第45話 同じ気持ち

 宮坂が事故に遭った、その次の日から僕は宮坂のお見舞いに来ていた。

 自分のせいで事故に遭った宮坂に、今の僕が出来ることはこれしかない。

 罪滅ぼしになんて絶対にならないし、そんなつもりもない。

 ただ、宮坂のいない毎日を想像しただけで苦しくて苦しくて。僕は、もう一度、宮坂があの太陽のような笑顔を見せてくれることを信じて、毎日ここに通っている。

「宮坂、来たよ」

笑顔で話しかけても、宮坂は瞼を閉じたまま。当然、返事はない。

 とても悲しくて、寂しくて、辛くて、苦しかった。


 ――宮坂も、ずっとこんな気持ちで僕に話しかけてくれてたんだな……


 そう思うと、胸が抉られるような感覚に襲われた。

「もう、あと四日で決勝戦だよ? 鮫島先輩たちならやってくれるよね、きっと。いや、絶対にやってくれるよ。ね? 宮坂」


「あと三日だよ。帰りに少しだけ部活を覗いてきたんだけど、みんなすごく気合入ってた。雪辱、晴らせるといいね。二人で、みんなを応援しようね」


「あと二日……。あ、これ。クラスのみんなが宮坂にって。千羽鶴だよ? すっごくきれいだね。折り紙苦手なんだけど、僕もめっちゃ張り切っちゃって。みんなにびっくりされた」


来る日も来る日も、宮坂の手を優しく包み込んで、優しい声で話しかけた。

 楽しい話も、嬉しい話も、面白い話も。

 悲しい話も、辛かった話も、ちょっとした先生の愚痴も。

毎日、今日あったことを面会時間が終わるギリギリまで、宮坂にうるさいって言われてしまうくらいたくさん、宮坂に話した。

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