第109話

言いたい文句は沢山あるけど。流石にこれを受け取らないって訳にはいかない。

まぁ、俺は河村さんに大江山ダンジョンのダンジョンマスターの正体について説明して、これを天皇家に渡して欲しいってお使いを頼まれましたって宝玉を渡せば良いだけだ。

実際そこまで面倒くさいことにはならないか。


「直接とはいかないと思いますけど、しっかり渡しますよ」


押し付けられた河村さんは大変なことになるだろう。


だからといって変わるつもりはないけど。


「それが凄いものだと分かってる筈なのに一切自分の物にしたいという欲を持たないか…」


だって面倒事しか起こさなそうじゃん。

そんなもん早く手放すに限る。

どうやら草薙剣の真の力を解放する効果だけじゃなくて、人や魔物が取り込めば超強化されるらしいけど。

神龍になれるって言うならそんなものなくても力は手に入る。


それに、それを使って強くなったらなんか須佐之男に負けた気分になる。


自分の力で炎神龍になって須佐之男を1発ぶん殴らないと。


「本気で炎神龍を目指すなら、この宝玉を使わないのが正解だな。俺が作ったものだからどうしても水属性が混じる。そしたら炎神龍になるのは困難になる」


なるほど、したら火属性以外の属性魔法をやめた方が良さそう。

属性魔法以外にも火以外の属性が関わってそうなスキルもだな。


幸い。火属性だけと言っても色々出来るし新しい魔法を取得する気にはなってないけど。


「それじゃ、ダンジョンを作り直さなきゃいけないから。外に放り出すぞ」


須佐之男がそう言うとダンジョンの外に放り出された。


「あいつ、お使いを頼んだくせに何も寄越さないとは、少しケチすぎないか?なんだあいつは神にでもなったつもりか?」


リーリンさん須佐之男はれっきとした神様です。


「まぁ、俺がダンジョンをめちゃくちゃにしちゃいましたからね。京都でやることも終わりましたし、かえりますか」


帰りは転移結晶で一瞬で家に帰る。


行きも新幹線じゃなくて自分で飛んで行くという方法もとれたけど、龍の姿で好き勝手に飛び回るのは混乱を招く可能性があるからね

緊急事態や許可が降りた時だけにしている。


新幹線での移動も嫌いじゃないし。


鹿児島に行った時もsnowティラノの肉が手に入ったときに転移結晶使ったとき以外は新幹線だったし。

今回の帰りも転移結晶を使わず新幹線で帰る予定だったけど。

須佐之男からすごい重要なお使いを頼まれてしまったので転移結晶を使って一瞬で帰ることにした。


転移結晶を使って桃源郷に帰ってくるとすぐに桃源郷から出て河村さんに電話をかける。


「もしもし河村さん。大江山ダンジョンに行ったら、ダンジョンマスターが須佐之男命で、天皇家にこれを渡して欲しいってお使いを頼まれました。俺の代わりにそのブツを天皇家の方に渡してくれませんか?」


河村さんから返事が帰ってこない。前にもこんなことがあった気がする。


大人しく河村さんの返事が返ってくるまで大人しく待つ。


「正直くわしく聞きたいことだらけなんだけど。須佐之男命ダンジョンマスターしてるの?」


「本人が須佐之男命って名乗りましたからね。不思議とそれが嘘だと思いませんでしたし、間違いないと思いますよ」


今になって考えてみれば、須佐之男命を名乗る全くの別人って可能性もゼロじゃない思うけど、本人と話している時はそんなことを一切考えさせないオーラ的なものが出ていた。


「そうか……因みにどんな物を須佐之男命からあずかっているんだい?」


「草薙剣の強化アイテムです」


「それはまた凄いアイテムだね。天皇家にアイテムを渡せるように段取りをつけるからそれまで映司くんが保管しておいて欲しい」


まぁ、仕方ないか先に渡して欲深い人が自分の強化にこの宝玉をつかったら困るし。


もしそんなことになったら須佐之男命に土下座で謝罪をしなきゃ行けない。


「わかりました。けど明日からE国のダンジョンマスターの相手をしなきゃ行けないから、すぐに渡すことは出来なくなっちゃいますけど」


三種の神器に関係する話は極秘事項だから、他国の要人がいるところそれに関係した話はできない。


E国に関しては三種の神器について少し知ってるかも知れないけど。


「それもあるんだよね。まぁ、なるようになるだろう」


「ちなみに須佐之男命に自分で会いに行こうとか考えない方がいいですよ?BP一万越えの魔物が群れでいるダンジョンなので」


これを説明しとかないと自分で須佐之男命に会いにいくって言い出す人が出てくるだろうし、しっかり説明しとかないと。


「それは普通の人には無理な難易度のダンジョンダンだね。それについてもしっかり伝えておくよ」


これでもし俺の話を信じずにダンジョンに行って命を落とすことになったとしても俺の責任ではない。

ちゃんと伝えたからね。


「それと核をダンジョンに廃棄するのを見届ける人員の選定が終わったけどこれもとうぶんさきになりそうだね」


それもあったな。俺がひとりで勝手に処理していいならいつで処理できるんだけど。さすがにそうはいかないからな。

これもE国のダンジョンマスターの件が終わってからか。


アンデッドダンジョンの制圧とかオークションとかやらなきゃ行けないことが目白押しだな。


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読んで頂きありがとうございます。

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