第94話

「それじゃあ、両サイドの喧嘩に挟まれるのが嫌すぎて、どうにかならないか強く願ったら魔石に宿ってたと……抵抗しないから連れてって欲しいか……」


まぁ、ずっと自分を挟んで両サイドが喧嘩してるのは嫌だよね。

敵対する気は無さそうだし。

1番は眷族にしてしまうのが安全なんだけど……


「竜牙兵に組み込んじゃうか?」


竜牙兵を作る時にこの魔石と俺の血を混ぜて作れば、真ん中頭の意思が宿った竜牙兵を作り出せるんじゃない?

ワイバーンは亜竜種だから眷族にもできるだろう。

ダメだったらダメだったで試して見るか。

失敗しても俺は特に問題ないし。


というわけで牙、血、青い炎の結晶、トライヘッドアイスワイバーンの魔石。

この4つを素材に竜牙兵を作成する。


結果いつも作る竜牙兵より一回り大きく、柄の部分に宝飾品のように青い炎の結晶を圧縮して小さいしたものが嵌め込まれた骨剣と小盾を装備した魔法剣士タイプの竜牙兵が完成した。

後、全体的に薄ら赤い。


「竜牙兵が自分で魔力を生成してる...ってことは今までのこっちが魔力を補給して命令しないと動かない人形ではなく、トライヘッドアイスワイバーンの意思が宿ったことで生き物と認められたという訳か」


最初は竜牙兵をトライヘッドアイスワイバーンが操縦して竜牙兵の動きが良くなれば良いなぐらいのイメージだったけど。

新しい魔物になっちゃったか。


今までの竜牙兵は生き物ではないのでレベルと言う概念が無かった。

なので 、どれだけ戦っても強くなることは無かった。


でも、今作った竜牙兵は魔物として生きている生物と認められレベルと言う概念が適応された。


今はトライヘッドアイスワイバーンのころに比べるとかなり弱くなってしまっているけど

レベルを上げればトライヘッドアイスワイバーンの時より強くなることも可能だろう。


「そうなると、名前をつけてあげないと行けないよな」


と言っても名前なんてすぐに思いつかないよな。

そのまんまでいいか。


「お前の名前はロスチャイルドで、呼ぶ時は長いからロスね」


新た仲間を加えて次の階層に向かう。


「9階層で最後だったんだね。このダンジョンそれにしても、異常種をダンジョンマスターにするなんて、ここのダンジョンも思い切ったことするな」


毒水のブレスを飛んで避けながら。

9階層で待ち構えていた双頭の龍を鑑定結果する。


アレと戦うには雷太とロスは邪魔だと判断したので戦闘が始まる前に転移結晶を使わせて桃源郷に退避させた。


どう考えてもグラトニースライムより強いし。


と言っても桃源郷でリーリンさんの息抜きで何度も模擬戦をさせられているこっちとして恐怖は感じないけどね。


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アンフィスバエナ


2つの属性を操ることが出来る特殊龍。

操る属性は個体ごとに違う。



BP760,000


備考:異常種、ダンジョンマスター


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BP上昇スキルをフルで使っている状態の俺とほぼ変わらないBP。

そんな相手、中位ダンジョンで出てくるとは思わなかった。


それにしても、ダンジョンにも牙を剥くから異常種って言われてるんじゃないのかよ!


なんで大人しくダンジョンマスターしてるの?

特殊龍って何?とかツッコミたいことは色々有るけど。

まぁ、そこら辺は後でいいや。


「操る属性は水と毒か?」


と言っても俺みたいに世界の法則を無視したりは出来なそうだな。


世界の法則を無視出来るなら2つの属性を操る必要ないし。


まぁ、法則から逸脱すればするほど魔力の消費量が跳ね上がるから。

2つの属性を操れた方が低燃費かも知れないけど。


「どうしてこいつ毒が効かないって顔をしてるな?」


こいつ液体状の毒でしか攻撃してないと見せかけて気体状の毒も散布してる。

案外ずる賢いなこの龍。


「安心しろお前の毒はちゃんと効いてるから。毒でダメージを受けた瞬間に回復してるだけだから」


傷や状態異常を治す再生の炎なんて想像しやすい。


世界の法則を無視する時はイメージが特に重要。


こう言う炎使えたら良いなと思っても生み出せないことも多かった。


その点再生の炎はリアルでは有り得ないけど。ゲームとかでは当たり前のように出てくるし。イメージもしっかりもてて生み出すことができた。


「と言ってもこのままじゃ決着つかないし。そろそろ本格的に始めようか」


全身に再生の炎を纏い、アンフィスバエナに接近戦を挑む。


圧縮を使って人間サイズになっているので接近性でアンフィスバエナの周りをちょこまか動きながら攻撃する。


直接殴ったり手刀で切りつける度に体を覆う毒で手が溶けるけど再生の炎ですぐに回復させる。


「相手にダメージを与えることはできてるけどこのままじゃ負けるのはこっちか」


再生の炎は世界の法則を無視して作り出しているので魔力の消費量は多い。

このまま戦えば、アンフィスバエナを削りきる前に俺の魔力がきれる。


魔力が無くなるかもなんて状況初めてだな。


かと言って、アンフィスバエナに大ダメージを与える攻撃をするには一瞬とは言えタメが必要だ。


アンフィスバエナに対してその一瞬は致命傷になる。


さっきから俺を攻撃しているのは毒属性を操る頭だけで、水属性を操る頭は俺を一撃で殺せるような攻撃をチャージして隙を伺ってるからな。



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読んで頂きありがとうございます。








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