第29話

「可愛い火力だけどしっかり魔物を倒せてるみたいだね」


アルが雷太の助けなしで植物系の魔物を倒していってる。


火のブレスの威力は微妙だけど火が弱点の植物系の魔物なら充分倒せるようだ。


「それにしてもぬるい」


生垣に絡まったツタの魔物が襲いかかって来たので手に火を纏わせて手刀の要領でツタの魔物を斬り裂いていく。


「それにしてもトラップウィードを燃やさないように気をつけて欲しいっすって言われたけど。燃えちゃう生垣を用意する雷太がいけないと思うんだよね」


攻撃できないように設定したとか言ってたし。火属性耐性を取得させればいいんだ。


「火属性耐性は当然取得させてるっす。ただし耐性程度で龍の火を防げる訳がないっす。まぁ、普通はトラップウィードを討伐してしまうと先に進めないようにしてるっすけど…」


確かに前回城の門を開けるための鍵が見つからなかったな。

じゃあトラップウィードの生垣迷路をクリアすれば鍵が手に入るようになってるのか。


「まぁその仕掛けも壊して城の中に侵入したけどね」


「映司様って以外に脳筋っすよね。結構頑張って考えたダンジョンのギミックを破壊される気持ちを考えて欲しいっす」


「今日はしっかり攻略してるんだから許して

。それにしてもなんでここのダンジョンって1階しか存在しないの?」


狭いわけじゃないけど、2階を作ってもっと広くすることだってできた筈なのに。


「ダンジョンは階層を増やせば増やすほど維持する為のリソースが倍倍ゲームで増えていくっす。だから中庭、城1階、城2階、城3階、城4階、城5階、王座の間。全てひとつ前の場所のギミックをとかないと先に進めないっす。城の1階に入る為に生垣迷路を正規方でクリアする必要があるみたいにっす。

これによってダンジョン的には1階しかないのに擬似的に複数の階を用意出来るっす。

こっちの方がダンジョンで5階分作るより少ないリソースで維持することが出来るっす」


生垣迷路に続きかなり考えて作ってるんだなと思うけど。そこまでしてどうしてリソースの節約してるんだろう。

それこそギリギリまで使用しても良いじゃない?


「よく考えられてると思うけど、どうしてそこまで節約するの?」


「そりゃ節約するところを節約すれば、他の場所で豪華にリソースを使用できるっす。

あの闘技場だって節約してたから用意できたっす。魔物と宝箱を用意するリソースは挑戦者が用意するっすけど。闘技場を維持するためのリソースはそうではないっすから」


そう言えばそうだな。確かにリソースの節約は重要だ。


「雷太が凄い考えてダンジョン運営をしているのは分かったけど。どうしてこっちにいるの?廣瀬博士とアルの護衛は?」


廣瀬博士とアルと一緒に生垣迷路を進んでいた雷太がいつの間にか俺の方に来ていた。

あまりにも普通に独り言に割り込んできてたから、突っ込むのが遅くなってしまった。


「ここならアル1人で充分っす。それに護衛と言うなら映司様だってソフィア嬢の護衛をほっぽってダンジョンに来てるっす」


「それに関してはSCSFの女性隊員に引き継いでるから問題ない。それに廣瀬博士に従魔を手に入れる為に俺もダンジョンに行く必要があったし」


正直ダンジョンに行くのがドンドン楽しくなって来ちゃってるよね。


「ソフィア様をE国まで護衛する時に飛行機と一緒に飛んで行かなきゃいけないし、少しでもレベルを上げときたいじゃん?」


「まぁそうっすね。あと城に入った後は映司様が先頭でお願いするっす。但し出てくる魔物を倒すのは後ろからアルが一撃入れてからっす。そうじゃないとアルと廣瀬博士のレベルが上がらないっすから」



そう言って雷太はアルたちの所に戻って行った。

テイマー系のスキルを持っている人は従魔が攻撃しただけでも経験値入るのか。


と言うかアルのまともな攻撃ってブレスしか無いよね?

もしかして俺ごとブレスで敵を攻撃するつもり?

流石にそれはないか……無いよね?



それを伝えに来たってことはそろそろ生垣迷路を抜けるてことだろう。


予想通り10分程で生垣迷路の出口が見えた。


雷太がアルに地面に向かってブレスを吐かせる。


どうしてそんなことをって思ってるとブレスを受けた地面がのたうち始める。


出口の地面には擬態型の魔物が潜んでいたらしい。

嫌らしいトラップだな。


生垣迷路を抜けると鍵が現れる。これが城に入るための正規ルートって訳だな。


1度目は扉を壊して侵入したら雷太が降参ポーズしてたんだけど。

不自然な鍵穴にさっき手に入れた鍵を入れると自動でドアが開く。


「でこっからは俺が先頭なわけだけど。どんな魔物が出てくるんだろう」


適当に探索してれば魔物と遭遇するだろうと適当に1階のドアを開けると一本道の長い通路が現れる。

通路の左右には甲冑の置物がズラリと並んでいる。


どう考えたって動く甲冑が混ざってるよな。

言わゆるリビングアーマーってやつ。


確かに城に出てくる魔物って感じはするかも。


近づかなくても威嚇射撃すれば動き出すかな?


天井に吊り下げられているシャンデリアに向かって熱線を放って通路に落下させた。



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