第69話
「なんでも良いから生き物の血を摂取すれば、正気を保てるし。普通に生活することはできる。爵位持ちでなければ日光でダメージを食らうが、普通に出歩いていたし最低限爵位持ちのヴァンパイアなんだろう。貧血になってあそこまで本能がでるならそれほど高い爵位ではないと思うが」
ヴァンパイアは爵位が高くなればなるほど強くなるらしい。
とりあえず聞きたいことは聞けたので電話をきる。
スキルってのもやっぱり万能じゃないな。
彼女が血を摂取して理性的に生活することができたとしても、周りから絶対に気味悪がられるし。
普通に生活するなんて無理だ。
実際、俺がドラゴニアンになってから数軒ご近所さん引っ越してるし。
表立って俺に何か言ってくる人はいないけど。
自分と違う得体の知れない者を気味悪がるのは当然だろう。
それに生き物の血を摂取するってのは人間からしたら理解し難いだろうし。
俺もほんとに血飲んでるってちょっと引いちゃったし。
「それにしても冷たいし息して無さそうだし。生きてる?龍の血は強すぎてショック死したとかないよね?」
「実際、ショックは大きかったと思うぞ。1週間飯抜きだったのにステーキを食べたような感じだな」
わかるような分かりにくいような。やっぱり分かりにくい説明をしてくれる。…リーリンさんが。
「分身ですか?」
「その通り。まぁ、あれだ龍の血は美味しいけど消化するのにすこぶる時間がかかるから、弱っている状態で摂取すると体に負担がかかると言うことだ」
最初からそう説明してくれれば良いのに……
と言うかリーリンさん分身で自由に出歩くのはいいですけど。やりすぎると日本政府から睨まれますよ?
連れてきた俺も睨まれることになるので、出来れば控えて欲しいところ。
後でしっかりそこら辺、話あうか。
とりあえず。ヴァンパイアの女性は1週間ぐらい起きないということで監視付きで桃源郷に拘束することになった。
その間にこう言う本人に犯罪を起こす気がないのにスキルが暴走して犯罪を起こしてしまった人をどうするのか法整備をすることになる。
スキルを吸収して〈スキルの書〉になったものをくれるなら〈空白の書〉をただで用意しても良いとリーリンさんは言ってるけど。
流石にそれだとはい分かりましたとは言わないだろうな。
そういうスキルは危険な分強力なものも多いだろう。
日本政府としても持っておきたいと言う気持ちがあるだろうし。
だからと言って空白の書を金で買うって言ってもリーリンさんお金なんて要らなそうだし。
スキルを吸収してスキルの書を作ることができるアイテムなんて幾らの値段がつくのか想像もつかない。
ヴァンパイアっ子はリーリンさんの分身が担いで桃源郷に連れて行った。
「じゃあ、俺達もそろそろ帰るので河村さんあとは頑張ってください」
「映司くんも手伝ってくれてもいいんだよ?」
「魔物とか倒すのは手伝いますけど、書類仕事的なのは拒否させてもらいます」
と言うか龍ってこと以外、普通の16歳が手伝っても逆に時間がかかるだけだと思うよ。
そう言うわけでSCSFの建物を後にする。
「どうしますか?」
この後、プラモデル屋さんに行く予定だったけど、結構時間が経っちゃったし、
今から行くと1時間ぐらいしか見る時間ないけど。どうする?とソフィアに確認する。
「勿論行くわよ。1番楽しみにしてたんだから」
ソフィアは細かい作業も好きみたいでプラモデルも作ってみたいって言うからプラモデル屋さんに行くことになっていた。
流石に1番楽しみにしていたとは思ってなかったけど。そう言うことなら行かない訳にはいかない。
出来るだけ早く到着するためにタクシーを拾ってプラモデル屋さんに向かった。
ーーーー
「いやー、通販でも買えるけどやっぱり専門店で直接買うのは楽しいわね」
結局閉店時間ギリギリまで時間を使ってプラモデル屋さんで買い物をした。
ロボットや戦車にお城色んなタイプのプラモデル本体に、スミ入れ用のペンやニッパーといった道具系まで正直今日の買い物で1番お金を使った。
「楽しかったなら良かった。そろそろ帰りましょう」
ド田舎だから帰るの時間かかるし。
本格的に車が欲しい。もしくは自分で飛んで帰りたい。
ただ、緊急時でもないのにダンジョン外で飛行するのは普通に犯罪になってしまうので大人しく電車で帰る。
「ただいま」
「ただいま戻りましたお義母様」
「2人ともお帰りなさい。今夜はお好み焼きだから早く手を洗ってリビングに来てね」
うちのお好み焼きは好きな具を入れて自分で焼くタイプだ。
「お好み焼き食べたこと無いから楽しみだけど。自分でひっくり返せるかしら」
「しっかり火が通ってからなら、ひっくり返せるよ。あとは持ち上げすぎない」
何回か返してるのを見れば普通に返せると思う。
最初は小さめのサイズで練習するのもありだと思うし。
それにお店で出すもんじゃないんだし失敗するのもそれはそれでいい思い出になるし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んで頂きありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます