第107話
「やっと見えてきた」
想像の10倍キツイ山登りをすること40分。
苔が付いていると言うより苔に覆われている人工物を発見する。
首塚なんて見た事無いけど、多分あれが首塚だろう。
言われた通りに首塚に手をおくと景色が一瞬で変わる。
「また山を登るの?」
大江山ダンジョンは麓から頂上まで歩いて登るというダンジョンなので、大江山ダンジョンに入るために山登りして、ダンジョンに入ってからも山登りをするというちょっとめんどくさい事になっている。
大江山ダンジョンの上空は水神龍が作り出した霧がかかっていて飛んで進もうとすると問答無用で殺される。
ちなみに今度はしっかりとした登山道があるので、いくらか楽ではある。
まぁ、途中に関所みたいのがあってそこで魔物と戦う事になるらしい。
「本当に水神龍に会いに行かなきゃダメ?正直ここにいるだけで怖くてチビりそうなんだけど」
山頂や霧から感じるオーラだけで、すごいプレッシャーを感じる。
少しでも気を抜くと気絶してしまいそうなぐらいのプレッシャーだ。
「ここは水神龍のダンジョンだぞ?今さら逃げられるわけないだろう。それに私と普通に話をしているのに水神龍にビビることないだろうに」
強さがどうこうと言うより同じ龍だからこそ
神龍に対しての恐怖を感じちゃうというか…
「同種だからか。まぁ、さっきも言ったがもう逃げるのは不可能だ諦めて水神龍のところに向かうぞ」
ヤダヤダと駄々を捏ねてるといつの間にかスマホでその様子を録画されていてこれ以上続けるなら、この動画をエルフっ娘に送るぞ?と脅されたので諦めてヤケクソで登山を始める。
「一つ目の関門の門番はシルバーオーガか」
10分程登山道を歩いていると大きな関門が現れる。
こんなに大きいならここまで近づく前から目視できてたはずなのに、目の前まで近づくまで全く存在に気づけなかった。
これも水神龍の能力が関係してるのかも?
もしくはダンジョンの機能。
それにしてもシルバーオーガが20体はいる。
シルバーオーガってそんなに同時に居ちゃいけない魔物だと思うんだけど。
闘技場でも偶に出てくるけど。弱い魔物じゃないよ?
もちろんもっと強い魔物はいっぱいいるし、俺はワンパンで倒せるぐらいの強さだけど。
万が一俺以外の人が大江山ダンジョンに入ったら確実に死ぬんじゃないかな?
入っちゃったとしてもすぐに引き返せば問題ないか。
関門部分でしか戦闘ないみたいだし。
とりあえずシルバーオーガ達には俺の八つ当たりに付き合ってもらおう。
「あっぶな!なんかこのシルバーオーガ闘技場で戦ったのより強い?」
痺れを切らしたシルバーオーガが攻撃をしてきたけど、闘技場で戦った個体より倍以上に早い。
普通に避けれる速度だけど。
レベル差か?
って思ったけど、なんか違う気がする。
よく見るとシルバーオーガよりちょっと黄色っぽいし。
「そのオーガはプラチナオーガ、シルバーオーガの上位種だ」
なるほど。正直人型はリーリンさんとの模擬戦を毎日してるから全く驚異に感じない。
リーリンさんレベルの化け物が相手だったら話は別だけど。
プラチナオーガサクッと倒した瞬間。
何かヤバいと直感が働いて回避行動を取りながら再生の炎を身に纏う。
脇腹に激痛が走り確認するとごっそり脇腹部分が無くなっていた。
なんか再生速度が鈍い。
いつもならこのぐらい一瞬で治るのに…
それにいつもより痛いし。
いつもより魔力を消費して再生の炎の勢いをあげる。
「上半身と下半身を真っ二つにするつもりで攻撃したのにやるじゃん」
声がした方を見ると身長2m越えのゴリマッチョで額に2本の角が生えている男が立っていた。
あれが水神龍…
「そりゃドウーモ。水神龍様こそ、なかなかにユーモア溢れる歓迎ありがとうございます」
なんと言うか、恐怖よりそっちが呼んでおいて攻撃しやがってと言う怒りの方が勝ってしまった。
(スキル〈バーニングソウル〉が進化して大罪系スキル〈憤怒〉を獲得しました。それにより称号〈ラースオブドラゴン〉を獲得しました)
なんかスキルを獲得したみたいだけど、今はそんな事どうでもいい。
とにかく目の前の水神龍に一撃入れてやらないと気がすまない。
水じゃ消えない火で攻撃してやろうと思ったけど。そんなんじゃ意味が無い。
酸素じゃなくて水を燃料に燃える火を作り出して水神龍を攻撃する。
「水を燃料にして燃える炎か〜考えたね」
「チッ」
驚いているようだけど、当然のように無傷だ。
「映司一旦落ち着け。これ以上はダンジョンがこわれる」
ダンジョンがこわれる?リーリンさんのそう言われて辺りを見回してみると、さっきまで登山道にいたはずなのに辺り一面、溶岩の海に変わっていて、空に大きな亀裂が走っている。
「何これ?」
「それはこっちのセリフだ何があった?」
俺がキレてこうなったらしい。正直、水神龍を攻撃することしか考えてなくてどうしてこうなったか心当たりがないんだけど。
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