第61話

「なら帰りますか。異常種を倒したらドロップした魔石をC国軍が勝手に持ってったから、それを理由にC国に居座ってやろうと思ったんですけど。ちゃんとスマホで動画も撮ってありますよ」


C国に残る理由を作らないと風魔さんが仕事をする時間がないと思ってたら既に仕事を終わらせていた。


風魔さんまじ有能忍者。


「それならC国に残りましょう。証拠は集められるだけ集めたいので」


「ドロップ品についてC国政府と交渉して時間を稼ぐのが私の仕事と言うことですね」


その間俺だけやることないんだよな〜

普通に田原さんの護衛してれば良いか。


「となると、あちらさんが用意してくれてるホテルに泊まるわけか…」


ゆっくり休めると良いな。


用意された部屋は高級ホテルのスイートルームだった。

こんな短期間で2回もスイートルームに泊まることになるとは思わなかったな。


「で、当然のように盗聴器だらけと」


部屋についてまず、そう言うのが本職な風魔さんに盗聴器を探して貰うと面白いぐらい盗聴器が見つかった。


なんなら隠しカメラも沢山。


「とりあえず。盗聴器はこの遮音結界が張れる魔導具で問題ないとして隠しカメラはどうします?」


遮音結界の魔導具はその名の通り発動させると外に音を漏らさない結界を発生させる魔導具。

密談とか盗聴器だらけの部屋で話す時の大変重宝する魔導具だ。


「隠しカメラは単純にレンズの前に物を置いて無力化しましょう」


そうだね難しく考える必要ないか。


手分けして隠しカメラの前に物を置いて俺たちが映らないようにしていく。



「これで気づけた盗聴器や隠しカメラは対策出来たってことで大丈夫ですよね?」


「部屋の中の会話を盗聴するスキルとかは現状、対策のしようが無いので完全に情報の流出を防ぐことはできないですけどね」


スキルってほんと厄介だな。


「部屋の中に変な魔力は無いですし。恐らくそう言うスキルは使用されてない筈です」


スキルを使ったら基本魔力がその場に残留したりする。この部屋にはそう言った魔力は見当たらないのでたぶん大丈夫だと思う。


絶対ではないのは魔力を消費しないスキルもあるだろうし。残留した魔力を隠蔽する方法も存在するかもしれない。


「と言うか。何時まで隠れているんですか?」


敵対意思は全く感じないけど何かがずっと隠れてこっちのことを見てるんだよね。


「なんだ。発言からしてもバレてないと思ったのにバレてたのか、ぬか喜びさせよってからに。流石、龍だ。こんな小細工全く通用しない」


C国の民族衣装チーパオを着たツインテールの少女が現れる。


「まずは色々質問しても良いですか?」


「勿論。そなたらと敵対したくないし。なんでも聞いてくれ」


「まず、貴女は何者ですか?貴女ならあの異常種も片手間で倒せたはずです?C国の人間ならなぜ異常種を討伐しなかったんですか?」


正直この人俺より強い。多分周りの被害とか考えずに攻撃してもこの人には勝てないと思う。

逃げに徹すればなんとか?って所かな。


同行者の2人は俺の話を聞いてまさか!?と驚いているけど。

目の前の見た目少女の謎人物が俺より強いのは確かだ。


「別に私はC国の人間じゃないぞ。戸籍すら存在しないしな。まぁあれだ。俗に言う仙人と呼ばれる存在だ私は。実際は数千年前から存在するダンジョン〈桃源郷〉のダンジョンマスターだ」



もしかしなくてもガチモンの仙人じゃん。

仙人とか相性悪すぎじゃん。

火が効かないとか逸話も残ってるし。


逸話道理透明になって姿を消せることを考えると火が効かないってのもただの逸話じゃないだろうし。


と言うか数千年前から存在するダンジョンか……


いやまぁ、三種の神器とかとんでもアイテムが存在するし。

大昔の地球にもダンジョンやスキル、魔法はあったんだろうなとは思ってたけど。


まさかその頃から存命の存在が居るとは思わないじゃん。


「仙人さんみたいな存在っていっぱいいたりするんですか?」


「いや、地球にダンジョンやスキルはもう必要ないと神々が決定した時に私みたいな存在は別の世界に移住したから私みたいに残っているのは極小数だ。〈アヴァロン〉〈影の国〉〈アトランティス〉〈大江山〉私が知っていて太古から存在し現存するダンジョンはこのぐらいだな」


マーリンにスカサハ、アトランティスには何がいるか知らんけど大江山は酒呑童子。

仙人クラスで有名な存在がダンジョンマスターだよなきっと。


と言うかそんなダンジョンのひとつが日本にあるってガチ?


帰ったら京都に行くしかないか。

目の前の仙人と最低でも同レベルの実力者がダンジョンマスターなダンジョンって行きたくねー


俺より強い相手なのに相手のホームグラウンドで戦う可能性があるなんてまじでやってられない。


戦うならせめてダンジョンの外で……

そう言えば普通に外に出てきてるなダンジョンマスターなのに。


ダンジョンマスターや魔物は従魔とか眷族にならないと自分の意思で外に出ることはできないって雷太が言ってたけど。


じゃあダンジョンマスターってのは嘘?


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読んで頂きありがとうございます。




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