第44話

ソフィア様とクラリスさんに小収納を魔法陣にすることを了承して貰い全ての準備が終わた。



~次の日~


河村さんはかなり迅速に動いてくれて午後一にはホテルの駐車場に到着したので、1人で迎えに行く。


「お疲れ様です河村さん。それに勝彦も昨日今日でこれだから疲れただろ」


「今回かなり重要な話だったからね。魔法陣のことが広まったら勝彦くんがどんな目にあうか簡単に想像できるし」


魔法陣スキル持ちが勝彦のみと限らないからな。勝彦が黙ってれば魔法陣スキルについて広まらないってわけじゃない。


「ところで映司。E国のお姫様は?地味に楽しみにしてたんだけど?」


「わざわざ駐車場に迎えに来るわけないだろう。それになんでE国に人工魔導具について話したのか説明しないとなんないし」


「しっかりとした理由があると?」


「全員では無いでしょうが。日本政府もある程度理解を示してくれると思っています。

と言うのもE国のお姫様であるソフィア様のお付きのメイドであるクラリスさんのスキルに小収納と言うアイテムbox的な機能を持つものがあるんです。それを魔法陣にして魔導具のコアにできるなら……」


「人工のマジックバッグが作れると。なるほど、確かに理解は得られるだろうね」


「そう言う訳でスイートルームに移動しましょう。あまり待たせるのもあれですし」


いつものバンから降りてホテルに入ってスイートルームに向かう。


「映司も色々大変そうだな。大人相手に交渉したり」


「何言ってるんだ。勝彦も今日からこちら側だぞ。それに俺は最終的にE国に移住しちゃうけど良いの?でゴリ推してるだけだし」


飛行機とか止められても自分で飛んで行けるしな。


「それだけ聞くとかなり滅茶苦茶やってるやべぇやつなんだけど」


「実際自由にやってるけど。犯罪行為は一切していないし。それなり以上に日本に貢献しているからね?テイムスキルのスキルの書だって日本政府に寄付してるし」


別に悪いことしてる訳じゃないからね。

自由にやってはいるけど。


「映司くんのおかげでかなり助かってるのは確かだよ。ただ、もうちょっと手加減してくれてもいいだよ?とは思うけど」


「SCSFは人工マジックバッグはいらないようですね?当然 、宝石には限りがありますので、どんな感じで分配するのかちょっと困ってたんですよ」


「映司くんのおかげで日本はダンジョンに関してトップを走っていると言って良いだろう。もっと頼ってくれても良いからね?」


「映司怖え~」


実際このぐらいで行かなきゃ政治家に良いように使われるだけだと思うよ?


エレベーターが最上階に到着したので2人を先導してソフィア様とクラリスさんが待つリビングへと向かう。


2人はソフィア様を見て固まる。

まぁそうなるよね。超絶美人エルフが突然現れたら男はみんな思考停止ぐらいするだろう。


「本日はよろしくお願いします。私はソフィア・パターソンです。どれでこちらがメイドのクラリス」


「クラリス・チェンバレンです」


ソフィア様とクラリスさんに挨拶されて現実に戻ってきたふたりが慌てて挨拶を返す。


「SCSF第1大隊、大隊長 河村忍です」


「えーと渡瀬勝彦です」


「じゃあ自己紹介も終わりましたし。早速魔法陣を試してみましょうか。雷太部屋でやっても安全なんだよな?」


事前に派手に爆発が起こったりしないことは雷太に確認してあるけど、念の為もう一度確認しておく。


「大丈夫っす。むしろこれだけって感じっすから」


とりあえず。宝石を魔法陣スキルを持っている人の渡せば良いと言われたので宝石を勝彦に渡す。

勿論10ctのものだ。


「とりあえずこれに魔法陣を刻んでみて」


他人が使う魔法やスキルを魔法陣にする感じだから誰かが使わないと魔法陣は作れないか。

それだと部屋でやるには無理なものも出てきちゃうけど。


そう思っていると勝彦の手から宝石に魔力が込められていく。


宝石が一瞬光り輝いたと思うと、勝彦が床に膝をつく。


「魔力が少なくなったみたいだ。とりあえずこれ飲んどいて」


魔法陣スキルはかなり魔力を消費するらしい。もしくは勝彦の魔力が低いか。

そう言えばBP1って前に言ってたな。

なら勝彦の魔力が低いってことか。

とりあえず魔力回復ポーションで勝彦の魔力を回復させる。


「この状態の宝石を持って魔法やスキルを使うとそれが魔法陣に変化して宝石に記録される事になるっす」


と言う訳なのでクラリスさんにその宝石を持った状態で小収納を使ってもらう。


クラリスさんが小収納を使ったタイミングは分からなかったけど。宝石の中心に魔法陣が出現する。



「そうなれば後は魔石を吸収させるだけで魔導具として使えるっす。これが1番簡単な人工魔導具っす。物によっては外装とかが必要になったり、複数コアが必要になったりするっす」


冷気を放出するコアを作っただけじゃ冷気が逃げちゃうから冷気を逃がさない箱が必要みたいな感じかな?

冷気を効率よく循環させるために微風を出すコアも必要になったり。

そう考えると魔導冷蔵庫ってマジックバッグより高コスト?


まぁ、そんなことはどうでも良くて今は目の前の人工マジックバッグの実験だろう。

発案者は俺だし俺が最初に使って安全か試して見るべきだろう。


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