第22話

「じゃあそのドラゴンはダンジョンを自由に弄れるの?例えば宝箱ばっかりのダンジョンとか」


お風呂から出てくると、ソフィア様も元通りになってたので俺、ソフィア様 、メイドさん、雷太3人と1匹で話を初めて。この雷太がダンジョンマスターという存在で雷太の言うにはダンジョンから一定周期で魔物が外に溢れ出すスタンピードが起きることと、それを止めるのはダンジョンマスターを味方につけるしかないことを伝える。


ダンジョンの中の魔物を間引きすればスタンピードって起きないんじゃないのって俺も思ったんだけど、どうやらこのダンジョンのスタンピードはダンジョンの中の密度が一定以上になると起きる現象ではなく。


一定周期できる人類に対する試練的な立ち位置なのでダンジョン内にどれだけ魔物がいるかは全く関係ないらしい。



「どうなの雷太?」


「ダンジョンも魔物っすから当然ダンジョン自身にも意思というのは存在するっす。なんで人に有利すぎるダンジョンはダンジョンの意思で却下されるっすから無理っす」


なるほど。そんな都合よくは行かないってわけだ。


基本ダンジョンマスターがダンジョンの内装やポップする魔物を決めることができるけど。人に有利過ぎるとダンジョンがストップをかけてくると。


雷太がいるから宝箱取り放題!ってのはできないわけだ。


何となくこの方法ならダンジョンの意思も止めないんじゃない?って、沢山宝箱を手に入れる方法を思いついたけど今は黙っておこう。


「そんなに楽できる訳では無いのね。だとしても、ダンジョンマスターをどうにかして味方につけるのが急務ってわけね。でもそんな事ってできるものなの?」


「相性が良くないと無理っすけど。テイマーとかならダンジョンマスターを従魔にすることもできるっすよ。ダンジョンマスターに従魔になってもいいと思わせないと行けないっすから簡単ではないっすけど」


方法がちゃんと存在するだけマシだね。


「質問。例えばなんだけど雷太と一緒に交差点ダンジョン以外のダンジョンに行ってダンジョンマスターを倒したら雷太が2箇所のダンジョンマスターになることはできるんですか?」


これができるか出来ないかで、スタンピードを防ぐ難易度がだいぶ代わってくる。


「出来ないことは無いっすけど。そのダンジョンの意思に認めさせる必要があるっす」


ダンジョンマスターを倒しただけじゃなれるわけでなく、その後のダンジョンとの交渉次第って感じか。


「逆にダンジョンマスターじゃないテイマーの従魔がダンジョンに気に入られてダンジョンマスターになるってこともあるっす」


別にダンジョンマスターじゃなくても現ダンジョンマスターより強い魔物なら普通にダンジョンマスターになる可能性もあるってことか。


ってなると。


「テイマー系のスキルに目覚めた人材をどれだけ早く確保できるかが重要になって来そうですね」


「クラリスの言う通りね。となると、既にダンジョンマスターをテイムしていて本人も1国の軍隊レベルの戦力。オマケにスケルトンゴーレムの軍団を作ることも可能な映司の価値がまた上がるわけね。現時点では世界で1番価値のある人間なんじゃないかしら?」


「メイドさんってクラリスさんって言うんですね。クラリスさんって呼んでいいですか?」


そんな事ないでしょう?って反論したかったけど。冷静に考えたら反論できなかったので

現実逃避する。


「そう言えば自己紹介をしていませんでしたね。私はクラリス チェンバレンと申します。クラリスとお呼びください」


「現実逃避したくなるのもわかるけど。今、自己紹介する必要ないでしょ?ねぇ映司、E国に来ない?」



「それは移住しないってお誘い?」


流石に現時点じゃ住み慣れた日本から移住しようって気にはならないけど。


「違うわ。2泊3日ぐらいの旅行よ。まずはE国がどんなところか実際に見てもらうのが重要かなって思ったの」


無理やり移住させる気はない感じか。

日本にあんまりな扱いだとE国に移住しますよって圧をかけるのにちょうど良いかもな。


「それなら悪くないかもですね。ちょうど〈言語理解(E国語)〉ってスキルを取得したので、E国語なら喋れると思うし」


「バレてないって思ってるのかもしれないけどチラチラ胸を見てるの気づいてるわよ?」


「ぶっ!」


「ほんとにわかるようになったのね」


「え?今日本語じゃなかったですか?」


まぁ、バレてたことも大問題だけど、今ソフィア様の反応的にE国語で喋ったみたいな感じだった。


「スキルが自動でE国語を日本語に翻訳したって感じかしら?だから映司にはE国語が日本語で聞こえたと……。じゃあE国語を喋るのはどうなるの?」


確かに…


「申し訳ございませんでした」


E国語で喋ることを意識しながら土下座謝罪をする。


「口の動きは日本語なのに喋ってるのはE国語だったわ。なんか気持ち悪い」


そんな感じになってるのか。


「後、そこまで怒ってないからそこまで全力で謝る必要はないわよ?下品な感じじゃないし」


女性はそう言う視線に敏感って言うしな。

今度から気をつけよう……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



読んで頂きありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る