第103話

「腕を斬られた程度じゃ動じなくなったし。これなら痛みに怯んでそこで突かれるということもないだろう」


「確かに役にはたちましたけどね」


戦闘中に痛みでいちいち怯んでたら勝てる戦いも勝てなくなると言う話で容赦なく手足を切り落とされるようになったけど。

最初の頃はそれはもう痛かった。

マジで悪魔だと思ったけど。

最近は手足が切り落とされるようなダメージを受けても気にせず動けるようになった。


かと言って負傷前提で戦うのは嫌だからできるだけ避けるけど。


「だが 、変わった重心に対応できなくて。動きが鈍くなっている。まだまだこの訓練は必要だな」


ほんと悪魔だよこの仙人。


〜1時間後〜


「あ〜今日もいいように切り刻まれて終わってしまった」


こっちも1回ぐらい腕をもいでやりたいと言う気持ちで向かって行くんだけど。

全て良いようにいなされて逆に腕を斬られる。


腕を狙いすぎてるのかな。かすり傷でも良いからダメージを与えたいんだけど。


「まぁ、今まで戦闘なんてしたことが無いヒヨっ子からダメージを受けるほど柔い鍛え方はしていない」


「確かにそうなんですけどね」


だからと言って最初から諦めてたら怒るしなこの仙人。


「とりあいず。あの手足を解体するか」


リーリンさんにぶった斬られた手足を集めて

皮、爪、骨、肉に分ける。

皮、爪、骨は素材として使うけど 。肉は闘技場のリソースにしてしまう。


さすがに自分の肉を食べる気にはならない。

勿論食べさせる気にも。


というわけで闘技場のリソースにする。


燃やしちゃうのも、もったいないし。


それがならいつもやってることだし。肉か牙かの違いだけだ。


「火属性の中位龍の肉を食べれば永続的に火耐性を手に入れられるのにもったいない」


そう言うのはリーリンさんだけですよ?

他のみんなはリーリンさんがそう言ったら引いてたからね?


「そんなこと言っても流石に肉はダメです。そろそろ精霊の性能確認が終わるだろうし。ソフィアにスキルの書を渡してきます」



精霊についても聞きたいし。

精霊と戯れてるソフィアの所に向かう。


「ウィーあの氷の壁に攻撃!」


「にゃぁー」


猫型の精霊がひと鳴きするとめっちゃ威力のある雹が空から降ってくる。

氷の壁一瞬で砕けてるし。ミニガン掃射してるみたいじゃん…


可愛い見ためなのにえげつないな。


やっぱ精霊って強いのか。


「にゃぁー」


猫型の精霊が足元に来て足でペシペシ猫パンチしてくる。


「どうした?やっぱり氷属性の精霊だから火属性の俺が嫌いとか?」


猫型の精霊は首を横に振る。こいつ人間の言葉わかるのか。


「そいつは龍の魔力につられたんだろう。後映司のことが大好きなエルフっ娘の魔力で孵化してるから。映司に対しての好感度が最初から高い」


親の影響を受けるってことでOK?


とりあえず猫型の精霊を撫でてあげる。

ゴロゴロと気持ち良さそうな声をあげる。

なんか凄い勢いで魔力を吸われてるけど可愛いから良いか。



「と言うか龍の魔力って何か変わるの?」


「龍がと言うより種族によって魔力の質が異なる。当然龍の魔力の質は最高峰だ。エルフも悪くはないが龍に比べたら下の下だからな」


そんな違いがあるんだね。


魔力視で魔力を見てもそんな違い分からなかったな。


「魔力視を鍛えればわかるようになるぞ」


へぇ〜魔力視って鍛えられるんだ。鍛えれば

魔力隠蔽を看破することもできるのかな。


スノーホワイトスネークを発見できなくて足噛みつかれちゃったからな。

結果はあっちがダメージを受けただけですんだけど。


「どうやったら魔力視って鍛えられるんですか?」


「とにかく使う。これが1番」


地道に使い続けるしかないってことかな。


「それより猫ちゃんさすがに魔力吸いすぎ。もう吸うの止めて」


リーリンさんの話を聞いてる間も地味に魔力を吸い続ける猫ちゃんを持ち上げて注意する。

猫ちゃんは止めてと言うお願いを無視して魔力を吸い続ける。


……これは懲りてないな。ちょっと懲らしめる必要があるな。ソフィアの方を見るとやっちゃってと頷く。

さっき手に入れたスキルを試してみるか


「魔力を吸えるのは猫ちゃんだけじゃないんだよ〜〈MPドレイン〉」


「にゃっ!!」


猫が吸収した分の魔力をMPドレインで返してもらう。

猫はパニックになって俺から逃げようと腕を引っ掻いたり噛み付いたり。

さっき氷の壁を粉々にした雹を俺に降らせたり、必死に攻撃してくるけど。

どれも俺にダメージを与えることはできない。


「これに懲りたら、勝手に魔力を吸うのはやめろよ?今回は俺から吸い取った分だけで許して上げるけど。次は限界まで吸い取るからね?」


地面に降ろしてあげるとソフィアの方に走って逃げて行って「ご主人アイツ本気でヤバいやつです」って訴えてる気がする。


「何を言ってるのウィー、悪いのは貴方よ。

反省しなさい」


猫は裏切られた!とガーンって感じの顔をする。


「まぁ、精霊も生まれたばっかりだし。さっきの事が悪いことだって認識がなかったんだよな?ちゃんと事前に魔力を吸っていいか確認して、止めてって言ったら直ぐに止める。そうしてくれれば怒らないから」



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読んで頂きありがとうございます。


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