第3話
「それじゃあ、詳しい話を始めようか。その前に飲み物は緑茶でいいかな?」
「緑茶で大丈夫です」
取調室のような場所に案内されて熱々の緑茶を用意される。
話を聞いてる間に冷めてちょうど良い温度になるかな?
どっちにしろ熱いのはあまり得意では無いので少し放置しておく。
「まずは自己紹介からだね。私はスキル犯罪鎮圧部隊 第一大隊隊長 河村 忍だ」
スキル犯罪鎮圧部隊…人類にスキルが発現して数時間しか経ってないのに専用の部隊が設立されてるのか。
後出しでは、どんなに迅速に動いたって無理だろう。
河村さんが言ってたように何らかの方法でこうなることを察知していて前から動いていないと無理だろう。
「数時間前まではただの陰キャ高校生で今は人間を辞めてしまった新藤映司です」
「新藤くんまずは感謝を、君のおかげで被害を抑えることができた」
「抑えたと言っても、死者が数十人単位ででてますよねけが人も入れたら数百人単位も被害がでてます」
都会ではないが高校が近くになる駅の近くでの犯行だ。それなり以上の被害がでている。
「拳銃より凶悪なスキルを使った犯罪だ。一般人の新藤くんからしたら、酷い言い方に聞こえるかもしれないけど。あの程度の被害で済んだのは奇跡といって言い」
確かに爆弾を使ったテロ行為と考えるとあの程度で済んでよかったと言えるのか?
「まぁ、運が良かった。いや悪かったのかな?」
俺が偶然チートっぽいスキルを手に入れたからあの程度の被害で幸運と言えるかもしれないけどけど。
そもそも人間にスキルなんてものが発現しなければあの事件は起こらなかったと考えれば運が悪かったと言える。
「ちなみにあの男がどうなるか聞いても?」
正直スキルを使える人間を牢屋に閉じ込めておくなんて無理だろう。
極端な話殺してしまった方が安全だろう。
うーんやっぱり思考が過激になっていると言うか、感情の起伏が少なくなった?やっぱり精神構造が変化している気がする。
これからの世界はこっちの方が生き残れるのかもしれないけど、犯罪者にだけはならないように注意しないと。
「スキル犯罪特殊法が正式に公布されしだい処刑ということになると思う。スキルを使う犯罪者を拘束する術を持たないからね」
やっぱりそうなるのか。河村さんは苦虫を噛み潰したような顔をしながらスキル犯罪特殊法について説明してくれる。
簡単に言えばスキルを使って犯罪を犯した人間は即刻殺害しても罪にはなりませんよ。
スキルを使って暴れている以上むしろ殺害を推奨しますよって法律だ。
殺害推奨とか世紀末かよって言いたいけど。
そうでもしないと鎮圧部隊の方が殺されるだけだろうからな。
嫌な世界になってしまったな。
「ところで河村さん、俺はどうして政府が予めここまで準備が出来ていたのか。その理由を聞きに来たんですけど……」
「あぁそうだったね。突然だけど新藤くんは三種の神器って知ってる?」
「八咫鏡、草薙剣、八尺瓊勾玉であってます」
戦後の家電製品の話じゃないだろうし、皇室に伝わる三種の神器のことだよな?
「そう、その3種の神器。その中のひとつ八咫鏡にある日突然、とある未来が映し出された」
「それが人類にスキルが適応された未来ですか?」
なんともまぁ胡散臭い話だとスキルが適応される前は思っただろうな。
今なら神器ってのは本当でそう言う能力があるのかもって、少し信じるつもりにはなるけど。
「よく、そんな話をスキルが適応される前に信じましたね」
「信じさせるために、ご丁寧に直近に起きる自然災害についても映し出されたようだからね。信じざる追えなかったというのが正しい」
そういえばやけに自然災害に対しての対応が早い時期があった気がする。
八咫鏡の予知能力のおかげだったのか。
「それじゃあ、これからの日本は全ての災害を事前に知って対策することが出来るんですか?」
「残念ながらそれは無理だそうだ。最初の予知以降八咫鏡は未来を映し出さないそうだ。予知には力を消費するから今は予知を行うための力を貯めてると言うのが研究者の意見だ」
そんな万能ではないか…
八咫鏡のおかげで事前に法律とかの準備ができてたわけだしかなり助かってるんだろうけど。
「ちなみにそんな重要な話を俺にした理由は?」
こんなの一般人に話して良い内容じゃないだろう。
「八咫鏡の予知に君が現れたからだ。正確に言えばダンジョンから溢れてきた魔物から人々を守る龍の映像だが。その龍を早期に発見協力関係を結ぶために八咫鏡に映された龍の姿は今回の件を知っている人間全員に共有されている。その姿そっくりな龍が新藤くんだったわけだ」
どっちにしろ伝えることになるだろうから、今話したってことか。
それにしてもやっぱりダンジョンから魔物は溢れてくるようになるのか。
それにしても政府に協力する流れか…
協力しないと、どんどん日本が崩壊していくみたいだし。
タダ働きは絶対したくないけど、どうなる事やら。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んで頂きありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます