第116話

「なんでその姿なんですか?」


「なんで?と言われも、君が一番マーリンだと思う姿に見えるようにしてるからとしか言いようがないね」


声までしっかり変わっていてちょっとムカつく。


「それにしても、これでリーリンさんが知っていた昔から存在するダンジョンのダンジョンマスターも残り二人か。思ったより早いペースで遭遇してるな」


リーリンさんから聞いたのは〈アヴァロン〉〈大江山〉〈桃源郷〉〈影の国〉〈アトランティス〉


〈大江山〉は国内だし。まぁ、その内会うことになるって思ってたけど、マーリンともこんなに早く会うことになるとは。

〈影の国〉のダンジョンマスターはスカサハだとして〈アトランティス〉に関してはちょっと検討がつかない。

予想では何処かの海神系な気がしてるけど…


そう考えると残りの2つはもし会いに行くことになったら注意した方がいい気がする。


「それにしても、エリックさんを護衛するために日本まで来たんですか?」


E国まで俺が迎えに行かなくて良いって言われた時点で、何があってもダンジョンマスターを自国の戦力で守りきる自信があるんだなって思ってたけど。

実際には王族まで一緒に来てマジかって思ってたけど。

マーリンがいるならリーリンさんレベルの襲撃者でも現れない限り安全だ。


そんなバケモン戦力を連れてこられた日本政府としては勘弁してくれって気持ちでいっぱいだろうけど。


「護衛はついでだよ。君を1目見ておかないといけないと思ってたから丁度いいなと思って。龍は味方なら頼もしいけど、もし敵になるなら厄介だ」


もしかして想像以上に俺ピンチだった?


敵認定されてたら殺されてたって事だよね?


「大罪系スキルを手に入れた時は殺らないと不味いかなって思ったけど乗っ取られてる感じはしないし。このままなら敵対することはないと思うよ」


スキルに乗っ取られることも有るのかよ!

お決まりと言えばそうかもしれないけど。


「そうそう、大昔にダンジョンやスキル魔法を生み出したのは神々だけど。今回復活させたのは神々じゃなくて地球自身だ。人口の増加による環境破壊の加速。地球からしたら自分の身を削られてるようなものだからね。危機感を覚えた地球が環境破壊をせずとも資源を手に入れられるダンジョンを復活させたってことさ。次いでに人間に数もいい感じに減ってくれるといいなぐらいには思ってそうだったね」


この人突然超重要なことを話だした!

と言うか地球にも人格があるんですね。

人じゃないのに人格っていいっていいのか分からないけど。人格って表現するのが無難にわかりやすいか。


「と言うかそんなあっさり喋っちゃって大丈夫なんですか?」


神々はこのことについて、俺が何かしらこの条件を達成しなきゃ喋れないって感じだったけど。


「神々は好き勝手やらないように地球の人格によって色々と縛られてるからね。リーリンも須佐之男もそのせいで君にこのことを言えなかったけど。僕は神とは一切関係ないからそう言う縛りは一切ないからね。こういう話も自由にできるって訳だ」


須佐之男まんま神様だし仙人も人が修行して神の領域に足を踏み入れた人の事を言うらしいし、リーリンさんも実質神。

この事について知っていたけど。

話すことが出来なかったと。


「まぁ、正直ここまでは知ったところでだから何?って感じだと思うと思うけど。さっき人の数もいい感じに減ってくれればいいって地球が思ってるって話したでしょ?そのせいでダンジョンで異常種の発生確率が上昇してたり、レッドムーンってダンジョン関係なしに魔物が地上に現れるイベントが追加されたり。結構ハードモードになってるから。対策は早くした方がいい」


もう地球が敵みたいになってんじゃん。


「実際そうだと思ってくれても構わない。地球的には増えすぎたから間引きしようってぐらいの軽い気持ちなんだろうけどね」


される側からしたらたまったもんじゃない。

と言っても人間だって同じことをしてきたんだから文句は言えないか。


E国と仲良くしておかないといけない理由が増えたな。地球の人格に縛られてなくて、色々知っているマーリンは重要な存在だ。



異常種が現れる頻度なんか高くない?って思ってたけど、それにもちゃんと理由があったってわかったし。


スタンピード関係なしに魔物が地上にポップするイベントまでご丁寧に準備されてるってことも知ることが出来た。


(別に敵対している訳ではありませんただ単に地上で暮らすには増えすぎたと判断しただです)


レベルアップした時とかに頭の中に直接聞こえてくる声が聞こえてくる。


俺を含め一部のゲーマー達が勝手に世界の声って呼んでたけど。


あながち間違ってなかったのか。


「めっちゃ地球が介入してきてますけど本当に大丈夫なんですか?」


俺ら消されたりしない?


「地球がそのつもりなら僕なんてとっくのとうに死んでるよ。地球の意思的には僕は人間に対するお助けキャラ的な存在ってこと」


(数が多すぎるとは言いましたが絶滅することを望んでいるわけではありません)


地球的には某街づくりゲーをプレイしているような感覚なのかな?

まぁ、地球の思考なんて俺に理解することは不可能だろうけど。


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読んで頂きありがとうございます。

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