第43話
「つまり、俺のスキルがバレる前に今1番ホットな就職先のSCSFに所属してしまえってわけだな」
「そんな感じ。ついでに今1番重要度が高いテイムスキルを所持しておけばみんなそっちに食いつくから。本命の方を隠せるぞ。ついでに従魔っていう護衛ができるし」
勝彦は小学校からの親友だし。次の日死体で見つかったとか嫌だしな。スキルの書の代金は魔法陣スキルで人工魔導具で物納してもらうから、ちゃんと俺にも実利がある。
「あぁそう言えば。E国のお姫様が人工の魔導具を作るところを見たがってるから今この話に乗っておけば、E国のお姫様にも直接会えるぞ」
「まじで、その話乗った!」
男で美女が嫌いなやつはいないよな。(自分の過去の言動に目を逸らしながら)
「冗談はさておき。俺は理不尽に殺されたくもないし。一生奴隷のように魔導具を作らされるのも嫌だ。自力でそう言うことを考える連中に抗える力が手に入るなら欲しい」
「OKわかった。それじゃSCSFの大隊長にこの話をしておく。その人に勝彦の電話番号教えて大丈夫だよな?」
「もちろん」
「じゃあ早ければ明日こっちに来ることになるかもしれないからその覚悟だけはしといて」
恐らく明日河村さんに連れられてここに来ることになるだろう。
魔導具を作れるスキルなんてほっぽっておく理由がないし。
「ふぅ、まだ河村さんへの電話が残ってるのに疲れた」
クラリスさんが入れた紅茶を飲んで一息入れてから河村さんに電話をかける。
「もしもし河村さん。かなり重要なことが発覚しまして、それを報告するために電話しました」
「大したことないと言いつつとんでもない報告をする映司くんがかなり重要な報告ってちょっと聞くのが怖いんだけど……」
そう思うのも仕方ないかもしれないけど。報告しないわけに行かないんで諦めてください。
「じゃあ、報告しなくて良いですか?あとからなんで報告してくれなかった!とか言われても無視しますよ?」
「その通りなんだがどうしてもね…」
本題に行くまで時間がかかりそうなので、話をぶった切って本題に進む。
「今日ダンジョンで宝石がドロップしたんですけど。その過程で宝石は人工魔導具のコアになるってことが判明しまして。更に友人にコアを作るために重要なスキルを持っているやつがいることも判明しました」
返事が返って来ない。河村さん気絶しちゃった?
とりあえず反応があるまで大人しく待っていると数分ぐらいで返事が返ってきた。
「魔導具を人の手で作れるというのは本当なのかい?」
かなり小声なのであまりの情報に唖然として喋れなかったんじゃなくて、周りに盗み聞きしている人がいないか確認していたんだろう。
そう言えば携帯の盗聴とかって対策できるもんなのかな?そんなの俺には分からないし、川村さんに任せるしかないか。
「雷太にも確認したので間違いないです。で、その人物をSCSFで保護して欲しいんですよ。SCSFに所属することは既に了承とってあるんで」
「話はもうついているということか。断るわけがないし。すぐに手続きを始めるよ」
「お願いします。電話番号も今教えるんで。それとそいつ明日ホテルに連れてきて欲しいんですよ。E国のお姫様にはもう許可取ってます」
「それはそれで問題なんだけど。まぁその彼も知り合いがいた方が安心するだろうし。明日連れていくのは了解した」
そろそろE国のスパイになってるんじゃないかって疑われそうな気がする。
実際E国に情報垂れ流してるし。
ある意味E国の政府が今の情報に満足して急遽帰国が決まるってことないかな?
それも政府次第だろうけど。とにかく日本政府からのヘイトを買いすぎないようにこれからはちょっと気をつけて行く感じで行こう。
「じゃあそう言う訳で明日よろしくお願いします」
電話を切ってからそう言えば勝彦にテイムスキルを覚えさせることを伝え忘れたことを思い出したけど。明日伝えればいいかと再度電話をかけることはなかった。
「これで明日、人工魔導具の実験ができるようになりました」
「結構強引だったけど大丈夫なの?私たちも参加出来る流れだし」
「まぁ、確かに色々言われそうですけど。明日クラリスさんが力を貸してくれるなら大丈夫なはずです。魔法陣って色んな魔法、スキルを魔法陣にすることができるとかそんな感じの効果って言ってたはずなんですよ。
なんでメイドスキルの小収納を魔法陣に出来れば……」
「人工のマジックバッグができるわけね」
もしそれが作れれば、E国に教えるだけの価値はあったと判断してくれるだろう。
他にアイテムBox的なスキルを持っている人もいるかもしれないけど。
探すの大変だし探している間に人工魔導具のことが広まって面倒なことになるかもしれない。
だったらE国に知られることになったとしてもクラリスさんに協力してもらうって流れなんだけど。
これで納得してくれると良いな~
まぁダメだったらダメだったでなんとかなるでしょう。
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