第35話 インターホン
それからほどなくして夏休みに突入した。今年の夏休みは、去年の冬休みと同様にあっという間に過ぎ去ってしまった。夏休みは、本当に机とにらめっこの毎日だった。
色恋沙汰のひとつでもあれば、ちょっとくらいは楽しめただろうに……。
そんな見苦しい感情も、うやむやになり始めたとき、選手権の二次予選が幕を開けたようだ。
試合の結果は当日の夜に姉貴、休日明けに宮坂からきっちりと伝えられる。
今年は、昨年の戦犯がいないおかげで順調に勝ち上がっているようだ。学生として、すごく誇らしいというか、嬉しいことのはずなのに、素直に喜べない自分がいる。それが嫌で、苦しくて、腹立たしくて。そんな気持ちを払拭するように、僕は読書や勉強に明け暮れた。
そんな日々を送って、決勝を一週間後に控えたこの日。学校は創立記念日で、一日の休日が生まれた。今日は完全休日。部の活動も停止になるようで、姉貴ものんびりソファーに腰かけている。
祝祭日以外に滅多に訪れない、平日の休みをしっかり満喫しよう。そう心に決めて、一人の世界にダイブしようとした時、鬱陶しいインターホンがリビングに鳴り響いた。
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