第127話

「そうでした。まだ自己紹介してなかったですね。と言ってもヴァンパイアなんて気味が悪いって追い出した人達がつけた名前を使いたくないので、今はヴァンパイアっ娘で大丈夫です。ついでに言うと中学2年生です」


中学二年生と言うと13歳?

誕生日がすぎてたら14歳か。

それにしては凄い大人びている感じがする。

いや、親に捨てられてそうならざるを得なかったからか。


家の養子になってもらうって話が現実的になってきたな。

もし拒否したとしても吸血衝動が暴走して暴れだしても止められるように俺が保護、監視しなくちゃいけないので、一緒に生活するのは確定してるんだけどね。


「それならとりあえず。ヴァンパイアっ娘って、このまま呼ぶね。俺は進藤映司。まぁ、龍王って呼び名の方が有名だけど」


ニュースとかでも実名じゃなくて龍王の方で報道されてるからね。

実名をつかわないで、なんて一回も言ったことないんだけど……


正直、二つ名とか厨二病っぽくて恥ずかしい。


龍王ってインパクトあるし受けもいいからそっちを使うのかもしれない。

もしくは実名を使って俺が文句を言ってきたら困るからとか。


「スキルが使えるようになってから、すぐに家から追い出されたので、テレビでゆっくりニュースを見ることはできなかったですけど。号外とか電気屋さんのテレビで見ました」


サラッと行ったけど、中学生なのに過酷すぎる。


そういえば警察とかそう言う機関を頼ろうとは思わなかったんだろうか?


無理に聞く必要ないかな?

辛かった思い出を喋らせることになるわけだし。


うん、聞くのはやめよう。


「それじゃ、お互いに自己紹介も終わった事だし。ヴァンパイアっ娘のこれからの話をしようか。今回はスキルが使えるようになってしまった事による事故だと俺は思ってるけど。傷害事件として処理されちゃってるからね」


まぁ、良くて殺人未遂の現行犯として逮捕。

高確率でスキルを使用したテロ行為としてその場で殺されてたと考えれば、傷害事件程度で済んでる事に感謝しなくちゃいけない。


「と言っても罰金は俺が払っといたし。俺の監視下で生活する以外は普通に生活していけるから、安心して。と言っても学校はヴァンパイアっ娘みたいに種族が変わっちゃったり、危険なスキルを取得してしまった子を集めて新設する中学校に転校してもらうことになるけど」


これに関しては中学校だけでなく、同じく義務教育である小学校も同じ対応をすることになっている。


五歳までの子でスキルを取得した子がいないということで、これからは6歳になるとスキルを取得して、使えるようになると考えられている。


誕生日を迎えて6歳になった子もいるだろうし、スキルがどうなるかもう判明してるのかな?


これに関してはくわしい話を聞いたことないな。


後で河村さんに軽く聞いてみるか。


赤ちゃんが無意識にスキルを使ってスプラッタなことになるのは避けられたけど。

小学生がスキルを使えるってのも危険だよな〜


大量殺人を起こして「ただ、ちょっとしたイタズラのつもりだった」とか言いそうだもんな。


まぁ、小学生じゃなくてもそう言う人はいっぱいいるだろうけど。


個人が強力な武力を持つ時代になってしまったわけだ。


歴史とか道徳の授業の重要性が増すことになるのか?


とにかく、スキルを悪ふざけで使っちゃいけないってことをしっかり理解してもらうことが重要になってくるんだろう。


「ひとつ質問してもいいですか?」


「ひとつと言わず、気になることはなんでも質問して」


「かなり失礼な質問になっちゃいますけど。どうして、私のことをここまで助けてくれるんですか?他のテロ事件みたいに私を殺しちゃう方が映司さんからしたら楽だったんじゃないですか?」


ヴァンパイアっ娘からしたら当然、そう思っちゃうか。

全くの赤の他人なのになんでここまでしてくれるんだろうって。


もっと言えば自分の知らない場所に監禁されてる状態だもんな。


「それは簡単だよ。今回ヴァンパイアっ娘に起きたことは、俺にも有り得た事だと思ったら可愛そうになっちゃってね。だから、本人に悪意があってあの事件を起こしたんじゃないなら助けてあげようって決めたの」


俺も龍になれる、ドラゴニアンって言う化け物種族になっちゃったからな。


両親に捨てられて怒りや悲しみから自我を失って破壊の限りを尽くす。人類の敵になってた未来だってあったかもしれない。


幸い、両親は人間だろうとドラゴニアンだろうと変わらず接してくれてるけど。


「まぁ、とりあえず。まだ中学生なんだし、犯罪だけは起こさないように自由に生活してくれれば良いよ。とりあえず、一人でゆっくり考えたい事も有るだろうし、何か食べるものを持ってくるから。一旦帰るね」


ヴァンパイアっ娘にも一旦ひとりで気持ちを整理する時間が必要だろう。


さっき言った通り、何か食べるものを持ってきてあげないといけないのもあるしね。


あとは河村さんにヴァンパイアっ娘が起きたって報告もしなきゃなんないし。


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読んで頂きありがとうございます。


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