第35話
「大丈夫ですか?」
河村さんが黙ってしまったので気絶してないか確認する。
「あぁ、ちょっと現実逃避していただけだ。となると映司君はマジックバッグの中にポーションをいっぱい持っていると…。やっぱりテイマーを育成してダンジョンマスターを仲間にするのは急務ということか…ちなみに映司君は何をリソースに捧げてるんだい?」
「勿論、俺の牙です。牙1本で3級ポーションが三本、牙10本でマジックバッグでしたね。参考にしていただければ」
俺以外の人がそのレベルのリソースを捧げるのは現時点ではかなり難しいと思う。
基本はそのダンジョンで手に入れた魔石をリソースとして捧げてもらう予定だけど。
牙一本分と同等のリソースを用意するだけでも数百個単位で魔石が必要になるはず。
もっと強い魔物を倒せるようになれば必要な数は少なくなるけど。
それこそ龍の魔石とか手に入るようになれば
1個だけで牙100本分ぐらいにはなるだろう。
実際、牙100本で龍種がポップしたし。
宝箱の分のリソースも含めて100本分だったから実際にはそれより少し少ないかも?
「それを魔石で用意するとなると運ぶのも大変だし、現実的では無いか…」
「その分戦う魔物も弱いですよ。それに等級の低いポーションが手に入ったりする可能性はあるし」
3級ポーションって等級的にはかなり高めのはずだ。欠損は治せなくても致命傷でも死んでなければ回復できるみたいだし。
だからもっと等級の低いポーションでも充分使える性能だと思うんだよね。
「なるほど。ちょっとした傷に3級を使うのはもったいないという訳だ」
「と言っても3級しか持ってないので勿体ぶらずに使ってもらうしかないですけど。それでどうします?」
「そうだな。とりあえず一本100万程度でどうだろう?いや致命傷の治療もできるなら500万ぐらい必要か?とりあえず。E国のお姫様の件と纏めて迷宮省に話を通しておく。自分の牙と交換で手に入るからタダでも良いだろうなんてことは絶対に許さないのでそこは安心して欲しい」
あ〜そう言う可能性もあったなそう言えば。
「そうなったらE国に移住することにします。それと今回は無料で各種10本迷宮省にお譲りしますよ。その代わりE国のお姫様がダンジョンに入る件の許可を……」
「できるだけ早く許可が欲しいというわけか。まぁ、問題ないだろう」
これぐらいは問題ないだろう。
後はソフィア様に使う魔法系のスキルの書か
これは闘技場で手に入れれば良いや。
今から行って手に入るかは運だけど。
それよりもどう言って受け取って貰うかだな。
個人的な取引ってことにして、ソフィア様が手に入れたスキルの書2冊を俺に渡すってことにすれば良いか。
一応、1冊渡して2冊貰えるんだから俺の方が得するわけだし。
2冊貰っても内容次第ではこっちの方が損するって可能性もあるけど。
その時はその時だ。
「と言うわけで今からダンジョンに行ってきます」
「何がという訳よ。ちゃんと説明しなさい」
まぁそうなるよね。
「ソフィア様に魔法系のスキルの書を用意しようかと。もちろんタダじゃないですよ?代金として今後手に入れるスキルの書を俺が2冊もらうって感じで」
「私がスキルの書を2冊も手に入れられない可能性だってあるけど良いの?」
「そこら辺は気にしてないのでダメだったらその時はその時で別に気にしないですよ」
初期からBPが2000あって魔法特化なエルフのソフィア様が魔法スキルを手に入れればスキルの書2冊程度あっさり手に入れるだろう。
別に書面に残さなくても良かったんだけど私がそんな約束なかったって言ったらどうするの?と言われて書面に残すことになった。
確かにソフィア様に対しては最近自分チョロいなとはちょっと思ってるけど。
しっかり書類を作成してソフィア様と俺どちらもこの条件に同意するとサインをして交差点ダンジョンに向かった。
「よーし今回は近接戦の練習とか考えず火でどんどん燃やしてっちゃうぞー。ちなみに魔法系のスキルの書はどのぐらいのリソースつぎ込めば良い?」
「映司様の牙20本ぐらいっすかね」
雷太に言われた通り牙20本をリソースとして捧げる。
「またシルバーオーガ?でもこないだのよりBPが高くなってる」
同じシルバーオーガでも前回5000前半だったのが今回は6000後半まで上がっている。
俺より高いBPだけど。
10倍レベルの差がない限りダメージを与えることは可能なので問題ないだろう。
「それにシルバーオーガがポップして戦闘可能になるまで時間が10数秒あるからその間に準備し放題だし」
予め準備しておいた俺の周囲に浮かぶ火球達を一斉にシルバーオーガに向かって発射する。
火球は着弾と同時に爆発するので少し避けた程度では避けれない。
そうやってダメージを受けて足を止めると他の火球がクリーンヒットして完全に足を止める。その後はただの的。
火球が連続でヒットして爆煙でシルバーオーガは見えなくなる。
爆煙が収まったあとにはシルバーオーガではなく宝箱が鎮座していた。
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