第4話
「単刀直入に聞きますが河村さんと言うより政府は俺をどう使いたいんですか?」
ただの高校生である俺に交渉なんて出来ないからな。ここはもう直球勝負しかないだろう。
「私としてはスキル犯罪鎮圧部隊に特殊隊員として登録してスキルを使う犯罪者の鎮圧もしくはダンジョンの攻略をしてもらいたい。最終判断は政府が下すことになるけど。しっかりとした雇用契約が結ばれることになると思う」
うーん悪くは無いんだろうけど、政府からの命令を拒否できなくなりそうだよな。
政府が老害ばっかりだった場合訳分からん命令をされる可能性もありそうで、率直に喜べない。と言っても今は河村さんが言ってた案が1番現実的な気がする。俺が八咫鏡に映った龍だと断定されているから。ここで断っても粘着されるだけな気がする。
それなら大人しく政府に雇われる代わりにこちらからの要求をいくつかのませた方がお得な気がする。
「個人的にはいつでも契約を破棄できる。外部からの教官みたいな立ち位置で雇用してもらえると嬉しいんですけど」
政府から雇われてるけどすぐに破棄できるっていうのが重要だと俺は思う。
ただの高校生が政治家相手にこう言う話で勝てるとは思わないけど。
最低限俺の意思で契約を破棄できるようにはしないと。
「なるほど。その希望もしっかり伝えよう。犯罪者でもない君を長時間拘束することはできないし今日はここまでにしておこう。電話番号だけ聞いても良いかな?」
河村さんと電話番号を交換する。家までタクシーで帰るといいと言って交通費まで支給してもらった。
最後別れる前に八咫鏡に関する話は両親にも話さないでくれと釘を刺された。
両親を巻き込みたくないし言われなくとも話さないつもりだ。
「料金7300円になります」
「1万300円からでお願いします」
料金を払いタクシーから降りる。
夕方には帰れる予定だったのにもうすっかり真っ暗だ。
今日は新作ゲームをするつもりだったのにこんなことになるなんて…ゲームをやる気も起きない。
「ただいま母さん」
「おかえり映司。今日は大変だったわね。
お父さんは今日は帰ってこれえないって。新しくできる迷宮省に配置換えになるみたいで急いで都心に向かったみたいよ」
父も中々大変なことになってるみたいだ。
それにしても迷宮省ねぇ。そこら辺の話は聞いて無かったけど自衛隊や警察の鎮圧部隊みたいに事前に準備されてたんだろうな。
父は俺のせいで巻き込まれたのかな?
それだとしたら流石に早すぎるか、俺は関係なしに父のスキルが迷宮省に必要だったからだろうな。
「母さん、警察から電話がかかってきて何となく聞いてるかもしんないけど。俺のスキルが強力なせいでちょくちょく迷惑かけるかも」
「お母さん的には危ないことして欲しく無いんだけどね。人を殺すことだってあるかもしれないんでしょ?テレビがその話しかしてなかったわよ?ついでに犯罪者の攻撃を龍になって受け止める映司がバッチリ映った防犯カメラの映像も流れてたわよ。映司が人に戻った時はモザイク処理されてたけど知ってる人なら1発でわかるわよ?」
あまりのマスコミの報道の速さに絶句してその場に停止する。
「危険思想に目覚めたスキル持ちは拳銃を持ったテロリストより危険。スキルを封じる方法も分かっていない今は処刑すると言う判断も仕方がないって意見がほとんど、映司がどうにかした場所以外にも被害が出てるみたいだしね。流石に死刑はやりすぎって言う程の余裕はないみたい」
もしくはスキルを手に入れたことによって精神構造がみんな変化しているか…
今までの日本で言ったら処刑なんて言葉が出てきたらそれがどんなに凶悪犯でも騒ぎ出す人が出てきた筈だ。
俺の精神構造が変わったのは種族が人間じゃなくなったからだと思ってたけど、スキルが適応された人は全員変わってしまってるんだろうか?
母が俺に犯罪者とは言え人殺しなんてして欲しくは無いと言ってはいるけど本気で止めないのもそのせいだろうか?
別に俺が人を殺すことを肯定する訳ではなく、そんなことして欲しくないって思ってるのは本気だろうけど、俺が決めたなら止めないって感じ。
人間同士で普通に殺し合う世界とか世紀末すぎて嫌なんだけど。
人を殺すことに対する嫌悪感はしっかり存在してるのでそんなことにならないと思いたい。
寧ろ嫌悪感に関しては強化されてる?
だからこそスキルを使って嫌悪感を抱く人殺しをした犯罪者が処刑されることに対して疑問を抱かない?
「訳わかんなくなってきた。これ以上考えるのはやめよう」
とにかく、法律を破るような悪いことはしちゃダメ!そう心を強く持とう。
「因みに母さんはどんなスキルを手に入れたの」
「お母さんは主婦ってスキル。掃除とか洗濯とか魔力を消費すると一瞬で終わらせられるの。あとは作った料理に追加効果がつくようになったりもするの」
主婦、万能すぎやしないか?
もう色々深く考えるのはやめてご飯食べてお風呂入って今日はもう寝よう。
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