第66話
「映司が言ったようにお互い相手を殺すような本気の攻撃はなしだな」
朝から色々あってリーリンさんと拳で語り合う必要があると思った俺は朝からリーリンさんのダンジョン桃源郷で模擬戦をすることになった。
雷太はダンジョンの入口を勝手に変更することは出来ないって言ってたけど、リーリンさんレベルになると自由に入口の場所を変えられるらしい。
どこで模擬戦します?って聞いたら、うちの庭にダンジョンの入口を作ってしまった。
「当然です。リーリンさんと本気の殺し合いをしたら死ぬのは俺ですし」
殺しはなしと言っても俺とリーリンさんが模擬戦したら周りもすごい被害がでて危ないので、審判を含め誰もいない。
「どうやって始めますか?コインを投げて地面についたら始めとかしますか?」
「いや、先手は譲ってやる」
「そう言うことなら遠慮なく!」
龍の姿プラスバーニングソウルでBP20倍の自分の中で1番身体能力が高い状態で地面を思いっきりけってリーリンさんに接近する。
そのままの勢いで殴りかかったけど、リーリンさんは避けることなく、そのまま拳に合わせて殴りかかってきた。
「ごほっ」
リーリンさんと俺双方後ろに吹き飛んで行く。
だけどリーリンさんは攻撃の威力を消すために自分の意思で後ろに飛んだから恐らくノーダメージだ。
それに比べてこっちは、後ろに吹き飛ばされたダメージはないもののリーリンさんを殴った右腕が複雑骨折。内蔵にダメージを受けて喀血。
と言うか拳と拳で殴りあったはずなのになんで内蔵にダメージを受けたんだ?
ダメージを内部に貫通させる技術ってことか。
リーリンさんと戦う時は防御は無意味ってことか。
「いつまで寝てる。まだまだ1発殴りあっただけだぞ?それにしても流石に龍は硬いな。見ろ殴った手が赤くなってしまった」
そう言って俺を殴った手の甲を見せてくる。
こちとら殴った腕が粉砕骨折してるんですけど……内蔵にもダメージを貰ってるし。
「言っておくが。映司が弱いわけではないぞ。むしろ今の私と映司では身体能力の差はほぼないと言っていい。技術の差でこうなってるわけだな」
今の状態のね。その気になればもっとBPを上昇させられるんだろう。
技術の差って言われても数千年技術を磨いてきたリーリンさんに技術で競えるわけないじゃん。
「いつまで寝てる。龍なんだ、もう傷は治ってるだろう」
そう言ってリーリンさんが突っ込んでくる。
ヤバっと飛んで回避しようとしたら突然背後から衝撃を受けて墜落する。
後ろに瞬間移動した?
と思ったがもっと単純な話でリーリンさんが分身を使っただけだ。
分身を作れるって知ってたのにすっかり忘れてた。
変に考えるのはやめだ龍にしか出来ないことをするしかない。
熱を感じず透明で触れると対象を凍らせる炎。それもう炎じゃないでしょって思うけど。
そんな炎も作り出せちゃうのが火属性の中位龍だ。リーリンさんに通用するとなるとこれぐらいしないと無理だろう。
それでも速度がないと避けられそうな気がするのでブレスじゃなくて、熱線で攻撃する。
熱線はリーリンさんの左肩を掠って左肩周辺を凍らせた。
左肩を貫通させるつもりで撃ったのにリーリンさんが回避行動をとったのでカス当たりして肩周辺をちょっと凍らせた程度のダメージしか与えらえなかった。
いくら透明で熱も感じないとはいえ魔力は隠蔽出来てないので、魔力で察知されてしまったようだ。
と言ってもカス当たりはしたわけだから。透明にして熱も感じないようにした意味はあったはずだ。
次からは避けれない状況を作ってから撃たないと当たらないだろう。
「ほんと龍はやっかいだ。なんだそのデタラメな攻撃。絶対炎じゃないだろうこれ。今日はここまでにしておくか。これ以上はお互い熱くなりすぎそうだし」
そう言いながらリーリンさんが近づいてきた。
確かにこれ以上続けたら、手足が吹き飛んだり胴体に穴が空いたりぐらいしそうだし。
主に俺の。
「良い朝の運動になった。映司はやっぱり戦闘に慣れてないな。まぁ、まだ戦闘なんてまだ数える程しかしてないだろうし、そのほとんどが一撃で終わってるだろうから仕方いないとも言えるが」
そうなんだよね。と言うか龍の姿の体の動かし方すらまだまだ微妙だし。
これから毎朝龍の姿でランニングしたりして龍の姿にも、もっと慣れないと。
場所は桃源郷で良いだろうし。
「龍の姿のまま人間サイズに慣れれば的も小さくなるし、良いと個人的に思うんですけど。リーリンさん、そんなスキル知りませんか?」
デカさは武器になるけど。格上との戦闘ではただ的を大きくしてるだけになってしまう。
動かすのに慣れてないと言うなら尚更。
後、巨大化は負けフラグって言うし。
かと言って人間の姿になったらBPは半分になるので、人間の姿に戻るのも良くない。
なら龍の姿のまま小さくなれば良いと思ったけど。
そんなスキル都合よくあるかな?
いや、雷太はサイズを自由に変えてるし、そう言うスキル自体は存在するはず。
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