第115話

「おまたせしましたっす」


「今から移動だから問題ないよ。ってことで雷太は一緒に飛んで護衛よろしく」


別に雷太を呼べば良くない?ってことに気づいて家に電話をかけて雷太に飛んできてもらった。今回は緊急では無いけど、重要なことだらってことで…

手でかかえられる。ぬいぐるみサイズまで小さくなってる雷太なら空を飛んだって気づく人は少ないだろうし。


これで俺がバスを抱えて飛んでる間の護衛も用意できたし出発するか。


「映司様、私たちもそろそろ帰りますので、代表してご挨拶に来ました」


「楓さん!今回は本当にありがとうございました」


稲荷狐さんたちが来てくれなきゃもっと大変なことになってただろう。

何度お礼を言っても足りないぐらい助かった。


「お役に立ててよかったです。それでは」


そう言って楓さん一瞬で消えた。


俺達も早う帰ろう。


バスを両手で掴んでバスごと飛び上がる。


バスの中から悲鳴が聞こえてくる。

やっぱりどう頑張っても揺れる。

今更やっぱり止めるという訳にもいかないので聞かなかったことにして更に高度をあげる。


充分な高度を確保して桃源郷に向かって飛行を開始した。


「で、この有様って訳だ」


皆家の中庭でゲロゲロしている。


「出来ればダンジョンに入ってからゲロゲロして欲しかったんだけど。俺が運ぶ時に揺らしすぎたのが原因だから強く言えないんだよね」


ダンジョンだったらリソースとして吸収するだけで掃除完了だからね。

中庭に掃除すごい面倒くさそう。

汚物だけ燃やすことを意識して燃やせばいけるか?

汚物の掃除なんてしたくないし、それで行こう


「と言っても日本なのに当然のようにロケランが出てくるのがいけないんですよ」


バスを揺らすことになってしまった大きな理由はロケランを構えた人を乗せたヘリが襲撃してきたからだ。

ロケランだけじゃなくて魔法を撃ってくる奴もいた。


撃墜しようと思えば何時でもできたけど。

考え無しに撃墜すると、墜落先で被害が出ちゃうから海の上までおびき寄せる為に必死に避けて逃げてる感じを演出するためにちょっと荒っぽい飛行になってバスをアトラクションばりに揺らしちゃったんだよね。

ダンジョンマスターを生け捕りにするために空飛んでれば攻撃してこないだろうってちょっと思ってたけど。そんなこと無かったよ。


空白の書でダンジョンスキルを奪いたかったんじゃないの?


まぁ、複数の組織が襲ってきてるだろうし

殺すことを目的にしてる組織もあるか。


「それじゃあ仕方ないか。早く家を紹介してしまいたかったんだが。復活するまで大人しく待つか」


十分後まだ顔色は悪いけど、立って自分の足で歩けるぐらいには全員回復したので桃源郷の中に入る。


「ここが今回お客様に泊まってもらうことになる家だ」


そう言ってリーリンさんが案内した場所にはログハウスが何軒もたっている場所だった。

泊まる場所なら沢山あるぞって言うから任せたけど。なんでダンジョンにこんな場所があるの?


「桃源郷の中にいる間はダンジョンマスターである私が安全を保証しよう。トラップもないし魔物もポップしないから自由に過ごしてくれてかまわない。後で簡単な地図を渡すから歩き回るのはその後にした方がいいと思うが」


前からちょっと思ってたけど。ほんとにダンジョンなんだよね?


「敵対するやつが入り込んできたら私が直接相手すればいいだけだからな。わざわざ魔物ポップさせるなんてリソースが無駄だ」


最初からラスボス戦とかまじで無理ゲーじゃん。

しかも相手はマジモンの化け物だし。

敵対しなきゃ良いだけなんだろうけど。


E国から来た人達はまずは体調を回復させるため自分たちでグループを作って各々ログハウスの中に入っていった。


「それはそうといつまで人間のフリをしているつもりだ?マーリン」


マーリン?もしかしてアヴァロンのダンジョンマスターも護衛として来てるの。


「久しぶりだねリーリン。それと私の正体はE国の人間でもエリックしか知らないから引き続き内緒で頼むよ」


そう声だけが聞こえてくる。姿を見せるつもりは無いらしい。


「声だけだったのは酒の池から動きたくないだけだぞ。姿が見たければ酒の池にいけば普通に見れる」


マーリンもそんな感じなの?



「まぁ、幻術が得意なマーリンの姿を見たところでその姿が本来の姿とは限らないが」


マーリンって夢魔と人間のハーフなんだっけ?

だから幻術とかそう言うのが得意と...

姿をばかしたりもお手の物って訳だ。


「それじゃ、見に行く必要無いかもしれないですね。ねぇマーリンさん?」


「へぇ?驚いた結構強めに幻術をかけたつもりだったんだけど」


「幻術を見破った訳じゃないですよ。ただ、幻術使いがイタズラでやりそうなことと言えば味方と入れ替わるとか他人のフリして接触したりだろうなと思ってカマかけただけです」


普通にすっとぼけられるかなって思ったけど。

あっさり認めたな。


「なぁんだ。もう僕の幻術を見破れるレベルまで龍の目を鍛えてるのかと思った。それならすっとぼければよかった。それじゃ改めて自己紹介を僕の名前はマーリン。よろしくね若き龍」


最近よくやるゲームに出てくるマーリンに姿を変えて自己紹介を始めた。

ある意味この人が一番めんどくさいタイプかもしれない。



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読んで頂きありがとうございます。


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