第102話

「裏技ではなく、ただのゴリ押しだが精霊の卵を直ぐに孵化させる方法はあるぞ」


E国のダンジョンマスターが今日を入れて3日後に来日することが決定して。当然のように俺達が関わることになった。

雷太にダンジョンマスターについて教えて欲しいってのが来日する理由だからな。

関わらないってのは不可能な訳でどれほどの規模になるか分からないけど確実に襲撃があると思っている。


なので、準備期間は実質一日半ぐらいしかないけど。その間にできるだけ自分たちの強化に充てようと言うことでまずはリーリンさんに精霊の卵を早く孵化させる裏技はないかと聞きに来た。


「ほんとですか!?それって今すぐに出来る方法ですか?」


今すぐ出来る方法じゃないなら意味ないし、出来れば今すぐに実践できる内容だと良いけど。


「精霊の卵は精霊使いのスキルを持っているかエルフが1人で一定量の魔力を与えることで孵化する。だから孵化するまで魔力回復ポーションで魔力を回復させ続ければ良いだけだ」


確かにそれはゴリ押しだな。でも闘技場のおかげでポーションは沢山あるし今すぐに実行出来る。


後はお腹がタプタプになりながら頑張れるかだよな。


「結構単純な話しね」


「俺なら幾つでも魔力回復ポーションを用意できるしね。ついでに俺がこの間使った水を回復ポーションに変化される水差しの魔力回復ポーション版も手に入れたし。どれだけ飲んでも問題ないよ」


わざわざそれを使わなくても良いけど。ソフィア的には水差しを使った方がまた俺のものをタダで使ったって気にせずに済むだろう。


「ほぅ、いいものもってるじゃないか。なんだったらこの先の池の龍酒を入れると良い」


元々は大吟醸が湧き出る池なんだけど、俺が作った炎の結晶を投げ込んだら龍酒と言うお酒に変化した。

当然、俺は呑んだことはないけど。かなり美味しいお酒らしい。父も美味しいって言ってたし。


それはさておきなんで龍酒を?って思ったけど。そう言えば水の品質によって変化するポーションの等級が変わるって効果もあったな。


水と言いつつ液体ならなんでもいけるのか?

まぁ、普通の水に比べたら確実に龍酒の方が品質は上だろう。


ソフィアは早速精霊の卵に魔力を流し始める。

その間に俺は龍酒を汲みに行く。


桃源郷は魔物も出てこないし特に何事もなく龍酒を汲んでソフィアたちのところに戻ってくる。


龍酒すげぇ、3級魔力回復ポーションに変化してるんだけど。

燃料として魔石を消費するだけで3級魔力回復ポーションを量産出来ちゃうって考えるとかなり便利な魔導具だな。

龍酒の品質がそれだけ高いってことなんだろうけど。


ソフィアが精霊の卵に魔力を与えてる間俺が手伝える事はないので、自分に使う予定だったスキルの書を使ってスキルを使ってみるか。


マジックバッグから〈合成強化〉のスキルの書を取り出して使用する。


早速合成強化を試して見るためにマジックバッグからミスリルロングソードを取り出す。


ミスリルロングソードに俺の牙を合成する。


「おぉーかなりBPが上昇した」


BP上昇も嬉しいけど。俺の素材を合成すれば耐久度が上がって俺でも使える武器が作れるだろう。


今更武器を使うか?って言う気持ちもあるけど。


作っておけば使うこともあるだろう。


あとは普通の服にも合成しておけば簡易的な防具として使えるだろう。


と言っても俺の服は魔力で作ったものだから合成できないし。

服の強化は後回しだ。


その後、〈強化合成〉以外にも〈MPドレイン〉〈MP譲渡〉〈悪意感知〉 〈回復魔法〉

のスキルの書を自分に使った。


どのスキルから試そうかなと考えていると。


「可愛い!!」と言うソフィアの声が聞こえてくる。


精霊の卵が孵化したかな?


そう思いソフィアの方に向かうと水色で半透明の猫がソフィアの肩に乗って頬ずりしている。


猫姿をした精霊か。さっきソフィアが猫いいなーって言ってたから猫の姿になってるのかな。


精霊の卵の孵化が終わったなら、スキルの書使って貰おうと思ってたけど。

精霊を可愛いがるのに忙しそうだし、後で良いか。


さっき取得したスキルを試して見よう。

とりあえず1人でも試せる回復魔法を試して見る。

手のひらを軽く斬って手のひらに回復魔法を使う。


「ライトヒール」


1番初歩的な回復魔法だけど、手に光が集まっていき傷がどんどん塞がっていく。


ポーションでも治せるし。俺の怪我に関しては龍の回復能力で直ぐに治るけど。

他人に傷を治すのに役立つかもしれないし。


あとのスキルはひとりじゃ試せないんだよな…


後で魔物相手に試してみるか。


ソフィアは精霊の性能を確認してるみたいだし邪魔しないようにするか。


「と言うわけで、リーリンさん少し体を動かしませんか?」


「もちろん。今日もボコボコにして可愛がってやろう」


この人、斬ったとしても普通に生えて来るからって、腕とか足を当然のようにちょんぎって来るんだよな。もうちょっと手加減してくれても良くないって思うけど。


そこまでやってたからこそリーリンさんと模擬戦やる時ほどの絶望感はないって、アンフィスバエナと戦う時に冷静に戦えたし。躊躇なく腕を犠牲にして攻撃出来たし。

もっと手加減してって言いづらいだよね



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読んで頂きありがとうございます。


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