第47話

「なるほどね。まぁいくらスクロールがあっても魔法がいらない子にはならないけど。まぁ重要度は下がるか」


魔法は魔法、スクロールはスクロールの良さがあると思うし。


「あぁ、そうだ。河村さんこの種上げるんで育ててください」


河村さんにキュアチェリーの種を渡す。


「おっキュアチェリーの種でたんすね」


河村さんより先に雷太が反応した。


「ちなみにどのぐらいでキュアチェリーが収穫できるようになるの?」


「大体1年ぐらいっすね」


「まじで言ってる?」


サクランボが何年目から収穫できるのか知らないけど、1年は早い気がする。

しかも苗からじゃなくて種からなんだから。


まぁ普通のサクランボじゃないってことだな。


「ちなみにキュアチェリーって言う4、5級ポーションの材料のサクランボを実らせる木の種です」


これを説明しておかなきゃ、捨てられちゃうかもしれないし。

……流石にそれはないか。


「ポーションの材料を実らせる木の種か…

まさに金の成る木な訳だが。簡単に手放して良いのかい?」



「面倒なことになるのは目に見えてるんでSCSFで管理してください」


製薬会社からの圧力やばそうだしな。

しかも世界中の。


「それこそあらゆる手を使って奪いに来そうだからね。私の正直要らないと断りたいところだけど……」


もし断りでもしたら上からめっちゃ怒られるだろうね。

河村さんお疲れ様です。


いつも俺と上司の板挟みでストレスがマッハだろうに……

だからってキュアチェリーを押し付けるのやめないけど。


「ただでさえ人員不足のSCSFが更に人員不足に…」


毎日大忙しだもんね。スキルを使った犯罪は小さいものから大きいものまで毎日何件も起こっている。

スキルを封じることが出来ない以上、その場での殺害許可が出ているし。本当に殺されるということを理解したのかちょっとイタズラのつもりだったみたいな馬鹿は減ったけど。

スキルを使った犯罪はゼロにならない。

SCSFの1番の業務はスキル犯罪の鎮圧。

毎日あちこちに出動して大変そうだ。

それに自分たちのレベル上げもあるわけだから大変ってレベルじゃないよね?


えっ?俺の周りでそんなこと起きてないじゃないかって?


わざわざ龍と竜がいるそばでテロを起こすような奴はいないってだけだよ。

BPだって拡散されちゃってるわけだし。


わざわざ俺の近くでテロを起こさなくてもテロを起こせる場所はいっぱいあるからね。


スキル犯罪は逮捕=死なので逃げられる確率が少しでも高いところでテロを起こすわけだ。まじでクソ野郎だよな。

河村さんに映司くんは積極的に鎮圧任務をする必要はないって言われてるけど。

俺も参加するべきかもしれない。

と言っても俺の近くでは起きないから基本飛んで現場に急行するわけだけど。

そんなことしたらそれはそれでパニックになりそうなのが問題だよな。なんか良い方法があればいいけど……


「そういえば勝彦はちゃんと魔力増えた?」


「そりゃもうバッチリ。今なら回復なしで5個ぐらい宝石を加工できるはずだ」


最初は1個だったと思えばかなり増えたな。

まぁ、魔力回復ポーションも増えたし問題ないか。


とりあえず。ホテルに戻ることになりダンジョンから出て不在着信やメールが来ていないか確認する。


ダンジョンの中は当然圏外なのでダンジョンから出てら確認しておく必要がある。


「はぁ!?どこの回し者だそいつ。俺に喧嘩うったことガチで後悔させてやる」


母から家が襲われたというメールが届いていた。まぁ主婦スキルのおかげで家にすら傷1つついてないらしいけど。


「河村さん?」


襲撃者は母さんが防御に専念している間に到着したSCSF隊員によって殺害されたようだ。

なんで詳しい情報は河村さんに聞くのが1番早い。


「映司様、1回深呼吸っす。映司様の殺気が漏れてるせいで皆呼吸できなくなってるっす」


よく見るとみんな辛そうな表情になっている。

一旦落ち着かないと。

深呼吸を数回繰り返す。


「ごめんなさい」


ここにいる人たちは何も悪くないし悪いことをしてしまった。

と言うか都会のど真ん中で殺気を放ってしまったわけだけど。大丈夫かなショック死した人とかいない?


「映司様は龍っすからちょっと怒るだけでやばいことになるっす。殺気をコントロールできるようになれば問題ないっすけど。それと今回は10mも離れてれば空気が重く感じるぐらいで済んだと思うっすから、被害はここだけだと思うっす」


それはよかった。良くないけど。


「身内が狙われて、キレない人の方が珍しい。どうやら死体を鑑定スキルで調べたら備考欄に豊麗組組員とあったようだ」


ヤクザからの回し者か…ヤクザ単独の犯行か、それともヤクザに依頼をした黒幕がいるのか……

どちらにせよタダじゃすませない。


とりあえず落ち着こうこんな世の中になったとしても日本は法治国家だ。


今から豊麗組の事務所に行って血祭りに上げる訳には行かない。


まずは任意でお話を聞きに行くか。

それでスキルを使って攻撃してくるようなら法律に乗っ取って血祭りに上げられるんだから。


とりあえず1回家に帰ってちゃんと母の無事を確認しよう。


父も心配してるだろうし、父も連れていくか。迷宮省の人員が今どこで働いてるのか知らないけど、河村さんに聞けばわかるだろう。


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読んで頂きありがとうございます。










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