第37話

「じゃあちょっとSCSFの隊員にあってきますので」


サイドポーチ型のマジックバッグにポーションと虫使いのスキルの書を詰め込んで、ホテルの駐車場に到着したという河村さんのところに向かう。


ちなみにサイドポーチ型のマジックバッグは200kgまで入って中は時間を現実の4分の1遅くなっているらしい。

ちなみにトートバッグみたいに入口に近づければしゅるしゅる入って行くという機能はついていないのでサイドポーチの入口より大きいものは入らない。


「ソフィア様、一応言っておきますけど。魔法の試し撃ちなんてしちゃダメですよ?」



「わかってるわよ!映司は早く駐車場に行ってきなさい」


いやだってスキルの書を使ってからソワソワしてるからまじでやらかしそう。


河村さんを待たせるのも悪いので急いで駐車場に向かう。


駐車場に向かうといつもの黒塗りのバンを見つける。


バンに近づき乗り込む。


「お疲れ様です。これマジックバッグなんですけど、ポーションの持ち運び面倒くさいでしょうから一時貸出しってことで、ちなみに買い取りは可能ですよ」



「マジックバッグって簡単に手に入るものなのか?」


「雷太の言うには低品質のものならそれなりに手に入るらしいですよ。ちなみにマジックバッグも当然魔道具なので魔石を補給してあげないと中身が飛び出すので気をつけてください」



「魔導具だからそうなるのか。とにかくこのマジックバッグは買い取りの方向で話を進める。金額が決まったら一度連絡する」


まぁ、やっすい値段はつけないだろう。

そうだったら断れば良いし。


「そうだ。後、そのマジックバッグの中に虫使いのスキルの書も入ってるので、それも買い取ってください」


「……虫系の魔物をテイムできるスキルってことだね?」


「そう言うことです。上手く使ってください」


下手したらマジックバッグより高値で買ってくれるかもね。



河村さんと別れてスイートルームに戻る。

ソフィア様が遠足前日の小学生みたいな感じでちょっと心配だけどクラリスさんがどうにかしてくれるみたいなのでソフィア様はクラリスさんに任せて部屋に戻る。


「じゃあ雷太は見張りよろしく」


雷太は1ヶ月ぐらいなら不眠不休で問題なく活動できるらしいので夜の警備を任せている。

俺も大丈夫らしいんだけど。今まで毎日寝ていたので普通に眠くなるので俺は普通に寝てる。


「任せるっす」


今日までここに襲撃を仕掛けてきた人なんていないけど、護衛で来てるし、仕事はしとかないと。


雷太の1人の時の暇つぶしのために漫画を買う約束をさせられたけど、そのぐらい必要経費と思っておこう。



~次の日~


「映司様起きてくださいっす」


雷太に叩き起こされる。寝坊しちゃった?

そう思ってスマホを確認してみるとまだ午前二時だった。そりゃ起きるわけないだろう。


まだ寝てから2時間しか経ってない。


「ソフィア嬢が深夜にダンジョンに入ってしまった方が騒ぎにならないって言ってるっす」


絶対ダンジョンに行きたかっただけだろう。


「ソフィア様に30分だけ時間をくださいって言ってきて」


「了解っす」


そう言って雷太が部屋から出ていった。

トートバッグ型のマジックバッグから魔石を燃料にお湯を沸かしてくれるケトルを取り出す。

魔石を補給させて水を入れてお湯を沸かす。


その間に歯磨きをして最低限の身だしなみを整える。


朝ごはんは事前に買っておいたカップラーメンだ。

魔石を燃料にお湯を沸かせるケトル割と便利だな。自動浄化機能が付いていて洗わなくてもいつでも綺麗ってのもグッドポイント。


カップラーメンを食べ終わった後ソフィア様とクラリスさんの待っているであろうリビングに向かう。


「おはようございます。ソフィア様、クラリスさん」


「申し訳ございません。ソフィアお嬢様のことを止められませんでした」


クラリスさんが申し訳なさそうに謝ってくる。


「まぁ、早い時間にダンジョンに入っちゃった方が騒ぎにならないってのは確かですし」


ダンジョンに入ってしまえば邪魔は入らないし。


ってな訳で急いでダンジョンに向かう。

近くでも移動には車を使った方が良いのかな?とか思ったけど。

目的地が交差点のど真ん中なので歩いて向かう。


現在、ダンジョンが出現したので新しい道路を建設予定だけど。土地の確保から始めているから工事開始までまだかかるようだ。

現在は警察が24時間体制で交通整理をして利用している感じだ。


「ここがダンジョン。なんか想像以上に明るい場所ね。城は禍々しいけど」


ソフィア様はダンジョンに対してそう感想を述べる。


「逆に真っ暗、明かりを使っても少し先しか確認できないようなダンジョンもありますよ」


初めて入ったダンジョンがそんな感じだった。

俺は暗視機能がデフォルトでついてるお目目なのでなんともなかったけど。

河村さん達はかなり緊張していた。


自分の近くに来るまで魔物を視認できないってのは怖いよね。


「なるほど。なら明るいダンジョンを作った雷太に感謝ね」



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読んで頂きありがとうございます。





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