第30話


ガシャン!と大きな音を立ててシャンデリアの残骸が通路に飛び散る。


音に反応して廊下の左右に設置されている甲冑の置物が全て動き出す。


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リビングアーマー


甲冑に霊が取り憑いた魔物。

霊が取り付いた甲冑のスペックによって強さがかなり変わる。


BP750


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「生垣迷路に出てきた魔物に比べるといきなり強くなりすぎじゃない?」


生垣迷路で出てきた植物系の魔物はBPが100~120の間だったのに城に入って初めての魔物がBP750ってかなり差がある気がするけど。

それに数も多い。


「ここのリビングアーマーは通路を大きな音をたてずに通過すればそもそも襲いかかってくることはないっす」


これも1種の罠って訳か。


「それだとわざとリビングアーマーを起動させて他の冒険者に押し付ける奴とか出てきそうだね」


「リビングアーマーは音を出した相手しか敵対しないっす。音を出した相手を倒したらまた廊下の端に戻って置き物に戻るっす」


最低限対策はしてあるってことかな。

まぁ、ダンジョンに入る時は人間にも気をつけようってことだね。


「まずはアルが攻撃っすね。映司様ごとブレスっす」


お前ほんとに眷族なの?俺の事攻撃しろって命令してるけど。


アルもまじで良いの?みたいな顔をしてるよ?


「何を戸惑ってるっす。アル程度のブレスで映司様がダメージなんて受けるわけないっす」


まぁ確かに。


「雷太の言う通りダメージなんて受けないから思いっきりブレスを吐くといいよ」


それはそれで自信なくすと言ってる気がするけど。事実なんで諦めて欲しい。悔しかったら頑張ってレベルを上げろ!


そこまで言うと俺ごとリビングアーマーに向かってアルがブレスを吐く。


リビングアーマーにも大したダメージは入って無さそうだ。

アルにも経験値を分配するためにダメージを与えてもらっただけだしこれで充分。

メリケンサックで殴っても良いんだけど。

ここは同じ火属性のブレスを使う者として本物を見せてあげよう。


リビングアーマーに向かってブレス放つ。



ブレスに飲み込まれたリビングアーマーは跡形もなく消え去った。



(レベルが上がりました)


ステータスを確認するとレベルが一気に4上昇してレベル10になった。


「アルもこれぐらいできるように頑張らないとね」


そう言うとすごい勢いで顔をブンブン左右に振る。


こんなん自分には無理っすよ?いやいや最初っから諦めちゃダメだよ?


と言うかなんとなくアルの言ってることがわかるんだけど。アルが龍に近い種族だからか?


俺がブレスを吐いたせいでリビングアーマーだけじゃなくて通路も熱々なのでリビングアーマーの魔石を回収して別の扉に向かう。


「映司様次はブレス使っちゃダメっすからね?」


何ヶ所も先に進めないようにする訳には行かないからね。

ブレスは使わないよ。ただメリケンサックで殴っても甲冑がベコベコになるだけで倒すのに時間がかかるだろうから、手に火を纏わせて手刀で切り裂くスタイルで戦うつもりだ。

こっちの方がベコベコにして倒すよりもスピーディーに倒せるだろう。



通路であえて大きな音を出してリビングアーマーを全て敵対状態にする。

アルのブレスでダメージをちょっとでも受けたリビングアーマーから手刀で袈裟斬りにしていく。


(レベルが上がりました)



さっきと同じ数を倒したのに上がったレベルはさっきの半分の2だった。レベルが上がる事にレベルアップに必要な経験値が上がってるってことだろう。当然だな。


「ここは書庫みたいだな」


通路の先は書庫になっていた。


曲がり角が多いいし道が狭いから出会い頭の不意打ちとかされそうだなって思いながら進んでいると魔力を持っている本を見つける。

いつも魔力が見えてる状態は目がチカチカして嫌だな〜って思ってたらオンオフができるようになって魔力が見える機能をオフにしてたのを忘れてたのでさっきオンにして気づくことが出来た。


もっと早く思い出しとけばリビングアーマーも気づけてたよね。

まぁ大して危なくない罠だったから良いけど。もっとやばいトラップなこともあるかもだし。ダンジョンにいる時はちゃんと魔力が見えるようにしておかないと。


魔力を持っている本の近くに行くと本棚から勢いよく飛び出して来た。

当たったら地味に痛そうだな。


本は開いた状態で宙に浮いている。

こういう魔物って魔法を使ってくるのが定番だよねと思っていると案の定、火の玉が飛んできた。


飛んでくる火の玉を叩き落としながら本に接近して本を掴むとそのまま引っ張って引き裂く。


なんとなくこの倒し方をしたけどもっと良い倒し方あっただろうと自分で突っ込む。


それに鑑定もしてないし、アルが攻撃してないから廣瀬博士とアルに経験値が入らないし。


「マジックブックは火が効くっすから、また先頭交代っすね」


アルのレベル上げが1番の目的だし仕方ないか。


こんな感じでアルのレベル上げを続けてもうそろそろ外が暗くなると言う時間になったので、ダンジョンを切り上げて廣瀬博士とアルと別れた。


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読んで頂きありがとうございます。


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