第114話
ここでふと、エリックさんはオークションの話がしたくてこの会話をした訳じゃないんじゃないか?と思い至る。
どちらかと言うと今後ヨーロッパ各国で起こるだろう戦争に対しての方が本題なんじゃないか?
攻撃性能のあるアイテムとか回りくどい話じゃなくて、E国が戦争に巻き込まれた場合に俺がE国を助けに行く的な発言をさせたいとか。
「そんなにヨーロッパの状況は悪いんですか?」
最近はヨーロッパの話はテレビとかでもテロが多発しているぐらいの軽い情報しか報道されないんだよね。テロだったら日本でも多発してるし。
最近は減少傾向にあるけど。
ソフィアからあんまりいい状況では無いとは聞いてたけど。俺が思っているより良くない状況なのかもしれない。
「テロリストが政府を占拠して建国を宣言したり滅茶苦茶だよ。戦争は始まってないとは言えテロによる攻撃は毎日のように起きている」
実質戦争状態みたいなものか。
「エリックさん貸し1つですよ。それと俺が手伝うのはよっぽどのことが起きない限り
防衛だけです。侵攻に関しては手伝いません」
丁度いいしE国にある未攻略のダンジョンを攻略させてもらおう。
と言ってもテロに対処するとなると大抵後手に回ることになっちゃうと思うけど。それじゃ俺が行ったって何もかわらないかな?
「全て君に任せてしまう訳には行かないし。それで充分だよ。それに君の場合ただそこにいると言うだけで抑止力になる。実際君とソフィアの関係からやりすぎて君が介入する事を嫌ってかアルカディアの連中によるテロの件数が他の国よりE国は少ない」
存在が抑止力ねぇ、そんなんだったらC国も大人しくしてくれれば良かったのに。
「まぁ、政府との交渉次第なところはあると思いますけど多分何とかなると思います。
ちょっと思ったんですけど。エリックさんがこういう話をしていいものなんですか?」
王族はあくまで象徴で政治が係わりそうなこんな話していいものなんだろうか?
「現時点ではただ妹の彼氏に助けを求めたただそれだけってことさ」
苦笑いしながら言っているので、かなりグレーな行動なんだろう。
いくら王族だとしても今の時代自由結婚が認められてるとはいえ、他国の人間と結婚するとなると色々あるだろう。
E国全体に恩が売れると言うのは俺からしたら悪い話じゃないし、今回は何も言わないけど。
と言っても日本から俺がいなくなったら、C国が何かやらかしそうな気もするんだよな。
実際リーリンさんに須佐之男命がいるから日本がどうにかなることは無いだろうけど。
あの二人?が実際に動いてくれるか?って不安もあるんだよな。
自衛隊やSCSFに武器タダで渡す。ことを条件にE国に行こうかなって思ってたけど。
上手くいかないかな?
日本で暮らしている以上日本政府とは仲良くしておきたいんだけど。
そこら辺は実際に交渉してみないと分からないか。
「と言う訳で政府との窓口役お願いしますね。河村さん」
「はぁ、そうなるよね…やらない訳には行かないからやるけど。それに政府的にも今回こういう話になるのは当然予想は着いていたからある程度準備はしているし。映司くんと交渉と言うより、両政府間での交渉になる。だから私の役割は映司くんがどうしたいと思っているか正確に両政府に伝えることになる」
政府としてはその程度当然予想済みか。
日本政府が要求するもの検討は容易につくな。
間違いなくダンジョンスキルを要求することになるだろう。
表向きには発表されないかもしれないけど。
日本は空白の書をリーリンさんとの交渉で沢山手に入れてるんだから、ダンジョンマスターを増やす機会をみすみす逃すとは思えない。
政治家的にはもっと大事なものがあったりするかもしれないけど。
俺的にはやっぱりダンジョンスキルかな〜
って思ってしまう。
「それなら俺は防衛のためE国に行くのは前向きだと伝えておいてください」
ここで武器を渡す話までしちゃうとエリックさんは何も言わなくても他の人が、それならE国にもって騒ぎだしそうなので武器の話は黙っている。
「わかったそう伝えておく。っと呼んでいたバスが到着したみたいだ。バスの安全確認が終わり次第、乗り換えて空港から出発します。長時間のフライトでお疲れでしょうがもう少々お待ちください」
バスに爆弾が仕掛けられてたとかシャレにならないからな。
ソフィアとSCSFの隊員を数人機内に残してバスに移動した。
「そういえばあの場では言いませんでしたけど。自衛隊とSCSFに武器とかを置いていくので上手く使ってレベルアップしてください」
今までだと真面目な自衛隊員に武器が支給されない可能性があったけど。
自衛隊がダメダメと言うよりか防衛省の一部が無能だったから、あんな感じになっちゃってたんならもう大丈夫でしょう。
将来的に迷宮省の政治家が同じようにならない保証は無いし。SCSFだけが力をつけるのは良くないとは思っていたんだよ。
かと言って自衛隊を支援しようとも上手くいかないだろうなと思ってしてこなかったけど。
バスに何も仕掛けられてないことが確認できたので飛行機に戻り、移動を開始した。
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