第27話 うれしい
「すみませ~ん。遅刻……」
橋本君の言葉を信じてグラウンドに向かうと、まだ全然準備が終わっていない緑色のグラウンドが広がっていた。
「時間……」
振り返って校舎に付いている時計を見る。すると、時間は部活の始まる十数分前だった。そうだ。私は完全に橋本君に騙されたのだ。
「チクショー!」
心にはちっちゃい、ちっちゃい怒りがある。でも、それの百倍以上うれしいという明るい気持ちが心の底から湧き上がってきた。
橋本君と話せた。
少しだけど意識された。
そのことがものすごく嬉しくて。その日の部活が始まる直前まで、私の鼻唄が止まることはなかった。
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