第48話
「河村さん父を連れて一度家に帰ろうと思うんですけど迷宮省の人員ってどこで働いてるんですか?」
「ここからそう遠くない建物だけど既に家に向かってるんじゃないかな?」
その可能性もあるか。
俺に届いたメールは30分ぐらい前に届いてたみたいだし。
父は既に家に向かっている可能性もあるな。
帰ってくるところを狙ってる連中も居そうだから1人で帰るのは危ないと思うんだけど。
「河村さん確認って出来ますか?」
「SCSFは迷宮省の建物の警備もしているから確認はできると思うよ」
「それじゃあお願いします」
河村さんはすぐにどこかに電話をかけ始める。
「ソフィア様申し訳無いのですが…」
「私もついて行くから護衛は問題ないわよ。映司の家も見てみたいし」
絶対後半が目的ですよね?
でも、ソフィア様もしもの時の戦力としてはかなり強いんだよな。
エルフだし。
「もしもの時は容赦なく戦力としてカウントしますけど、構いませんか?」
「えぇ勿論。と言うかここで映司と別れると今度は私たちが襲撃されると思うのよね」
あぁなるほど。俺をソフィア様の傍から離すために家を襲撃したと……
そんなくだらないことで母さんを襲撃したと?
マジでクソ野郎だな。
「分かった。そしたら息子さんを連れて迎えに行くから。待つように説得しろ。失敗したら龍王がブチギレると思え」
河村さんがそういって電話を切る。
どうやらギリギリ迷宮省の建物にいるようだ。
「どうやら父君はまだ迷宮省の建物にいるみたいだよ。建物から出さないように部下に厳命しておいたから。早く迎えに行こう」
龍王がブチギレるって言えば厳命したってことになるの?
まぁそれで必死になってくれるなら今回はいいや。
そう言ったんだからダメだったら本気で怒るけど。
「それもそうなんですけど。一旦ホテルの部屋に戻りましょう。マジックバッグ置きっぱなしなんで」
今日は帰って来ないだろうしそう考えるとホテルに置きっぱなしはまずい。
と言うか母さんを襲撃した理由がソフィア様から俺を離すことが目的だった場合、もう既にホテルに刺客が待ち構えてる可能性もある。と言うかバンに爆弾が仕掛けられてるぐらいありそうじゃない?
ってなると警戒しなきゃいけないことだらけだ。
「はぁ…マジで戦争でも始めるつもりか?」
ソフィア様の頭部狙いで発射されたであろう。スナイパーライフルの弾丸を掴んで握りつぶす。
「もう襲撃は始まっているようです。今の弾道からスナイパーの位置を予想出来る人いますか?」
俺にそんなことは出来ない。まぁ方向はわかるけど。
「あの建物の屋上だ。こちらに向けて殺意を向けている」
そういえば河村さんって相手の感情を読むことができるスキル持ってるんだっけ。
そのスキルでスナイパーの殺意を感知したと
分かったところでどうしたものか…ソフィア様から離れる訳には行かないし。
遠距離攻撃したら後始末めんどそうだし。
「ここは俺に任せるっす」
「なるほど。雷太任せた」
許可を出した瞬間、雷太が目的の建物の屋上に飛んでく。
周りの被害を考えて速度を抑えて飛んでるようだけど、生身の人間が逃げられる速度では無い。
すぐに気絶した男とスナイパーライフルを持って帰ってきた。
「こいつどうする?要人暗殺未遂で現行犯?」
あと銃刀法違反か
「とりあえずダンジョンに牢屋を作ってそこにぶち込むっす。牢屋から逃げたところでダンジョンの中っすからダンジョンマスターからは逃げられないっす」
「じゃあそれで」
それをやると雷太にスキルを使った犯罪者を収監するための牢屋を貸してほしいって話が来そうだけど。とりあえずそれでいいや。
ごたごたしてたらドンドン状況が悪くなりそうだし。
「じゃあ、それ任せた。ちなみにどれぐらいでできる?」
「ちょっとした仕掛けを設置するっすから10分欲しいっす」
「分かった」
その仕掛けについて詳しく教えて欲しいけど。この状況で雷太が無駄なことしないだろうから、終わってから話を聞こう。
「って訳で10分ここにいる必要があるわけだけど…」
マスクで顔を隠した男?が俺たちを囲むようにジリジリ詰め寄ってくる。
「まぁ敵対するなら容赦はしない」
真上に向かって熱線を放つ。
真上に向かって発射された熱線は上空で分裂してマスクを被った男?たちに降り注ぐ。
初めてやったけど上手くいったな。
途中で分裂して敵を追尾するビームってなんか、かっこよくない?
もっと手加減した方が良かったかな?
と言うか完全にバケモンだな俺。
人を殺したのに特になんにも感じない。
進んで殺したいとか思ってるわけでは無いけど。敵対したんだから殺されても文句ないよね?ぐらいの気持ちだ。
やっぱり俺は人間じゃなくて別の生物になったってことなんだろう。
じゃあ人間と別の暮らしする 、なんてことやらかす気にならないし 、これから精一杯人間のフリをして生きていくか。思考のズレが気になって人間と暮らしていくのが嫌になったらそれはその時に考えよう。
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