第82話

「結局、雷太と2人旅か」


龍酒で本人の火耐性は上げれても服はどうするの?と言う話になってしまい。

桜島のダンジョンに行くのは俺と雷太2人でと言うことになってしまった。

溶岩の真横で耐えられる防火装備もあるらしいんだけど。かなり動きを阻害されてしまう装備だし。そこまでして行く必要はない。元から大丈夫な人だけで行けばいいと言う結論になってしまった。


マグマで燃えない服程度リーリンさんに頼めば大量に出てくるだろうけど、あんまり頼りすぎるのも良くないので、今回のダンジョンで火に耐性のある魔物の皮がドロップするのを狙うつもりだ。

使っている道具に比べて龍の皮の防御力が高すぎるから服に加工するのが凄い時間がかかるわけで。

このダンジョンで手に入れた魔物の皮なら直ぐには無理だろうけど龍の皮よりは早く加工できるだろう。


実質1人旅だし。なんか寂しい。


そんなわけで今は鹿児島に向かうために新幹線に乗っている。


雷太は大人料金を払ったうえでケージに入れている。


ちなみに雷太はケージの中でふて寝中だ。


流石に新幹線中で自由にさせてると何言われるか分からないし。


暇つぶしの為にDtubeをひらくと先日撮影したダンジョンの攻略動画がアップされていた。


廣瀬さん仕事早いなと視聴してみるとダンジョンに入る瞬間から始まり、最初接敵まではノーカットそこからはちょこちょこカット編集がされていて見やすくまとめられている。


ゾンビが出る階層で俺がブレスを使って通路をドロドロに溶かしたところで終わっていた。

明日攻略までの後編を投稿するらしい。

後付け解説実況をしていた廣瀬さんがそう言っていた。


因みにコメントを見る限りクラリスさんが

ぶっちぎり1番人気、2番目がアル

3番目が廣瀬さん、ドベが俺。


まぁ、龍の姿になってたなら分からないけど、ずっと人の姿だったし人気が出るないのも納得出来る。

ソフィアとイチャイチャしてる写真がこの動画より前にネット記事とかで取り上げられたってのもあるかな。


メイド服で戦う美女のクラリスさんが人気になるのは当然だし。

恐竜のアルが人気になるのも当然。

そもそも投稿されてるチャンネルは廣瀬さんのところなので、廣瀬さんの人気があるのも当然。


だからこの結果も当然ちゃ当然なんだけど…

今度廣瀬さんのチャンネルの動画に出る時は龍の姿で出よう。


動画を見終わったあたりで丁度、車内販売が通ったので滅茶苦茶硬いバニラアイスを買って溶けるのを待ちながらゆっくり食べる。


それにしても投稿30分で1000万再生か…

ダンジョンの攻略動画なんて初めてなんだし

寧ろ少ないレベルかもしれないけど。


俺的にはマジで臭いがキツくて辛かったけど、ゾンビが出てきたのは視聴者にダンジョンの過酷さを伝えるのにはよかったみたいだ。


自分がダンジョンに入るのはもっとダンジョンの情報が出て来て対策してからが良いと思った視聴者がそれなりに居るみたいだ。

動画のコメントや某掲示板を覗いて見た感じだけど。


当然。触発されてダンジョンに早く入りたいと言う声も沢山あったけどね。


他の国に比べればかなり早い段階でダンジョンの一般開放が解禁されるんだからもう少し我慢して欲しい。


実際日本は一般開放まで1ヶ月きってるし。


だから、ダンジョン内での死亡事故を減らすためにSCSFはダンジョン内のマップや情報の入手に力を入れてるし俺もその手伝いをしてるわけだけど。


迷宮省はタダではなく情報料でひと稼ぎするつもりかもしれないな。

冒険者は魔物を倒せればかなり儲かる筈だし。冒険者に金を使わせるシステムは重要なのかもしれない。


その後新幹線を乗り継いで鹿児島に到着した時には夕方になっていた。


事前にまんま見た目、西洋竜の連れがいるんですけど。泊まれますか?と電話で確認してOKを貰っている宿に向かう。


「ダンジョンの入口が山頂になくて良かった」


次の日は朝から桜島に移動してダンジョンに挑戦する。

ダンジョンの入口は山頂ではなくふもとにあったので、ダンジョンに入る前に登山をする必要がないのは助かった。


「これはまたここを歩いて行かないと行けないって難易度高くない?」


ダンジョンの中に入ると巨大な溶岩湖が広がっている。

足場は流氷のような薄っぺらくて平らな岩が溶岩に浮かんでいて、そこを進む。

勿論、固定なんかされてない。

そんな足場で戦闘するとかかなり鬼畜だ。


少しバランスを崩しただけで溶岩にドボンとか 普通の人間は即死だし。


まぁ、天井がかなり高めなので、人間サイズの龍状態で俺は飛んでいくから関係ないけど。

それに俺はもし溶岩に落ちても火傷すらしない。


雷太は火傷ぐらいはするらしい。


そう言えばダンジョンギミックをガン無視してるわけだけど。

雷太は何も文句言わないな。

あれか自分のダンジョンじゃなきゃどうでもいい感じか。


そんな感じで空を飛んで進んでいるとウミガメが溶岩湖の中から顔をだした。


口を開いたのでビームでも撃ってくるのかと思ったらウミガメの甲羅に付着している亀の手やフジツボがこちらに向かって飛んできた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



読んで頂きありがとうございます。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る