第113話

「空港にシアを狙う連中が集まっているみたいだし。転移で移動できるのは悪くない提案だと思うけど。転移先がこちらからしたら分からないって言うのと少人数にしか使えないってのはちょっとなぁ」


当然そうなるよね。ってなると全員車で移動か…

まぁ何とかなるか。でも、普通に車で移動したら一般人を巻き込むような攻撃をしてきそうで嫌だな。

かと言って転移結晶で移動することになったとしても車移動組はいる訳だし、一般人の被害を抑えると言う点では変わらない。

なにかいい方法はないかな?と考えて1つこれならいけるのでは?という方法を思いつく。

ある意味転移より俺のことを信用してもらう必要があるけど。


移動させなきゃいけない人数は40人程度。これなら観光バスなら1台でおさまる人数だな。


「皆さんには観光バスに乗ってもらってその観光バスを俺が抱えて飛んで移動しましょう。多分それが大人数一気に移動できる手段としてはいちばん早いでしょう。上空を攻撃する手段も限られてるでしょうし、襲撃も回避できます」


この間、潜水艦を掴んで飛んだ時も問題なかったし大丈夫だろう。


流石にゆっくり飛んでくけど。真っ直ぐ帰れるし信号とかもないし30分もあれば桃源郷まで帰れるだろう。


もし俺が手を離したらその時点で死亡確定みたいなもんだけど。


雷太をおいて来たのは失敗だったかな。

別に両手が使えないから攻撃できないってわけじゃないけど。

雷太がいた方が攻撃に対処するのが楽だった。


「ある意味転移より危険な方法な気がするけど。大丈夫なのかい?」


「揺れで乗り物酔いする人はいるかもしれないですけど。それ以外は特に問題ないと思いますよ」


どうしても揺れるとは思うんだよね。できるだけ揺れないように気をつけはするけど。

念の為ソフィアに観光バスを魔力障壁で包んでもらうし、攻撃されることがあっても問題ないだろう。


窓から景色を眺めていたらすぐに到着すると思いますよって言ったら皆に苦笑いされた。


結局俺にそこまで自信があるならそれで移動しようという事になって、河村さんが観光バスを手配している間に飛行機は人を乗せたまま整備場に移動する。

周りに何も無い滑走路にいつまでもいる訳には行かないからね。

ほかの飛行機の邪魔にもなるし。


「そういえば、日本は近々ダンジョンで手に入れたアイテムでオークションを開くらしいね」


準備が終わるまで引き続きエリックさんと話しているとオークションの話題になった。


「そうですね。かなり豪華なオークションになるとも思いますよ」


E国は人間のダンジョンマスターがいるし、リソースが確保出来れば宝箱用意し放題だからこのオークションに魅力を感じないと思うけど。


ダンジョンスキルでダンジョンマスターになった人が作り出すダンジョンには意思がないからダンジョンマスターが全て決めれるらしいし。


普通はダンジョンにも意思が存在してあまりに人間に有利なことをしようとすると却下されてしまう。


だから普通のダンジョンだと戦闘する魔物のリソースもこっち負担。その魔物を倒したらこれもこっちが渡したリソースから作られた宝箱が出現すると言う、ひと手間必要だった

けど。


けど、ダンジョンの意思がないならリソースが尽きない限り宝箱を用意し続けると言うことも可能なはずだ。


中身を設定出来るかまでは分からないけど。

ちなみにリーリンさんは中身の設定までできる。

じゃなきゃ空白の書を何百冊も用意できないだろう。

と言っても選択できるのは一部だけで当然選択できないアイテムもあるみたいだけど。

魔力体生成装置は当然選択できない。

入手方法はダンジョン初回攻略報酬として選択する以外ないみたいだ。


「魔導具が出品されるって話だし、凄い盛り上がるだろうね。そこで確認なんだけど。買い手ではなく売り手として参加することは出来ないのかな?」


成程そういう事か。確かに売り手として参加したいと思うよな。

今のE国なら、正直俺にはそこら辺の決定権はないんだけど。

下手な返答をするのは良くないよな。


「そこら辺は政府に直接確認してくださいとしか言えないですね。ちなみにおれが出品するのは、魔石で動く家電をメインに攻撃性能が無い魔導具にポーションを初めとした薬、宝石類こんな感じです」


「さすがに武器になるものは出品しないんだね。戦力アップにそう言うアイテムも欲しかったけど。出品されたらされたで、後が怖いからね。安心したよ。今、ヨーロッパはいつ戦争が始まっても可笑しくないぐらい国同士ピリピリしてるからね」


ヨーロッパも大変そうだ。

もしこのオークションで武器になるようなものを出品されたら後々起こるかもしれない戦争に利用されるだろうし。そこら辺気になるよね。


と言っても招待は絶対しないけど核ミサイルを撃ってくるような隣国があるからね。

武器になるようなものは絶対に出品しないよ。


現状、表向きにはどの国もC国と国交断絶してるけど裏から支援してる国もあるみたいだし。早く潰しちゃうのが一番なんだけど、こっちから攻めると言う判断を下すのに政府が消極的なんだよね。


防衛省と迷宮省にダンジョン関係の独自裁量権を与えるぐらいには思い切りいいのに。


当然、独自裁量権を行使した命令が妥当なものだったか。確認はされるらしい。


そうでもしないとスタンピードが起きた時とか初動が遅れると思ったのかもしれない。


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読んで頂きありがとうございます。

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