第34話 変化
太陽のような宮坂が、ずっと隣に居座り続ける日々が今日でちょうど一か月という節目を迎えた。
「インターハイ、準優勝だよ~!」
「そっか……」
昨日の夜、姉貴に聞いた話だけど気を使って初めて聞いたように振舞う。
いや、違うな。僕が昨日、姉貴に聞いたのは県大会準優勝という成績。今の宮坂の発言だと、全国大会準優勝という意味になってくるから、真に初めて聞いた偽りのお話だ。
「惜しかったんだぁ……。PK戦でね、相手キーパーのすごいセーブがあってね!」
チームが負けて、すごく悲しい話をしているはずなのに、宮坂の表情はいつものように明るかった。この様子を見るに、宮坂葵という人物の中に敵・味方という概念は存在していないらしい。
「そうなんだ。惜しかったね」
相槌くらいの感覚で、気持ちの込もっていない返事をする。
「ホントそうなんだぁ! 千冬君がチームに戻ってくれば簡単に勝てちゃうのに!」
この一か月での変化と言うと、サッカー部が早くも機能し始めているということ。それと、宮坂が俺のことを千冬君と呼ぶようになったこと。この二点だ。まぁ、どちらも大して気にすることもないから、サラッと流している。
「そんな言われても戻らないから」
「え~。残念……」
我が校のサッカー部は、インターハイ県予選準優勝というすごいと言えばすごい結果を残して、冬の予選に向けての準備を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます