第20話
ーsideソフィア(映司がダンジョンを発見する少し前)ー
「おはようございますソフィアお嬢様。機嫌が良さそうですね?」
「そうかしら?まぁ、クラリスが言うならそうなんでしょうね」
映司も突然力を手に入れてイキってるみたいな人じゃなくて普通の人だったし。
近くにいても嫌な感じはしなかったし、なんの裏もなくただ話すことを楽しめた気がする。
まぁ、胸とか見てこないわけじゃないけど、あのぐらいならまだ許せるかなって感じだったし。
ああ言うのを相性が良いって言うのかしら?
「まぁ、日本にいる間、日本がつけてくる護衛を映司以外に変えるつもりはないわね」
スキルのせいでその気になれば大規模なテロが起こせる人間が大量に誕生してしまったこのご時世で他国の要人を護衛なしで滞在させるなんて有り得ないってのはわかるから、受け入れたけど自衛隊はほんとに酷かった。
3回もチャンスを上げたのに全部ダメにするんだもん。
その点、映司は護衛の仕方なんて知らないだろうに知らないなりに真面目にやってくれるし。
普通なことがこれほど有難いと思ったのは初めてかもしれない。
「どうやら相当気に入られたようですね?
地震!?ソフィアお嬢様大丈夫ですか!?」
クラリスと話していると突然建物が揺れる。
3日前の地震と比べるとあんまり揺れなかったけどやっぱりびっくりする。
「お嬢様。どうやら新しくダンジョンが発生したようです」
クラリスが龍の姿になった映司がダンジョンの前で仁王立ちしている写真を見せてくる。
「映司に電話番号聞いておけば良かったわね」
龍の状態で電話に出れるかちょっと疑問だけど、もし交換しておけば詳しい状況を聞けたかもしれない。
「確かにこう言う電話番号を聞き出すまたとないチャンスですね。後でそう言って私が番号を交換しておきましょう。ソフィアお嬢様は他人に番号を教えるのを嫌がりますからね。責任を持って私が交換しておきます」
クラリスが便乗してそんなことを言い出した。
ちょっといい感じに映司の電話番号を聞き出せるチャンスなんだから邪魔は許さないわよ?
「それにしても他人に番号を教えるのを嫌がるソフィアお嬢様が自分から交換しておけば良かったですか…。ほんとに気に入っちゃったんですね?正直スキル以外はThe普通って感じでしたけどどこがそんなに気に入ったんですか?」
どうやらからかわれていたらしい。
「私からしたらその普通ってのが重要だったみたいよ?」
「そうですか。まぁ龍化のスキルを持ってる彼なら問題なく結婚できるでしょうし。頑張って彼のことをおとしてください。陰ながら応援してます」
「そう言うクラリスはどうなのよ?そろそろ結婚しなきゃって焦って来たんじゃないの?」
私のメイド兼護衛としてずっと働いてくれるのは嬉しいけど、もう29歳だしそろそろ結婚してもいいんじゃないだろうか。
「私は結婚してもこの仕事を続けることを許してくれる人としか結婚をするつもりはないですし、第一まだこの人!と言う人物に出会えていません」
余計なお世話ですとか言われるのではなくガチで落ち込まれてしまった。
なんと言うかクラリスに近寄ってくる男は私目当てかクラリスにお世話してもらいたいダメ男だけだし。落ち込むのも当然かもしれない。
ちょっと悪いことしたかなと話題を変える。
「その例のダンジョンLIVE映像とかないの?」
「近くの監視カメラをハッキングして映像を確認する方法もありますが、今はこっちの方が楽ですね」
そう言って世界的に有名な一般人が動画を投稿できるアプリD tube(ディーチューブ)を開いた。
「やはりありましたD tuberの生配信」
そう言ってとあるD tuberの生配信の再生を始める。
「ねぇ映司は何してるの?」
生放送に映っている映司は何故か龍の姿で自分の牙を抜いて龍の牙の山を作っている。
龍の牙ってやっぱりすごい強度なのかな?1本ぐらいくれないかなって思ったのはないしょ。
「龍の牙で投げナイフを作ったら凄いものが作れそうです。1本くれませんかね?」
どうやらクラリスも欲しいと思ったようだ。
生放送のコメントでも欲しいってみんな言ってる。
まぁ、むしろ龍の牙が欲しくない人なんている?って話だけど。
この後、突然牙の山の下に魔法陣が現れて牙の山がスケルトンゴーレムになったり、ダンジョンに入って30分程度で出てきたと思ったらぬいぐるみみたいなドラゴン連れて帰ってきたと思ったら映司の龍の時より大きいドラゴンだし。
映司と警察が帰ったあと自衛隊が到着して中に入ろうとしても入れなかったり、聞きたいことしかない。
まぁ、もうちょっとすれば帰って来るだろうからその時に聞こう。
「それにしても竜王軍ね。まさにその通りね」
コメントでスケルトンゴーレムと従えてる?ドラゴンのことを竜王軍って言ってたけど正しくその通りよね。
「もしかしたら1国と正面切って戦えるかもしれないから。1国ぐらい余裕だろうと言う評価に変わりましたね」
「そうね。ほんとに映司が危険思想の持ち主じゃなくて安心したわ」
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