第95話
ー桃源郷ー
「ほう、異常種が大人しくダンジョンマスターをしていたか。面白いこともあるものだな」
「そうっす緊急事態っす。映司様を助けに行って欲しいっす」
「何を言う。映司は勝てると思ったから、邪魔な2人だけ退避させたんだろう。そんなことより邪魔だと言われた自分を恥じろ。眷族なのに主に守られて恥ずかしくないのか?」
「そりゃ盾にすらならないって言われてる悔しくない訳ないっす」
「なら、映司の心配などしてないで、自分が強くなる方法を考えろ。そこのエルフっ娘を見習え。せめて映司の邪魔にならないように私にスキルを使わない技術を習いに来てるんだぞ。それに映司は転移結晶をまだ持っている。ヤバいと思ったらそれで撤退するだろう」
いきなり邪魔だから撤退しろと言われて少し焦ってたけど。そう言えば転移結晶をもうひとつ持っていたなと思い出した。
「少しは冷静になったか。丁度いい私がシゴいてやろう。そっちの竜牙兵もついでにな」
模擬戦とは言えあんな化け物と戦うなんて冗談じゃないと言いたいところだけど。
このままではずっとペット枠だ。覚悟を決める。正直アンフィスバエナと戦うより覚悟が必要だったのは内緒だ。
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ー桜島ダンジョン・9階層ー
「リスク無しじゃ勝てないか...」
アンフィスバエナに大ダメージを与えようとするにはアンフィスバエナの攻撃を一度受ける必要がある。
かと言って今みたいに少しづつダメージを与える今の戦法ではこっちの魔力が先に切れてしまう。
魔力回復ポーションで魔力を回復することも考えたけど、ポーションだした瞬間に毒水に変わっちゃったんだよね。
アンフィスバエナのポーションは使わせないって言う強い意思を感じる。
「よしこれで行こう。ダメージは受けるけど。ずっとためてる大技を食らうよりかマシだ」
水属性を操る頭の首元に手刀を叩き込んで、自分の腕ごと爆発。首を半分ぐらい抉る事に成功した。
俺を殺すためにためていた攻撃も明後日の方向に撃っちゃったみたいだし。
距離を取りながら腕の再生では無く、アンフィスバエナを倒す為の火球を作り出す事に集中する。
「傷の回復に集中したのが敗因だったな。
まぁ、首の半分抉られたんだ。回復に集中するしか無かったってのが正解か」
アンフィスバエナは傷を治すスキルを持っていたようで首の治療に必死だったようで毒霧散布以外に攻撃してこなかったので充分な大きさの火球を作り出すことができた。
首の修復が終わったアンフィスバエナがこちらを睨むけど。
火球をアンフィスバエナに叩きつける。
火球はアンフィスバエナに触れた瞬間大爆発を起こす。
(ダンジョンマスターが初討伐されました。
ダンジョンが初めて攻略されました。報酬として好きなアイテムをひとつ手に入れることができます)
「魔力体生成装置一択だ」
魔力体生成装置を分かりやすく説明すると某漫画のトリ〇ン体を作り出せるようになる指輪だ。
魔力体で戦えば魔力体が破壊されるまではどんなに攻撃を受けてもダメージゼロだ。
足を斬られちゃったりすると動けないくなっちゃうけど。
即死防止アイテムのようなものだから超レアアイテムでダンジョン攻略で手に入れないとまず手に入らない。
(攻略者の要望により魔力体生成装置レベル1が贈答されました)
レベルが上がれば上がるほど魔力体になった時にBP減少率が下がるらしい。
レベル1は魔力体になるとBPが50%まで低下する。
もっと高いレベルの魔力体生成装置も欲しいけど中位ダンジョン攻略報酬でレベル1しか手に入らなかったし。手に入れたいならもっと難易度の高いダンジョンに挑まないといけないだろう。
「アンフィスバエナの魔石は普通の魔石みたいだな」
やっぱロスの意思が魔石に残ったのは珍しい例な気がする。
魔石だけでなく、浄玻璃鏡レプリカと言う。
死者の記憶を映し出す鏡もドロップした。
と言っても誰にでも使える訳ではなく、死者の記憶を読み取れるスキルを持っている人物でないと使えないらしい。
これはSCSF行きだな。確か死者の記憶を読み取れるスキルを持っている隊員がいるって話してたし。
「またアンフィスバエナがポップするのかとか気になることは有るけど。今回やれることはやりきった」
アンフィスバエナは異常種だからリポップするってことはない気がするので、今度からは本来のダンジョンマスターがポップすることになるだろう。
当然、このダンジョンもクリアしたからと言って入口まで一気に返してくれる転移魔法陣が現れたりしない。
9階層で1時間ほど休憩してダンジョンからの脱出を開始する。
ダンジョンから脱出したら、夜が明けて明るくなって来ているタイミングだった。
すぐに新幹線の席をとって帰りたいところだけど。
シャワーを浴びないと乗車拒否されそうだし。ネカフェに行ってシャワーだけ浴びるか。
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