第111話

「まぁ、今回は手っ取り早く転移結晶で桃源郷に飛んでもらうのでダンジョンマスターが誘拐されるってことはないと思いますよ」


ダンジョンマスターには飛行機から降りずに転移結晶で桃源郷に行ってもらう。

桃源郷に入ってしまえば絶対に安全だ。

リーリンさんをどうにかできる刺客なんてまず居ないだろうし。


転移結晶は五人までという人数制限があるので全員移動させるのは無理だけど。


「だけど向こうが転移結晶を使うのは安全上許可できないと言ってくる可能性もあるよ?」


それもあるか…確かに俺が転移で安全なところに一気に移動します。と言っても相手からしたら行先は分からないし。転移先が危険地帯かもって考えちゃう可能性もあるか。


今回来る人たちと信頼関係があるわけでもんないし。


「そこはソフィアに説得してもらうのが一番良いかなと」


同じE国人のソフィアからの話なら信頼してくれないかな?って言う安直な考えだけど、それぐらいしかないと思うんだよね。


じゃなきゃ車で数時間刺客とドンパチしながら移動するしかない。


転移結晶で移動できる人数に限りがあるから結局ドンパチしながら帰ることにはなるんだけど。


俺が乗ってけて飛んで帰るにも大人数乗せるのは無理だから、難しいと思うし。


結局はあちら次第ってことだね。


「失礼します。事前に凶器の類の所持を確認できた連中の捕縛は完了しました」


風魔さんが音もなく河村さんの横に現れてそう報告する。


さすがリアル忍者。と言ううか今のは転移してきたのか?それとも気配を消してたから俺が気づけなかっただけなのかどっちなんだろう。


「ここでそんなボロを出す連中は別に居なくても問題ない数合わせの連中だろう」


こちら側としては、いくら数合わせの連中だとしても対処しない訳には行かない。

放置したら一般人に危害を加える可能性だってあるし。

だからいくら雑魚でもいるだけでこちらの仕事を増やすっていう超大事な仕事してるんだよね。


その間に敵の本体は着実に準備をすすめられると……


「と言っても敵はダンジョンでレベル上げできないだろうしレベル1油断するわけじゃないですけど。ソフィアの魔力障壁をどうにかできる存在はいないと思いますよ」


精霊のウィーと協力することによってさらに防御力を上げることも可能だし。


「まだ私たちの知ら無いスキルは多く存在するだろうし。そのスキルの中に結界を破壊することのみに特化したスキルがあってもおかしくない」


確かにそう言うスキルがあっておかしくないかしかもそういうスキルを持ってる人物が敵にいる可能性もゼロじゃないか……


さすがに都合良すぎるかもしれないけど。

相手は今回の作戦を成功させるために全力なはずだ。


「それに自衛隊とSCSFで日本にある全てのダンジョンを封鎖できているかは微妙なところでもある。発見した人物が報告をせずに秘匿し利用している可能性もある」


ダンジョンの隠蔽か有り得なくは無い。

俺らの知らない魔導具や武器を持っている可能性もあるか。

やっぱめんどくせぇ



なるようにしかならないか。


本来護衛をするのになるようにしかならない

ってのは大問題なきがするけど、俺は護衛の仕方について習ったわけじゃないし、そこら辺は河村さんたちに任せる。


その後、風魔さんが引き続き証拠を発見次第捕縛という感じで一人でも敵を減らそうと奔走してくれていると、空港のエントランスの方から爆発音が聞こえてくる。


「これも時間稼ぎのための犯行ですか……」


急いでえんとらんすにいくと死傷者が大量に出ている。


「3級ポーションをいくらでも使っていいので生きてる人に飲ませてください」


それにしてもこれは完全にライン越えだ。

と言うか俺に認識が甘かったな。テロリストならこのぐらい平気な顔をして実行するだろう。


早いところ敵を全て排除してしまいたいけど

上手く隠れてて俺じゃ判別できない。

それにけが人の救助の方が今は優先だろう。


どう考えても手が足りない。


あと十分もしないでダンジョンマスターが乗った飛行機も到着しちゃう。

空で待機してもらうのも手だけど、それ以前に引き返すってことないかな?


燃料的な問題で最低でも一度は着陸することになるか……


「お困りのようですね?」


「そうでうね。猫の手も借りたいレベルで人手が足りません。って楓さんがなんでここに?」


あまりに自然に話しかけられたから普通に返事しちゃったけど。なんで稲荷狐の楓さんがここにいるの?


「稲荷神社は日本中に沢山ありますから稲荷狐はそこを通って日本中何処でもすぐに移動できます。という訳で猫では無く狐ですがお助けさせていただきます」


楓さんがそう言うとフロア中に真っ白な狐が現れる。


真っ白な狐がけが人に触れるだけで怪我が癒えていく。


「楓さん本当に助かりました。けど、こんなことしてだいじょうぶなんですか?」


神に属する存在はこんな感じに積極的に人間と関わる事が禁止されてそうなイメージだけど。

そうじゃなきゃ今頃、神の眷属がたくさん地上に現れてやりたい放題するやつもいそうだし。


「そうですね。簡単に言えば映司様が神域に来てくれたおかげでこれぐらいの事は出来るようになりました」


なんかよくわからないけど。人間が神域に辿り着くと、そこにいる存在が地上に干渉できるようになるのか?



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読んで頂きありがとうございます。




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