第81話
「なんか身体中痒いんだけど」
昨日お酒を呑むのは良いけど呑みすぎるのはダメだよ?と注意したばっかりなのに泥酔した駄竜を桃源郷でキツめにお説教していると。
突然身体中が痒くなってきた。
ダニに噛まれた?
新しい布団に替えたばっかりだし、そう言うわけじゃないと思うんだけど。
「あ〜多分脱皮っす。龍の姿になると脱皮が始まると思うっす」
痒いのは脱皮が始まるサインらしい。
言われた通りに龍の姿になっていると。背中の方からピシピシと亀裂が入る音が聞こえてくる。
背中側が割れてそこからでる感じか。
どうすれば綺麗に脱皮できるか本能的にわかるので、本能にしたがって脱皮を始める。
30分程かかって、綺麗に脱皮することができた。
「この脱皮殻はどうすれば良いの?食べれば良い?」
爬虫類には脱皮した後にその皮を食べちゃう種類もいたはず。
「映司様食べるっすか!?別に味もしないし美味しくないと思うっす。と言うかちょっと引くっす」
「食べないのは良く伝わった。で、普通に捨てちゃって良いの?」
「脱皮した本人からそうっすね。けど、人からしたらかなり高級な防具の材料になるっす。何せ龍の皮っすから」
あ〜確かに 、でも脱皮した後の皮だし防御力落ちてそうだけど。
それに透明だし。そこは裏布に使うとか染色
すれば良いだけか。
「まぁ、良いや防具になるんならソフィアの防具に加工するか」
トートバッグ型のマジックバッグじゃないと収納出来ないので、とりあえず脱皮した後の皮を放置して1度家に帰る。
「お説教はもう終わったの?」
「まだ続く予定だったんんだけど。俺が脱皮したから有耶無耶になった。今は脱皮した後に残った皮を仕舞っておくためのマジックバッグを取りに戻ってきたところ」
「何?映司って脱皮するの?」
「俺も初めて知ったけど脱皮するらしいよ。桃源郷に俺の脱皮した後が綺麗に残ってるし」
普通のダンジョンなら放置して出てきたらダンジョンに吸収されちゃうだろうけど、桃源郷だし大丈夫だろう。
ソフィアも見てみたいと言うので部屋からマジックバッグを持って2人で桃源郷に戻った。
「ホントに脱皮したのね。引っ張ってもビクともしないわね。防具の素材になるって言ってたけどコレ加工できるの?」
しっぽの部分を掴んで全力で引っ張りながらソフィアがそんなことを言う。
確かに加工出来るのかな?
中学生の頃に使っていた裁縫箱から取り出した裁ち鋏を使って切ってみようと試してみるけど一切、切れない。
百均の裁ち鋏程度で切れたら防具の素材にならないだろうからこの結果は悪いことではないだろうけど。確かに加工する方法なさそう。
「1番確実なのは映司様の牙を加工して道具を作ることっすね」
雷太はそう言うけど、その道具に加工するのも無理なんじゃ?
「鍛治とか服職関係のスキルを持ってる人なら普通の道具でも頑張れば加工できるっす。品質は低くなるっすけど」
既存の道具でなんとか牙を道具に加工すれば装備品に加工できるって訳か。
そう言うスキルを持っている人探しから始める必要があるわけね。
めっちゃ時間かかりそう。
しばらくはマジックバッグに死蔵かなそうなると。
「そのまま身体に巻くだけで防具に出来そうだけどね」
確かに。
「使う?」
サラシみたいに巻くみたいな感じになるのかな?
そうなると包帯状に切らなきゃ行けない訳だけど、爪を使えば綺麗に切れるだろう。
それよりリーリンさんに切ってもらうのが1番綺麗に仕上がるかな。
「別に外から見える訳じゃないし透明なままでも大丈夫だし。身体に巻き付けて上から服を着るだけでとんでも防御力になるなら身につけておくべきよね」
その後リーリンさんに火の結晶を報酬にしっぽの部分の皮を包帯状に加工してもらった。
リーリンさんが用意した裁ち鋏で鼻歌を歌いながらチョキチョキ切られて包帯状に加工されるのはなんとも言えない気持ちになったけど。
あの裁ち鋏、聞いたら後悔するような素材を使ってるんだろうな。
とりあえず。桃源郷から外に出るとタイミングよく河村さんから電話がかかってくる。
「へぇー。じゃあ桜島にダンジョンは見つかったんですね」
今日、桜島にダンジョンの入口が現れていたのを発見されたらしい。
「発見したのはいいんだけど、溶岩湖に浮かぶ岩を進むタイプのダンジョンでね。吸熱を使える桜くん1人でなら先に進めるけど。1人で魔物の相手をするのには限界がある。となると火が効かなそうな映司くんに話を持っていくしかなくてね」
溶岩湖が広がるダンジョンか。
熱を吸熱できるスキルを持っている桜さんなら問題なく進めるけど。
ほかの人は辛い訳か。
俺は溶岩遊泳ぐらい楽勝だろうし。
龍酒のお試しにも良さそう。
まさかこんなに早く使うことになるとは思ってなかったけど。
それに鹿児島観光も楽しそうだ。
黒豚とか美味しいって聞いたことがある。
「分かりました。桜島行ってみます」
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