第52話

「好きなのを選んで良いよ」


そう言ってポッケから宝石を取り出す。

母と父はそれを見て飲んでいたお茶を吹き出した。


ジゼルさんはトパーズを選んで握りしめてから母に渡す。


トパーズには魔法陣が刻まれている。


あぁそういう事か。


「家妖精召喚の魔導具ってことか。でも母さんがそれを持っても意味ないんじゃ?」


「いやどうやらあれがあれば、家以外でもジゼルさんを召喚できるらしい。今までは家から出られないと言うデメリットがあったようだけど、あれがあればどこでもジゼルさんが母さんの護衛をしてくれるってわけだ。家にいる時に比べるとBPは下がるようだけど」


父が鑑定スキルを使った結果を教えてくれる。それにしても鑑定結果がかなり詳しかった気がするけど。

父のスキルもただの鑑定スキルじゃなかったりする?


「でもこれじゃ 、ジゼルさんへのお礼にならないよ。なんか他に欲しいものない?」


ジゼルさんにそう質問すると顔を左右に振られてしまった。


「まぁ無理にものを渡そうとするのもあれか……ジゼルさん欲しいものがあったらいつでも言ってね用意するから」


ジゼルさんはお辞儀をして消えた。

透明になったりもできるのか。


「で、これからみんなどうします?」


みんなと言うかソフィア様とクラリスさんがどうするかだけど。


「出来れば、ここに居させて欲しいけど……映司がいなかったら私死んでたし」


まぁスナイパーの弾 、脳天直撃コースだったし。俺が弾を握りつぶさなければ今頃死んでいただろう。


「お客様用のあんまり大きくない部屋がひとつしか無いけどそれで良いなら好きなだけ泊まって行って。ところでうちの子のどこに惚れたの?」


「ど!どこにですか!?私のことを嫌な目で見てこないし。頼りになるところでしょうか」


母は突然意味わかんないこと聞き出すしソフィア様もソフィア様でなんで普通に答えてんの?


「映司様。最初から少しづつ好感度を稼いでましたし、死ぬところだったのを助けられて惚れない女性はいないですよ」


まぁ、美人に惚れられるのは嬉しいけど。

E国のお姫様と付き合ったりとかできるもんなの?


「どうやら突然の質問に咄嗟に答えてしまったけど。よくよく考えたら映司様にガッツリ聞かれてることに気づいてショートしてしまったようですね」


ソフィア様が顔を両手で隠してフリーズしている。


俺どうすればいい?ここで告白した方が良い?


「映司とお父さんは一旦自分の部屋に戻ってなさい」


そう母に言われたので大人しく自室に帰った。


「そういえば。母からのメールで学校からのメールを確認するの忘れてたな」


学校からもメールが来ていたなと思い出して確認してみると明日が課題を配布する登校日になると言うメールだった。


なんで明日なんだよ。それならせめて数日前にこのメールを送って欲しい。


けど。明日は学校に行かなくちゃな。

どうやら学年ごとに時間がズレるらしい。


今のうちに学校に行く準備をしておく。


流石にマジックバッグで登校する訳には行かないし。


いつも通学カバンの中を確認する。

特に弄ってないから特に必要なものが入ってないとかないと思うけど。

念の為確認、授業もないので教科書とノートは必要ないかと通学カバンから取り出す。


明日は学校に行って休校中の課題を受け取るだけだしこれで

準備終わっちゃったな。


「映司。入ってもいいかしら?」


やる事無くなったなとぼーっとしていたらソフィア様がドアをノックする。


「大丈夫ですよ」


「どう聞けばいいかもう訳分からないから直球で聞くけど。映司は私の事どう思う?」


どう思うか……


「凄い美人だし、性格は良さそうだし。こんな彼女がいたら良いなぁって感じですかね」


「彼女かぁ…」


彼女のところに反応して目に見えて落ち込む。


「16歳にそれ以上を求めてどうするんですか?16歳で結婚とかそこまで考えるわけないでしょう」


ソフィア様の後ろから現れてクラリスがそう言ってソフィア様に説教を始める。

あぁそういう事。流石にそこまでは考えてなかった。と言うかいくら狙撃から守ったからって出会って数日の人にそこまで惚れることってある。


「映司様。多分エルフは感情の起伏が少ない分1度好感度が上がると一気にMAXまで上がったりするほど、振れ幅が大きいって言われてるっす。ソフィア嬢は途中からエルフになったっすからそこまででは無いっすけど。多少影響は出てると思うっす」


雷太が俺の耳元で俺にしか聞こえないように呟く。

エルフはちょろいってことで良いの?

てなるとソフィア様は男の人に助けられる度にその人に惚れるってこと?


「因みにエルフは超一途で1度好きな人が出来たらその人以外を好きになることはまずないっす。例え振られても」


エルフはチョロくてヤンデレ?

と言うかそのエルフの情報どこ情報なの?

龍の時もそうだけど。

絶対地球以外のエルフとか龍とかが普通に生活している世界の常識の話だよね?


スキルが使えるようになって、ダンジョンが出現したし。異世界が存在しても驚かないけど。


異世界も存在するってことだよね多分。

かと言って異世界に行きたいかと言うと微妙だな。もう地球が異世界みたいな感じだし。



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読んで頂きありがとうございます。

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