかも?
「天使って上の階級になればなるほど、姿が人間とかけはなれていくでしたっけ?人間の姿をしてるのは下から二番目の大天使だけって話も聞いたことありますよ?」
ヴァンパイアっ娘がそんなことを言う。
そうなの?
あ〜でも、天使で人に羽が生えた姿をしているのは人間と深い関わりを持ち者だけって話を勝彦がしてた気がする。
「そう言うのは上司の神次第ですよ。上の階級の天使でも人の姿をしている者もたくさんいますよ。私も上から三番目の階級の天使の様なものですし。映司様、モモ肉のタタキと龍酒のおかわりが欲しいです」
「おかわりを用意するのは全然いいんですけど、なんで楓さんがここにいるんですか?」
ダチョウのもも肉のタタキと龍酒のおかわりを用意しながら突然現れた理由を聞く。
と言うか、楓さんが天使?楓さんは稲荷狐じゃないの?
あっ、そうか!天使も稲荷狐も同じ神の使いか。
「そういう事です。ちなみに稲荷狐は階級が上がる事にしっぽが増えます」
じゃあ、楓さんには尻尾が七本生えてるってことか。
一本しか生えてるように見えないけど、普段は邪魔だから本気を出す時以外は一本しか生えてないとかそんな感じかな。
って今はそんなことより楓さんが突然ここに来た理由の方が重要だろう。
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