第105話

「あれが核ミサイルか」


海面からミサイルが顔を出すのが見える。普通は目で見える速度じゃないだろうけど。

そこはまぁ、龍だし普通に目で追える。


全速で核ミサイルに近づきミサイルに優しくタッチしてリーリンさんから借りてるマジックバッグに収納する。


タッチに力が入りすぎてミサイルを破壊しちゃう見たいなドジを踏まなくて良かった。


「もしもし河村さん。核ミサイル無力化成功しましたよ。複数発射されるとかないですよね?」


「予知で発射されたのは1発だけだけど……念の為、警戒を続けて欲しい」


確かに警戒は続けた方が良いか。


もう数時間すれば夕方になって暗くなり始める。


それまで警戒を続けるか。


飛んだままボーッと海を眺めていると潜水艦が浮上してくる。

結構揺れながら浮上してきたから搭乗員の意思で浮上してきたんじゃないかも。


「リーリンさんがやってくれたのかな?」


「私じゃないぞ。まぁやったのは敵じゃない。そろそろ自分に会いに来いとやつからの言うメッセージだろうな」


奴からの?

あぁ 、大江山のダンジョンマスターか。


となると大江山に行かなきゃ行けないのか。

近々行くって言っときながら行ってないし。


「そもそもなんで大江山のダンジョンマスターは俺に会いたがってるの?」


「そりゃ、ようやく炎神龍まで進化できる可能性をもった龍が現れたんだ。水神龍としては気になるのも当然だろう」


神龍?話が飛躍しすぎじゃない?


「俺がそんなヤバそうな存在に進化する可能性がある?」


「そうだ。スタンダードな火属性龍だからこそ炎神龍に進化することができる。それにあんなチート炎、火属性の龍が中位龍になれば使える代物じゃない。それこそ炎神龍になる素質を持っている龍だけが使える能力だ」


そうなの?前に龍はみんな中位龍になればこの能力使える的なニュアンスで喋ってた気がするけど?


まぁ、確かに世界のルールを無視できる攻撃を使える存在が沢山いたら大変なことになるだろうけど。


とにかく世界のルールを無視した攻撃ができるのは神龍に進化する可能性をもった龍だけってことね。


そして水属性龍の頂点、水神龍が大江山のダンジョンマスターだと。


酒呑童子で水神龍。……なんとなく察しがついてしまった。


マジでそのダンジョンマスター味方なの?

まだ確定した訳じゃ無いけど酒呑童子ってだけで人の味方じゃなさそうなのに。

それに加えてあの日本じゃその名前をしらない人はいないんじゃない?ってレベルで知名度のある龍。

あの龍、バリバリ人間の敵として語り継がれてるけど。


と言っても行かない訳にはいかなそう。


「おっ潜水艦のハッチが開いた」


そう言えば潜水艦放置したまんまだったな。


なんか拳銃を構えてたけど。リーリンさんが首トンで気絶させた。

リアル首トン初めて見た。

俺がやったら絶対胴体と頭がさようならすることになるだろうな。


手加減して首トンしても気絶させるのは俺の技量じゃ無理だろう。


「この潜水艦ごと丸々証拠だし。潜水艦ごとSCSFにお土産として持っていくか」


マジックバッグは生きているものを収納することはできないので、圧縮を解除して久々に5m級の龍の姿になって潜水艦を掴んで飛んでいく。

リーリンさんは自分で飛べるのに俺の肩に乗って楽をしている。

俺の代わりに河村さんに核ミサイルを発射した潜水艦を鹵獲したと連絡して貰ってるし、今回は文句が言いにくい。


「映司。アンデッドダンジョンのあるところに持っていけばいいらしいぞ」


アンデッドダンジョンのところか。

SCSFの本部を建設中の場所だし分からなくもないんだけど。近所にこの潜水艦置いときたくないんだけど。


国的には俺が近くにいた方が万が一の時に被害を抑えることが出来るって考えもありそう。


仕方ないので潜水艦をアンデッドダンジョンのある土地に運ぶ。


「じゃあ、後はお願いしますね」


「ちょっと待って欲しい。この潜水艦の武装をマジックバッグに全部収納してくれないか?潜水艦に詳しい自衛隊の見立てでは積まれている核ミサイルは複数の可能性が高いと言うし」


今現在、潜水艦内に自衛隊員が入って内部の調査をしている。

潜水艦に乗ってる自衛隊員もいるし潜水艦について詳しく知っているのは自衛隊の方だろう。

今回の件は政治家の権力争いのせいで連携が上手くいかないみたいなことにはならない。

何せ無効化したと言え核ミサイルを撃たれたんだから。


「処分はどうするんですか?個人的にはダンジョンに吸収させようと思っているんですけど」


あんなモノ早く手放しちゃいたいし。


「ダンジョンで処分をするのは賛成だけど。こちらからも吸収させるのを確認する人員を派遣したいから処分するのは少し待って欲しい」


まぁ、変な疑惑を持たれたく無いし。処分は少し待つか。


結局発射されたものを含めて6発の核ミサイルに魚雷などに武装をマジックバッグに収納した。


これリーリンさんからの借り物なんだけどいつになったら返せるんだろう。



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読んで頂きありがとうございます。



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